東京都下水道局中野水再生センター(中野区新井3-37-4)の掲示板に5月下旬、お知らせが貼ってありました。
「未知の地下探検(50m)ツアーのお知らせ」「浸水からまちを守る和田弥生幹線」
下水道局の見学は面白いに決まっています。これは行くしかないでしょう。
見学会
行ってみました。東京都下水道局和田ポンプ施設(杉並区和田2-1)。ここから地下に降りて和田弥生幹線(大口径雨水貯留管)を見学します。
開始時間の2019年6月8日(土)午前10時少し前。
構内には既に結構な人数が。
見学は1度に25人ずつ。私は第1陣25番目。
見学ルート見取図。
ちなみアースくんの頭には下水道局の桜のマークのマンホール。
これですね。
10時になったら建物に入ります。
これから見学する和田弥生幹線の説明。
和田弥生幹線とは
神田川、善福寺川の流域は過去、繰り返し大きな浸水に見舞われてきました。浸水を防ぐために降った雨水を一時的に貯める和田弥生幹線が地下約50メートルに作られました。約15万㎥の雨水を貯留でき、1997年の一部運用開始以来、大きな浸水被害は起きていないそうです。
椅子の上に和田弥生幹線のパンフレット。
次に和田弥生幹線の仕組みを模型で説明してもらいました。
溢れた雨水がドロップシャフトを通って下の和田弥生幹線(模型では太い透明な筒)に貯まります。ドロップシャフトの中に螺旋状の物が見えますが、溢れた雨水を和田弥生幹線の深さまで垂直に落とすと音や衝撃がすごいことになるし、水はぐるぐる回した方が速く流れるためです。
熱心に見入る子どもたち。
次はいよいよ入坑ですが、その前に皆ヘルメットと長靴、軍手を貸してもらって身につけます。
入坑
入口。ここから階段を降りていきます。
下を見るとこんな感じ↑。
この穴から下を覗くと↑。
こんな感じ↑。
地下13階が最下層です。
最下部
ここがドロップシャフトの1番下の部分↓。
地上からの雨水がここから出て注ぎ込まれるのが……。
向かいにある、和田弥生幹線(貯留管)に通じる連絡管↑。
ドロップシャフト最下部の中に入れます↓。
これは中から水の出口をみたところ↓。
真上。 大雨時ここから水が落ちてきます。
螺旋があるため、溢れた大量の雨水が落ちてくる際、ぐるぐる回るような速くてなめらかな流れになり落下音や衝撃も緩和されます。
ドロップシャフトから出たら向かいの連絡管へ。
連絡管の中を歩いて和田弥生幹線(貯留管)に向かいます。ここでお子さんたちは高率で「あ〜」と声を響かせます。
これが和田弥生幹線だ
着きました。
和田弥生幹線!! 幹線というか大きなトンネルみたいです。
写真中央左上の▼平成21年10月8日は、直径8.5メートル、長さ2.2キロメートルの和田弥生幹線の過去最高の水位の印。ここの「和田弥生幹線に水を貯める」が発動されるのは、1年に1度もない大雨の時だけで、満タンになったことはまだないのだそうです(注*: 末尾追記参照)。貯められた水はあとで天気のいい時に落合水再生センターできれいにして神田川に流します。
和田弥生幹線の見学が終わったら来た道を戻り、階段を上って地上に帰ります。オルフェウスな気分ですね。
足元を照らす明かり。
地下13階の階段の下で、降りてきた第2陣とすれ違いました。J:COMが取材してました。ここから13階分上るのは結構大変ですが、地上に着いたらペットボトルのスポーツドリンクが貰えました。まあ嬉しい。
そして最後にアンケートを書いて渡すと、豪華なお土産が。浸水対策強化月間(6月)の下水道局施設見学会の一環として、この時期に和田弥生ポンプ施設の見学会が開催されているそうです。機会があれば参加してみてね。
* 追記: 2019年の台風19号で初めて満水に
2020/12/21付毎日新聞電子版「集中豪雨の「内水氾濫」から住宅地守る「地下巨大施設」とは」によると、和田弥生幹線はこの見学会の4カ月後、2019年10月の台風19号で「初めて満水になった」そうです。
「昨年の台風19号で、初めて満水になった」
東京都中野区から杉並区にかけて流れる中小河川の善福寺川と神田川。二つの川の近くで、地下50メートルの深さの地点に、内径8・5メートル、全長2・2キロの巨大な雨水貯留管である「和田弥生幹線」が設置されている。文字通り「雨水をためる地下の管」だ。都内に大雨特別警報が出た2019年の台風19号では、両川や下水道に流れ込めなかった雨水が一時的にためられた。その量は学校の25メートルプール500杯分に匹敵する約15万立方メートルに達し、住宅地の浸水害を防いだという。
**********
VRツアー
公式の和田弥生幹線ヴァーチャル見学は下のリンクから。
( r ) 2019/6/19記