中野東図書館の超高層書架は「区で協議」して作ったというので中野区に情報公開請求したらなんか違うものが開示された (2021年12月)

中野東図書館2〉

中野東図書館(東京都中野区中央)の超高層書架でツイッターが炎上したあと、ネットニュースの取材に中野区の担当者が「区の中で協議の結果このデザインに決定しました」と話していた。そこで、区の意思決定過程がわかる文書を情報公開請求したんだけど、なんか全然関係ないものが開示された。まさか「区の中で協議」してないんだろうか。2021/12/6記

超高層書架とツイッター炎上

中野区立図書館公式ツイッター炎上と中野東図書館超高層書架について前回の記事でお伝えしたのは、下のリンクの通りだ。

nakanocitizens.hatenablog.jp

一連の取材で区職員が話した用途/理由/経緯

炎上を受けてメディア各社が取材に行き、そのたびに中野区職員が超高層書架について喋った。しかし、用途/理由/経緯がまちまちだったので、炎上後に中野区が公式ホームページで発表した内容とともに表にまとめた。日付はウェブサイトや記事の公開日でいずれも2021年。

日付 媒体 超高層書架の用途/理由/経緯
11/11 中野区HP 7階部分=YA、8-9階部分=展示スペース(本の紹介、募集作品等。紙と発泡スチロール製)、7-9階上層(YAと展示以外の部分)=ダミー本。紙と発泡スチロール製
11/11 テレ朝 濵口課長「本を入れる想定はしていない」「区民に図書館や本に親しみを持ってもらう目的」
11/11 キャリコネ 小野係長「高いところに本を置いたら危ないのは当たり前じゃないですか」「まだ詳細は決まっていない」「本の背表紙のコピーや子どもの書いた絵を展示することを考えている」
11/14 弁護士ドットコム 子ども・教育政策課担当者「視覚的にも楽しみながら本を選んでもらえればという狙い」「開放感や見栄えを考慮」
11/15 ビジネスジャーナル 子ども・教育政策課「あくまでも書架として本を選ぶ誘導というか展示」「置くのは必ずしも本ではない」「あくまでも検討中の案」「9階なら9階の真正面から見られる」「(配架は)一応、12月頃までには決めたい」
11/17 J-Cast 子ども・教育政策課「フロアの中で開放感を出し、かつ収蔵する本の紹介を有効に行いたいと考え、区の中で協議の結果このデザインに決定しました」

私たちは前の記事(11/10)の見出しに、超高層書架は「なんと用途未定」とつけた。実際、各社取材に対する区職員の発言をみても、まだ何にするのかはっきり決まっていないことがわかる。

そんな何のためかよくわからないものを、建設と維持の費用1がかかり、落下と消防法上の安全面の懸念もあるのに、どうして作ったのか。

「区で協議」について意思決定過程を開示請求

上の表の1番下、J-Cast の取材に、中野区教育委員会子ども・教育政策課の誰かが「フロアの中で開放感を出し、かつ収蔵する本の紹介を有効に行いたいと考え、区の中で協議の結果このデザインに決定しました」と話している。

「区の中で協議」して超高層書架を作ることにしたという、興味深い発言。ぜひ詳しく知りたい。11月18日に私たちの仲間が中野区に情報公開請求した。

区で協議した資料開示請求.jpg

請求したのは「区の中で協議したという、区の意思決定過程がわかる文書の一切」だ。

請求と違うものが開示

12月2日に電話で開示決定通知があり、3日に私たちの仲間が取りにいった。

出てきた担当者はおもむろに「えーと、こちらが開示決定書で、ちょっとご説明したいのでいいですか」と請求者に受付の椅子を指し示し、自分も座った。

前回の記事の時の開示文書を取りにいった際もそうだったが、担当者が請求者に対応するのを、上の表に登場する小野係長が終始すぐ近くの席から見守っていたそうだ。大変に部下思いである。

区で協議した資料開示決定.pdf - Google ドライブ

開示決定書は請求内容を「中野東図書館のデザインの意思決定に関する文書について」と勝手に丸めてあり、開示された文書の名称は「中野東中学校等複合施設新築工事に伴う関係書類の提出について〈計画通知書〉及びその参考資料」となっている。

担当者は「請求されたものと違うんですけど、東京都と建築確認したときの図面と決裁がCDに入ってます。決裁の書類なんですが、東京都に出したやつは日付がないですがそれは東京都が受け取って書き込むので、(説明用にプリントアウトしてあった回議用紙=計画通知書を指差して)ここにこちらでの日付は入ってます」と説明した。

つまり「区の中で協議した」文書は存在しないのね?

開示された文書は都への提出書類

開示文書1: 中野東中学校等複合施設新築工事に伴う関係書類の提出について〈計画通知書〉

1 中野東中学校等複合施設新築工事に伴う関係書類の提出について<計画通知書>.pdf - Google ドライブ

開示文書2: 参考資料 実施設計平面図

2 参考資料 実施設計平面図.pdf - Google ドライブ

開示文書1は、図書館を含む中野東中学校複合施設の建設前に東京都に提出した書類で、文書施行日は2018年4月17日だ。

開示文書2は、開示文書1の「参考資料」と開示決定書に書いてあり、実施設計の一部ということで吹き抜けが記載されているが、日付は入っていないし、文書1にこの資料を添付した旨の記載もない。

業者との打合せ記録は延長

私たちの仲間が中野東図書館の超高層書架について出したもう1件の情報公開請求(中野区と業者との打ち合わせに関するもの)は決定延長になった。開示されたらまた報告する。超高層書架がつくられた経緯を知るには、そちらの開示を待たねばならないようだ。

追記: 超高層書架の回文に曲をつけてみた

つづきの記事(業者との打合せ記録)

(中野非公式通信) & (く)


  1. 2021年11月29日の中野区議会一般質問で無所属吉田区議は、この書架の建設費を1570万円と指摘した。答弁で入野教育長は、批判は誤解に基づくものが多く、区HPにフロア側から操作可能などと掲載したと述べた。しかし操作可能なのは書架の一部分で、あとは(コストも空間的にも)高い足場を組む必要があるのだが、区の関係者は「裏面から操作可能」というミスリーディングというか不誠実な説明を繰り返している。まあ現物を見ないとイメージしづらいから、来年2月に開館するまでミスリーディングがバレにくいのは確か。  

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中野東図書館。2021/9/29撮影

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