東京都豊島区立点字図書館を見学しました(2019年11月)

池袋駅近くに点字図書館が

2019年11月16日、別件の帰りに池袋駅の近くでこんな案内板を見ました。

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点字図書館? 一般の図書館のフロアのようなところに点字図書が並んでいるのでしょうか。

矢印の方向に行ってみました。

 

点字図書館です

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📚豊島区立中央図書館📚

東京都豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル4・5階。

点字図書館は5階の一角にあります。

建物はよくあるタワマンと商業施設から成る再開発エリアの一部。JR池袋駅から徒歩8分、東京メトロ東池袋駅に直結しています。

 

建物の2-3階は劇場など豊島区立舞台芸術交流センター「あうるすぽっと」、4-5階が図書館、6階以上は日立製作所なのですね。下の画像右のドアが図書館入口。

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中に入りエレベーターで豊島区立中央図書館のある4階へ。書架や閲覧室をざっと見たあと、図書館フロアの中ほどにある階段で5階に登りました。

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上の案内図左側の黄色い部分は中央図書館。右側の白い「点字図書館 ひかり文庫」「対面朗読室」「ボランティア室」「録音室」「点字閲覧室」とあるのが点字図書館のエリアです。

 

中央図書館視聴覚資料コーナーのカウンターにいた館員に「中野区民なのですが、点字図書館を見せてもらうことってできますか?」と聞きました。「ちょっと外から見るだけでいいです」と言ったのですが、「見学ですね?」と突然来た他区民に見学させてくれたので驚きました。

 

点字図書館はこんな感じでした 

中央図書館からいったん廊下に出て点字図書館エリアへ。まず上の案内図でいうと右下の「点字図書館 ひかり文庫」に案内されました。事務室のような感じで、複数の館員が作業しています。ここから点字図書館員が案内してくれました。点字図書館のある5階は廊下に点字ブロックがあり、トイレなどの前を通ると音声案内が流れます。

 

視覚障害者のための「点字図書館」は、昭和45年「ひかり文庫」として発足し、昭和47年厚生労働省より公立点字図書館として認可されました。平成22年1月より、視覚障害以外で読書に障害のあるかたも利用できるようになりました。

(昭和45年は1970年、昭和47年は1972年、平成22年は2010年)

業務内容は、

・貸出
テープ図書、デイジー図書(CD-ROM)、点字図書、さわる絵本、録音雑誌、点字雑誌などを貸出(郵送)しています。
・プライベートサービス(墨字資料の音・点訳)
個人の希望する墨字資料等をボランティアの協力により音訳・点訳しています。
・対面朗読(要予約)
図書館に来ていただいたかたに、希望する資料を朗読しています。
・読書相談
点字指導(要予約)
中途視覚障害などで点字の読み書きが出来ないかたに、点字指導を行います。
・閲覧室(要予約)
点字図書・点字資料の閲覧やパソコン、点字プリンター、拡大読書器などの利用ができます。

2017年度の登録者数は624人、利用録音図書4万6005巻、利用点字図書1万1231冊。

豊島区ホームページ より)

 

点字図書館」には、名前から私が想像した、一般の公共図書館の開架閲覧室のような、広いフロアに点字図書の棚がずらりと並ぶ光景はありませんでした。館員によると、利用者からの申込を受け資料を提供するというような事務室で行う作業が多いそうです。情報を点字、 音声データなどで提供する「サピエ」というネットワークを利用しての申込みが多いということです。

 

点字閲覧室」は、分厚い点字図書がぎっしり収められた書庫でした。低い位置には「さわる絵本」があって、点字だけでなく絵も触って分かるように別の素材が貼られていました。さわる絵本には最初からそう作られたものと、通常の絵本に点字などを貼って作るものとがあるとの館員の説明でした。

 

「ボランティア室」には、資料を作るボランティアの人たちがいました。「対面朗読室」は利用者に館員が対面で図書を読み上げる部屋ですが、この日は対面で点字を習う高齢の利用者の姿がありました。テープ図書を作る防音の「録音室」も見せてもらえました。

 

いただいた資料「点字図書館(ひかり文庫)利用あんない」 

  

豊島区立図書館ホームページ(注1)によると、2019年3月末現在の豊島区立点字図書館(ひかり図書館)の蔵書は、点字図書1979タイトル、テープ図書1323タイトル、デイジー図書(注2) 3635タイトル、拡大写本78タイトル、さわる絵本37タイトル。「ひかり文庫にない図書でも他の公共図書館点字図書館から取り寄せられます」とのことです。

 

豊島区は、区立図書館全館を1事業体の指定管理にしている中野区と違って、館によって直営と指定管理が分かれています。豊島区立中央図書館は指定管理ですが、併設の点字図書館は区の直営で、視覚障害者を含む点字図書館員は区の職員だそうです。

していかんりしゃせいど【指定管理者制度
地方公共団体が設置した公共施設を、民間企業や団体を指定して管理・運営を委託する制度。利用者の利便性の向上、地方公共団体の負担の削減などを目的として導入された。
大辞林 第三版

  

公共図書館は、住民の「知る権利」を保障するための機関です。「点字図書館」は視覚障害がある人の「知る権利」を保障するため、点字図書や録音図書の貸出、図書の対面朗読などをしています。

この日はその現場を見せてもらうことができました。どうもありがとうございました。

 

 

注1) 豊島区立図書館ホームページの下に「無断転載を禁じます。またリンクする場合もご一報ください」と書いてあるのですが、知る権利に奉仕する公共図書館の公開情報が無断転載と無断リンク禁止って、ナンセンスとしか言いようがないからします。

注2) デイジー(DAISY)とは、Digital Accessible Information Systemの略で、視覚障害などで活字の読みが困難な人のために製作されるデジタル図書の国際標準規格です(社会福祉法人日本点字図書館ホームページより。日本障害者リハビリテーション協会ホームページには製作用/再生用のソフトウェアや国際標準規格の詳細に関する説明がある)。

 

 

( r ) 2019/12/16記