概要
公園PFIを進める中野区は、住民の反対を押し切ってスポーツ公園化の工事をした平和の森公園(東京都中野区新井)を、2020年6月1日から指定管理とした。しかし指定管理者の事務所が置かれるはずの体育館は建設が遅れ未完成。園内には指定管理者名や連絡先の掲示も見あたらなかった。2020/6/2記
(その後の仮事務所設置や連絡先掲示を末尾に追記しました)
指定管理初日
中野区立平和の森公園は、2020年6月1日、中野区立総合体育館とともに一括して指定管理とされた。
していかんりしゃせいど【指定管理者制度】
地方公共団体が設置した公共施設を、民間企業や団体を指定して管理・運営を委託する制度。利用者の利便性の向上、地方公共団体の負担の削減などを目的として導入された。
大辞林 第三版
指定管理者は、株式会社東京アスレティッククラブ(TAC)と日本体育施設株式会社(いずれも本社中野区)の「アクティブなかのグループ」。期間は2020年6月1日から2025年3月31日。
指定管理初日の6月1日、平和の森公園で、男性数人が園内を掃除していた。
ヘルメットに「日本体育施設」の文字。(この写真は友人撮影)


これまで平和の森公園の清掃は、シルバー人材センターが中野区から委託されていたので、清掃員の変更は、指定管理になったことをとりあえず示している。
しかし指定管理者の公園管理事務所は、平和の森公園未開園区域の中野区立総合体育館内に置かれることになっているのだが、体育館はまだこの状態である。(下の写真の画面左奥)
最近まで、体育館は5月29日完成ということになっていた。6月1日現在では、7月31日完成予定。完成延期が公表されたのは5月14日だ。(同日、中野区議会厚生委員会に完成延期が報告された資料「中野区立総合体育館の整備工事期間の延伸について」 )
この体育館は東京五輪パラリンピックの卓球公式練習場にするために朝早くから夜まで土日祝日返上で作っていたので、オリパラが1年延期された今ではもう急ぐ必要がないともいえる。
看板に記載なし
園内の看板に指定管理者の名前や連絡先は書いていなかった。
「緊急連絡先」(下の写真の案内板下部)が空白のままなんだがいいのか。
あと、また注意書きが増殖しつつあるな。
走路で事故が起きたからね。
やはり起きてしまった接触事故、警察官も駆けつける事態に。大事故にならずに済んで良かった。トラックの使用を中止するか管理人を配置するように酒井区長に警告したのに。#平和の森公園 は再整備によって危ない公園になってしまった。トラック、すべり台、園内灯、バーベキューなど修正が必要だ。
— 守る平和 (@mamoruheiwa1122) May 25, 2020
体育館が完成しないため、とりあえず45リットルゴミ袋で覆われたトイレの場所の案内。(体育館の中にトイレがあると書いてある)
指定管理者選定について
指定管理者募集のインターネットアーカイブ。
中野区のスポーツ施設の指定管理はTACと日本体育施設ばかりだ。
2019年10月現在、中野区が指定管理にしている8つのスポーツ施設のうち、中野体育館など3つの指定管理がTACグループ、2つがTACを代表企業とする共同企業体、残り3つが日本体育施設グループ https://t.co/KkVLslZQg2 今回、平和の森公園と中野区立総合体育館の指定管理がTACと日本体育施設に内定 pic.twitter.com/NUGWbWVJ2k
— 中野非公式 (@nakanocitizens) November 14, 2019
日本体育施設は2019年1月に杉並区で指名停止処分を受けたが、同じ年のうちに中野区からTACとともに平和の森公園と中野区立総合体育館の指定管理者に選定された。
2019/11/20中野区議会厚生委員会で、区は議員の質問に対し、日本体育施設(本社中野区)が同年1月に杉並区で 2カ月間の指名停止処分を受けたことを認めた。日本体育施設はTACとともに、2020/6/1から中野区立平和の森公園と中野区立総合体育館の指定管理者https://t.co/ZyxjPkk9Lv pic.twitter.com/lDmOC1Ztxe
— 中野非公式 (@nakanocitizens) June 1, 2020
区民が請求した事業計画書の情報公開は期間延長(公開延期)。
#平和の森公園 の指定管理者より提出された「事業計画書」案の情報公開を請求したが回答はすぐに公開しない「期間延長通知書」であった。6月1日から運営がスタートするのにこの時点で公開できないとは何があるのだろう、何を隠したいのだろう。バーベキューは、危険なトラックは、どうなる?
— 守る平和 (@mamoruheiwa1122) May 18, 2020
多目的運動広場
6月1日はまた、新型コロナウイルス感染拡大防止のため閉鎖していた、平和の森公園内の「多目的運動広場」が再開された。柵に感染防止の注意書きがあった。
「自由開放」の掲示。
中野区直営時代の掲示は「自由利用」だった。2019年1月9日撮影。
意見交換会
住民の反対を押し切って作られた300メートルトラックやバーベキューサイトの運用や利用ルールについて、中野区は平和の森公園指定管理開始前の5月に、区民との意見交換会を開くとしていたが、コロナの影響で延期された。
新型コロナ問題で#平和の森公園 の「利用ルール」についての意見交換会が延期されたままだ。区のホームページや区報で案を提示して、区民より意見を募る方法もやらない。コロナの終息を待ってから意見交換会を開催する計画のようだが、いろんな問題が放置されたまま既成化してしまうのが心配だ。
— 守る平和 (@mamoruheiwa1122) May 18, 2020
浦野さとみ区議会議員(共産)によると、意見交換会を開かずにトラックやBBQサイトの占有利用を始めることはないという。
平和の森公園の利用ルールについての意見交換会、新型コロナ感染拡大防止のため5月実施は見送りに。意見交換会をしない中でのトラックやBBサイト占有利用は開始すべきでないことを求めてきましたが、そこは守られ、今後、意見交換会等を行った後にルール等を定めていくことに。https://t.co/Hw2mXzlWUF
— 浦野さとみ・中野区議会議員(日本共産党) (@urano_satomi) May 1, 2020
中野区が2020年6月から民間業者の指定管理とした平和の森公園の300mトラック、BBQ場、水遊び場(じゃぶじゃぶ池)、多目的運動広場などの利用ルールを取りまとめ6月区議会建設委員会に報告した。意見交換会と意見募集の日程は後日告知するそうだhttps://t.co/JEo6MsXbwu
— 中野非公式通信 (@nakanocitizens) June 17, 2020
というか、とりあえず体育館が完成しないと、現地に管理事務所もないのに陸上トラックやBBQ場の管理なんてできないのではないかな。
2020年6月1日の指定管理開始日の昼すぎ、まだ使用してないはずの問題のBBQ場の手洗い場に、木炭か燃えた木のかけらが捨ててあった。こういうの、どうやって管理するの?
あとコンクリート滑り台。ついこの間までこんなに厳重に囲ってなかった。立入禁止にしても遊ぶ人が居ると思われる。
走路は接触事故、BBQ場は無断で火気が使われてる可能性、コンクリ滑り台も閉鎖にかかわらず使われている可能性。この3つ全部、多くの住民が反対してたからね。どうするの?
六本木では自民党衆議院議員が焼肉店の煙や臭い、音に対し1日150万円要求。自民党ゴリ押しでできた中野区の平和の森公園のBBQ場、近所の人は区に1日150万円請求したらいいね|自民党議員がご近所トラブル 焼肉店に「ダクトとファンを使うなら1日150万円払え」デイリー新潮https://t.co/lIvWbNk1eP
— 中野非公式 (@nakanocitizens) June 4, 2020
追記(2020/6/13)
指定管理者のホームページに2020年6月9日、「多目的運動広場団体利用の当日受付、緊急時対応等 対応時間: 8:45~19:00」の「仮設事務所」の開設が告知された。
2020/6/1から中野区立平和の森公園と建設中の中野区立総合体育館がTACと日本体育施設の指定管理に。
— 中野非公式 (@nakanocitizens) June 10, 2020
指定管理者のHP⬇️https://t.co/950wXjUEei
管理事務所は8/31まで中野体育館の中。つまり総合体育館は9/1オープンってことか。
6/9公園内仮設事務所ができたようだ。管理事務所が遠方じゃ困るからね pic.twitter.com/iEi2RbOgmF
指定管理者HPによると管理事務所は8月31日まで歩いて10分くらいかかる中野体育館(TACグループが指定管理)の中。300メートルトラックとかのトラブルメイキングな施設が作られたし緊急時困るから、現地に仮事務所は必要。平和の森公園未開園区域内に建設中の中野区立総合体育館は三たび延期された完成予定が7月31日で、開業日は公表されてないが、管理事務所が9月1日に中野区立総合体育館内に移るということは、中野区立総合体育館は9月1日オープンなのかもしれない。
6月12日、行ってみた。仮設事務所、あれかな? (画面左)
これだね。
園内案内図にも、6月1日には空白だった指定管理者の「緊急連絡先」(中野体育館内管理事務所の電話番号)が記載された。
仮設事務所の位置も案内図に記載すべきだと思う。
他の掲示にも連絡先が貼られた。
あと、多目的運動広場を自由利用できる時間が掲示されるようになった。
同じく6月12日。指定管理開始時の6月1日にはボーボーだった元草地広場の草が刈られ、コンクリート滑り台を含む一部への立ち入りができるようになっていた。皆に親しまれた草の築山が撤去され作られたコンクリ滑り台の上の、わずかに残された草部分に座ってくつろぐ人たちがいた。
草刈り後なのでムクドリが大量にいた。
同日(6月12日)中野区ホームページで300メートルトラック外側の元草地広場一部開放と17日からの内側の開放が告知。
6月17日、トラック内側開放延期。
平和の森公園の草地広場について
— 東京都中野区(広報係) (@tokyo_nakano) June 17, 2020
トラックの内側は、6月17日に開放予定でしたが、草刈り後の硬い茎の除去作業を行うため、6月末頃に開放する予定です。
トラックの外側は、既に開放しています。
区ホームページhttps://t.co/PEh97SeRPD
園内MAP(平和の森公園ホームページ)https://t.co/OQlOmakt17
2019年の区議会で、立憲の杉山司区議と無所属の小宮山たかし区議が、中野区は委託の清掃や除草作業では公園で除草剤は使わないとの言質を取ってくれた。委託だけじゃなく今回のような指定管理の場合も同様との理解でよろしいですよね?
2019/9/27中野区議会決算特別委員会建設分科会。杉山司区議(立憲)が公園の除草に除草剤を使っているか質問してくれました。細野公園緑地課長は「この委託においては」除草剤は不使用と回答。これ、ご飯論法じゃないのかしら。杉山さんは今後もグリホサートを使わないよう要望https://t.co/4Vt1ZKUZNq
— 中野非公式通信 (@nakanocitizens) November 28, 2019
2019/9/27中野区議会決算特別委員会建設分科会。小宮山たかし区議も「区内の全ての公園で除草剤は全く使ってないという理解でよろしいでしょうか」と聞いてくれました。細野課長「区が委託して行う清掃、除草作業においては除草剤を使っておりません」やっぱご飯論法だよね https://t.co/bzIRCAabmF
— 中野非公式通信 (@nakanocitizens) November 28, 2019
あと平和の森公園は、何本もの木の根元に金属が露出してるのとか、水景が枯れてるのとかの不具合が1年以上も放置されてるけど、今後は苦情は指定管理者にいえばいいのかな?
つづきの記事
スポーツ公園化工事が終わり2020年4月1日再オープンした際のBEFORE & AFTER。
参考: 中野区が2019年9月開園当初から指定管理にした広町みらい公園。これも中野区が進めている公園PFIの一環。
プライベート-ファイナンス-イニシアチブ。これまでの公的部門による社会資本の整備・運営に民間資本や経営ノウハウを導入し、民間主体で効率化を図ろうという政策手法。
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平和の森公園と中野区立総合体育館のまとめ、記事、写真、情報公開文書については下記参照。