中野区議会図書室の蔵書目録(37年ぶり?)開示。区政資料センターの一覧はHPに掲載されました (情報公開請求、2021年12月)

東京都中野区議会の図書室には、古い委員会の会議録などそこにしかない資料がある。法律上、一般利用できるはずなのに制限されている。一般区民が調査に不便をきたしている。

それどころか、図書室に何があるのか目録すら公表されてない。私たちの仲間が「最新の蔵書目録」を情報公開請求し、開示された。既存の参照可能な最新目録は1984年版のため、今回の目録は37年ぶりの公開である可能性がある。

また、区議会図書室目録の存否を調べる過程で、区議会図書室とは別に、中野区が、区役所4階の「区政資料センター」の資料一覧を作成し、区ホームページに掲載した。2021/12/14記

記事末尾に区資料の所在を記載。

中野区議会図書室

議会図書室の運用が変

以前、私たちの仲間が中野区議会図書室の資料を閲覧した。

閲覧室に入れてもらえず、区議会事務局の前の廊下で、少なくとも6、7人の区議会事務局職員に見守られながら資料を立ち読みするという、異常な経験をした。

一般利用者が来ないとみえて運用がおかしい。そもそも図書室の前を通ったとき開いていたり明かりがついているのを見たことがない。もしや議員ですらあまり利用してないのではなかろうか。

一般利用は地方自治法により保証されている

議会図書室は、地方自治法第100条19項により設置が義務付けられている。

議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し前二項の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。

地方自治法 | e-Gov法令検索

同20項に「前項の図書室は、一般にこれを利用させることができる」とある。法律にできると書いてあるのに、私たちの仲間はなぜ図書室が利用できなかったのだろうか。

中野区議会図書室規定には「図書資料を閲覧できる者は、議員のほか事務局長の許可を得た者とする」とある。

中野区議会図書室規程

区議会事務局の事務局長が許可する者だけが利用できるとも読める。しかし地方自治法の条文に照らせば、中野区の規定は、特段の事情がある場合(たとえば子どもなど)の利用を妨げることができるというような趣旨と解される。

私たちの仲間は、大勢の職員に見守られながら廊下で立ったままチェックした資料の必要部分をコピーしてもらったが、中野区議会図書室規定に「図書資料は、議員及び事務局長の許可を得た者に貸出しすることができる」とあり、貸出も可能なはずだ。

図書室にどんな資料があるか公開されてない

そもそも、中野区議会図書室にはどんな資料があるのか? それすら公開されていないので一般区民は資料を探しようがない。

区立図書館

2004年以降の会議録は区議会HPに。古い会議録は?

中野区議会は本会議と委員会の会議録を区議会ホームページで公開している。しかし2004年以降の会議録のみだ。

【会議録検索】中野区議会ホームページ

それ以前の古い会議録は紙しかない。

本会議と一部委員会会議録は図書館に

私たちの仲間が、古い中野区議会会議録の所在と、中野区議会図書室蔵書目録の存否について、中野区立中央図書館レファレンス係にメールで問い合わせた。2021/11/20に返事が返ってきた。

当館で所蔵している平成15年以前の中野区の議会議事録は本会議以外では、予算特別委員会、決算特別委員会のみです。

図書館にある古い会議録は本会議、予算特別委員会、決算特別委員会のみで、それ以外の委員会はない。図書館で所蔵する委員会の議事録と速記録は次の通り。

・予算特別委員会
【資料1】『中野区議会予算特別委員会議事録』(A66/A)平成12年から所蔵しています。
【資料2】『中野区議会予算特別委員会議事速記録』昭和58年から平成11年まで所蔵しています。
・決算特別委員会
【資料3】『中野区議会決算特別委員会議事録』平成11年から所蔵しています。
【資料4】『中野区議会決算特別委員会議事速記録』昭和58年から平成10年まで所蔵しています。

レファレンス係は、その他の委員会の会議録についてはわからないということだった。しかし区議会図書室にはあることを、前述の仲間が大勢の区議会事務局職員に見守られるという目に遭いながらも確認している。

1984年の区議会図書室目録

図書館からのメールは、区議会図書室目録について、次のように回答してきた。

当館で所蔵している中野区議会図書室の蔵書目録の最新は「昭和59年3月31日現在」となっており、以降発行されていない可能性があります。  

1984(昭和59)年。37年前ってすごいね。本当にこれ以降作ってなかったらどうしましょう。この目録は中央図書館にあるから借りた。

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中野区議会図書室『蔵書目録 昭和59年3月31日現在』

興味深い内容なので下に全文公開する。資料リストに著作権はないから適法。ファイルが大きくてダウンロードしないと読めないかもしれない。

中野区議会図書室 蔵書目録(昭和59年)

資料は多くの公共図書館と同様、日本十進分類法(NDC)により分類されている。内容はレファレンス資料や郷土資料、行政関係の資料が充実しているほか、意外なことに一般書もたくさんあった。『自治研究』など雑誌の定期購読もしていた。

はしがきによると、中野区議会図書室の蔵書目録は1969年度に初版、1980年度に改訂版発行。この1984年度版は再訂版だ。なんと1981年度からは隔月に「図書室だより」を発行して新たに収集した図書資料を紹介していたという。本格的だ。

インターネットがなかった時代におそらく網羅的な議会図書室を目指したもので、その時代には議会図書室で調べものをする区議会議員の姿がふつうにみられたのだろう。目録の記載によると、このころは区議会図書室担当の職員もいた。

中野区商工名簿は、中央図書館には昭和38年版しかないが、目録には昭和53、57年版がある。区内商店街の歴史を調べるときに必須の資料ではないか。

区政資料センター

区政資料センターの目録はない

中央図書館の『中野区議会図書室 蔵書目録』は、もともと中野区の「区政資料センター」にあったものだ。区政資料センターは規模縮小の名目で事実上廃止され、現在「区政資料センター」として若干の資料が公聴・広報課前の廊下に置いてある。その資料の目録の存否を、私たちの仲間が11月24日に広聴・広報に問い合わせた。

区役所4階の企画部広聴・広報課広報係における区政資料の閲覧(予算書、決算書等の区政資料や区議会の各委員会提出資料、議事録等の閲覧)についてお尋ねします。
1.  閲覧が可能な資料の目録(蔵書目録その他)は存在していますか。
2.  目録の閲覧はどこで可能ですか。(例えば、企画部広聴・広報課広報係、中央図書館、区議会図書室など)
3.  目録が閲覧可能な場合、目録の写しの交付を受けることは可能ですか(写しは光ディスクによる交付が望ましい)。
4.  3. が可能な場合、交付を受けるための方法をご教示ください。(例えば、情報公開請求をする、企画部広聴・広報課広報係のコピー機で自らコピーするなど)。

「目録はない」というメールが返ってきた。

お尋ねの目録についてですが、あいにく蔵書資料の目録はございません。
申し訳ありません。
区役所4階のエレベーターホール横の通路に、書架3台で収納できる分の区政資料を配架しています。 現在の主な蔵書資料は下記のとおりです。
・予算書 平成31年度~令和3年度
・決算書 令和元年度~令和2年度
・区議会の各委員会提出資料 概ね過去1年分
・予算特別委員会議事録 平成30年度~令和2年度
・決算特別委員会議事録 平成30年度~令和2年度
・区議会定例会会議録  平成30年度~令和3年度
どなたでも自由に閲覧できます。また、資料は広聴・広報課のコピー機でコピーしていただくこともできます(白黒1枚10円、カラー1枚20円)。

資料一覧を作ってHPで公開してくれた

ところが12月6日に突然「資料一覧を作ってホームページで公開した」というメールが届いた。

先日ご案内いたしました、区役所4階の広聴・広報課で閲覧できる区政資料についてですが、 閲覧場所は、書架3台分の限られたスペースですが、区政資料センターという名称で運営しております。
今回、この区政資料センターの閲覧資料一覧を作成しホームページに掲載いたしました。
蔵書目録の代わりとしてご活用いただければ幸いです。
今後とも中野区政へのご理解、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

区政資料の閲覧をお知らせするホームページ↓

区政資料の閲覧 | 中野区公式ホームページ

区政資料センター閲覧資料一覧のリンク↓

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/102500/d001047_d/fil/kuseisiryouitiran.pdf

あらまー(感動)。利用する住民がいれば、広報で作ってホームページで公開してくださるんですね。

ネット公開された資料一覧を見ると、現在のものが中心ながら、意外と区政資料が網羅されている。現在の区政資料センターは廊下の片隅に本棚が少し放置されているみたいな印象になっていて勿体ないので、この一覧をみてもっと利用されるといいのではないか。

一覧に区議会会議録はあるが、新しいものしかない。古い区議会委員会会議録は、区立図書館にも区政資料センターにもなく、区議会図書室にしかないことが確定した。

資料センターは廊下の片隅

以前、中野区には区民に区政情報を提供する専用の区政資料室(区政資料センター)が設けられていた。最初は区役所4階に、2001年に1階に移されたが、利用者減少と区ホームページへの情報の移行を理由に2009年ごろ規模縮小された。

現在は公聴・広報課前の廊下に追いやられ、上のメールにある通り「書架3台分」しかない。

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中野区役所4階の廊下。左奥が「書架3台分」の「中野区区政資料センター」。右奥は公聴・広報課、奥が中野区議会。2021/5/7撮影

庁舎が狭いという理由もあるかもしれないが、区議会図書室の例もあるし、中野区は情報を求める区民を廊下で遇しがちなのだろうか。

小規模とはいえ何度か利用する住民の姿を見たことがある。区立小中学校の「教科用図書選定調査委員会」会議要旨のように、ホームページで公開されず図書館にも置かれずここにしかない資料もある。教科書選定委員会については下記リンク先のブログ参照。

さて、区議会図書室の目録は?

情報開示請求

そして1984年ではなく現在の区議会図書室に何があるのか? 私たちの仲間が「最新の蔵書目録」を情報公開請求した。

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開示決定は12月9日に出た。公開決定通知書 ただし受け取れるのは12月14日から。なぜ?

中野区は資料を作って開示することがある

中野区の情報公開条例には「実施機関は、区政に関する情報で文書等の記録媒体により保管していないものの公開を求められた場合は、説明等の方法により当該情報を提供するよう努めるものとする」という規定がある。中野区区政情報の公開に関する条例

この規定により、中野区は存在していない資料の公開を求められたときは資料をつくって開示してくれることがある。目録は開示請求を受けて作成した、あるいは最新データにアップデートしていたため時間がかかったと推定される。

開示された区議会図書室目録

下が開示された中野区議会図書室目録だ。開示された資料は.xls 形式で、下のリンクからGoogle スプレッドシートで開くことができる。

docs.google.com

目録記載資料の内訳
資料の分類 件数 (中野区の地域資料)
白書 22
11
東京都 32
特別区 38
中野区 72
中野区教育委員会 37
中野区議会 20
東京都議会 15
事典・年鑑 36
法令 140
個人情報保護 11
情報公開 6
地方税 7
地方公務員 7
地方自治 110
政治 18
環境 43
保健衛生 56
高齢者福祉 54
児童福祉 3
障害者福祉 1
福祉一般 1
まちづくり 39
防災 18
議会 35
教育 62
国際化 18
労働 8
非核・平和 35
女性 20
その他 74

同じ分類が表の2カ所以上にある場合は件数をまとめた。

目録の特徴

1984年の『蔵書目録』と違い、一般的な公共図書館で行われている日本十進分類法ではなく、アルファベットと数字を組み合わせた分類記号がつけられている。最後の「その他」分類の74件は分類できない資料ではなく、未分類の資料だ。

中野区は2004年から区立図書館全館の業務を民間委託し、2013年から民間企業の指定管理にした。1984年の区議会図書室の目録は、区立図書館が直営で図書館司書が中野区職員だった時代に作成されている。そのため図書館と同じ日本十進分類法による作業が可能だったのではないだろうか。

図書館法第3条に、図書館は議会図書室とも「緊密に連絡し、協力し、図書館資料の相互貸借を行うこと」とあるが、2013年から一貫して中野区立図書館全館の指定管理者であるヴィアックスと紀伊國屋書店は、中野区議会図書室に何か協力しているのだろうか?

図書館法 | e-Gov法令検索

目録記載資料の特徴(中野区関係以外)

最新目録によって、現在も中野区議会図書室の蔵書の多くは一般書とレファレンス資料であることがわかる。

一般書とレファレンス資料、および中野区関係以外の特別区や東京都や国の資料は、タイトルから年代がわかる資料については1990年代ごろのものだ。中野区議会図書室は2000年代になる前に中野区関係以外の資料を入手することをやめたと思われる。「未分類」資料も1990年代ごろのものが多いことなどからみて、その頃から資料の整理もされなくなったと推測される。

地方自治法(前掲)によれば、国と都道府県は地方自治体の議会に官報、公報及び刊行物を送付しなければならず、議会図書室はそれらを保管するために設置が義務付けられている。目録のタイトルを見るかぎり、国と都道府県の資料で2000年代以降の年代がタイトルに入ったものは見当たらない。年代が入ってないものには、もしかして新しい資料もあるのかもしれない。

目録記載資料の特徴(中野区関係)

中野区関係の資料は「中野区」分類が72件、「中野区教育委員会」分類が37件、「中野区議会」分類が20件。やはり1990年代ごろの資料が多いが、古いものもある。

区立図書館に所蔵されているか、区や区議会や区立図書館のホームページなどで公開されている資料が多いようだが、「地域センター・住区協議会関係」「中野刑務所移転等」などとざっくりとして中身の詳細が不明なタイトルがついているのも目立ち、見てみないとわからない。

残念なことに、1984年の目録にあった中野区商工名簿昭和53、57年版は、最新の目録には存在しない。そこにしかない資料をなぜ除籍するかね。

中野区議会委員会の会議録は、「中野区議会」分類のところに「議運委、各常任委、各特別委会議録」「各常任委、各特別委会議録」という2件の資料がある。会議録のタイトルには年代が書いてないが、区議会ホームページにも区立図書館にもない古い委員会会議録はここにしかない。

委員会「資料」というタイトルのものについている年代がいずれも1990年代までなので、もしかしたら会議録も1990年代までしか所蔵してないかもしれない。

付録: 中野区の資料や古写真などの所在

資料や古写真などは区の各機関に散在している。このほかに国立国会図書館国立公文書館など中野区以外の機関にももちろんある。

中野区

▽区HP-中野区公式ホームページ

Wayback Machine デジタルアーカイブ-「なんでも、すぐ消す中野区」のアーカイブあります - 中野非公式リポート

▽区政資料センター(このほど資料一覧がウェブ公開)-区政資料の閲覧 | 中野区公式ホームページ

▽なかの写真資料室(中野区が所有している古い写真のごくごく一部がウェブで公開されている)-中野区 なかの写真資料館

中野区議会

▽2004年以降の区議会会議録-【会議録検索】中野区議会ホームページ

▽区議会図書室(このほど目録が開示)- 図書目録データ.xls - Google スプレッドシート

中野区立図書館

▽資料検索-詳しく探す | 中野区立図書館

▽中野区立図書館デジタルアーカイブ-中野区立図書館デジタルアーカイブ | 中野区立図書館にある資料をデジタルアーカイブで閲覧

中野区立歴史民俗資料館

▽ウェブサイト-山﨑記念 中野区立歴史民俗資料館について | 中野区公式ホームページ

れきみんには調査研究室があって中野区に関する参考図書が所蔵されているようだが未確認。あと、れきみんは区民に呼びかけて古い写真を収集しているが詳細不明。

それから区内の各区民活動センターなどにも地域の古い写真があるらしいがよくわからない。

中野区議会の小宮山区議(無所属)のツイートによると、区所有の歴史写真が中野区役所の地下や鍋横区民活動センターの倉庫等に約3000箱あり、2021年度それをデジタルアーカイブ化するための予算もついていたが、コロナのために中止になったそうだ。

追記: 2022年3月「中野区ちいきの写真館」公開

中野区立図書館は2022年3月、区が所有する古写真を公開するサイト「中野区ちいきの写真館」を新たに開設した。まず鷺宮地域の写真が公開され、今後他地域の写真も追加されるそうだ。

中野区ちいきの写真館

同月開かれた中野区立中央図書館利用者懇談会での中央館長の発言によると、上記中野区広聴・広報課所蔵の写真も今後公開される模様。

(2022年3月の追記ここまで)

関連記事など

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(中野非公式通信)& (く)

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