初公開! 中野区のプロポーザル方式 (企画提案公募型事業者選定) 実施要領

初公開

昨年 (2018年) 10月、東京都中野区が公共工事などの事業者をプロポーザル方式 (企画提案公募型) で募集する実施要領が、"行政内部のマニュアル" みたいなものしかなくて10年間もそれで "試行" を続けていて、しかも「要領なので公開はされていません」だって! という記事を書きました。

 その実施要領がこのほど初公開されました。(2019/8/28記)

プロポーザル方式とは

プロポーザル方式 (企画提案公募型) は、自治体などがプロジェクトの詳細を業者に提案させ、価格だけでなく"総合的に" 判断して選定する方法で、公共工事など大型案件を含む契約で多用されています。
中野区では、区役所の新しい庁舎を設計・建設する業者をこの方式で募集中。来年(2020年) 1月ごろには、JR中野駅北口前の区有地、現在の区役所と隣接する中野サンプラザを2024年ごろから壊した跡地を買って開発するデベロッパーを、やはり同方式で募集します。

経緯

2017年9月19日中野区議会決算特別委員会での平山英明区議=公明=の発言によると、2008年度に「中野区企画提案公募型事業者選定試行実施要領」が定められ、9年後のその時点で非公開のままでした。
当時の石橋経営室副参事 (経理担当) が次のように述べています。

まず結論から申し上げますと、現在も試行状況というところでございます。対象とする委託契約の内容が年々多様化する中、案件に応じまして評価項目や評価点割合など評価の基準を設定するなど、運用レベルの改良を重ねながら最適な仕組みを模索してまいりました。そうした意味で、現在も試行という状況を継続しているという認識でございます。

要領の定義でございますが、中野区におきましては、区の事務の処理方法に関し、条例、規則または訓令の形式で定めるべき事項以外の事項について、その処理権限を持つ者が定める行政内部の指針、処理基準であると定義してございます。今回の要領でございますが、主に具体的な事務手続を取りまとめたマニュアル的な性格が強いことから、要領として作成したものでございます。

情報公開請求

上記の "「中野区企画提案公募型事業者選定試行実施要領」、または同要領を改定した文書" を、私たちは中野区に情報公開請求しました。
今年 (2019年) 8月16日 (金)の夕方、電子申請で請求を送りました。すぐ総務部総務課からメールで ”申請到達通知” が届きました (自動返信と思われます) 。
週明け19日 (月) 、同じくメールで "受付審査完了" のお知らせが送られてきました。

区の担当者から「実施要領」が送られてきた

20日 (火)、総務部用地経理課の担当者から情報公開の請求者の携帯に電話がありました。「情報公開請求しなくてもお送りします」とのことで、メールでPDFファイルを送ってもらいました。

「中野区企画提案公募型事業者選定実施要領」

内容は全3ページ、プロポーザル方式を実施する手続きや審査の方法がざっくりと書いてあります。実施に際しては総務部長の権限が大きいようですね。中野区の指定管理者のプロポーザル方式と違って、議会の議決は必要なし。
2019年8月8日最新版。"4月の組織改正を反映させた最新版" との説明でした。

ちょっと待って。「実施要領」ですって? "試行" が取れてるじゃないですか! いつの間に?

"試行"はいつ取れたのか

区担当者のメールに「お求めの資料であるかどうかのご返信をお願いします」とあったので、22日 (木)、返信で質問しました。

(a) この文書は区ホームページなどで公開されているものでしょうか? されてない場合、今後公開するご予定はおありでしょうか? また、中野区広報・公聴課の区政資料閲覧コーナーなどで見ることができるでしょうか?
(b) 公開されてないとしたら、指定管理者制度ガイドラインはHPに公開されているのに「企画提案公募型事業者選定実施要領」が公開されていない理由は何でしょう?
(c)「試行実施要領」が「実施要領」に変わったのは2017年9月19日と2019年8月8日の間と思われますが、「実施要領」に変わった最初の文書を情報公開請求したく思います。

区担当者から回答

27日 (火)、メールで回答がありました。

この文書は公開されている?

企画提案公募型事業者選定実施要領の件ですが、こちらは「要領」ですので規則やガイドライン等とは違い、内部的な事務処理手順や事務マニュアルとなります。
(企画提案公募型事業者選定について、規則やガイドライン等はございません。)
そのため中野区ホームページ等には掲載していない (区政資料コーナーにない) のですが、必要があれば提供することは差し支えのないものでございます。
また、お問い合わせをいただきましたのでこれを機会にホームページへの掲載について検討してみたいと存じます。

"試行" はいつ取れた?

試行実施要領を実施要領に変更したのは、記されている2019年8月8日でこれ一度のみとなります。
ただ、企画提案公募型事業者選定を行うようになってから年月が経過しているため「試行」を削除しましたが、あとは組織改正にあわせ部署名や部長名を訂正しただけで、内容に変更はございません。
これは実施開始から特段その実施方法に大きな変更をすることなく運用できているためです。
今後、実施方法の大きな見直し等の必要が発生しましたら、改定やガイドライン化等に対応していかなければならないと考えております。

まとめ

・2008年度に定められた、プロポーザル方式での選定に関する「中野区企画提案公募型事業者選定試行実施要領」は、今年 (2019年) 8月8日に ”試行” が取れて「中野区企画提案公募型事業者選定実施要領」となったことが、8月16日の情報公開請求に続くメールのやり取りで分かった。
・この文書は区ホームページに載せていないが、必要あれば提供する。HPでの公開は検討する。

 私たちはHPでの公開を要望しました。

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情報公開請求と既に公開されている文書

8月16日に iPhone から電子申請で送った情報公開請求のスクリーンショット

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請求の (1) に対する回答は上記の通り。(2) に関してはHPの下のページなどで公開されているとの答えが、電話とメールでありました。

・2017/3/20「平成28年度第5回中野区入札監視委員会議事録概要・資料」

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/156800/d011067_d/fil/20170329.pdf

(該当箇所は3ページ目からの議事録概要と15-18ページの資料の16ページ)

・2017/4/1「中野区における平成29年度の契約の発注について」

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/156800/d027515_d/fil/20170403_heisei29nendohac.pdf

(該当箇所は3ページの「(2) 業務委託契約における総合評価方式の導入拡大」)

 

( r )

 

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(中野区役所。2019/6/27撮影)