中野東図書館、超高層書架のダミー本のお値段は? (情報公開請求、2022年5月。記事更新は6月)

中野東図書館超高層書架4〉
中野東図書館の超高層書架に配架されたダミー本のお値段が情報開示された。開示された以外の費用についても記事の下の方で言及している。2022/6/7記

中野東図書館、開館

話題の超高層書架にダミー本が配架

中野区立中野東図書館(東京都中野区中央1)は2022年2月、開館した。

ツイッター炎上した吹き抜け3階分の超高層書架は、1番下の5段分は本棚として役に立っている。それ以外の、つまりほとんどの棚は文豪イラストとダミー本のスペースとなった。

結構空きが多い。あと、せっかくの巨大本棚だが、吹き抜けの奥行きが狭すぎるため全体を満遍なく鑑賞するのはなかなか大変だ。

中野東図書館超高層書架のダミー本。2022/5/16(く)撮影

このダミー本は、発泡スチロールの板の側面に壁紙のような紙を巻いたもののようだ。いったい幾らかかったのだろうか? 私たちの仲間が中野区に情報公開請求した。

情報公開請求

請求内容

開示決定書

吹き抜け書架開示決定書

2022年5月2日付の区政情報公開決定通知書(上記)によると開示された文書は3件。

(1) 吹き抜け書架展示経緯及び参考製品
(2)【請求書】発泡スチロール
(3)【請求書】本のカバー

私たちの仲間が請求した内容は、上の開示請求書の通り「中野東図書館の吹き抜け及び階段部分の高層書架に設置されたダミー本(本ではないが背表紙部分等が本のように見えるものを指す)について、購入前に参照したカタログ類(品名及び価格のわかるもの)及びその納入に係る見積・納品・請求書その他の購入に関する文書。もし、納入と設置が不可分の一契約であって、見積・納品・請求の過程を経ていない等の場合は、設置に関する契約書」だった。

しかし区の開示決定書の請求内容からは「もし、納入と設置が不可分の一契約であって、見積・納品・請求の過程を経ていない等の場合は、設置に関する契約書」の部分が勝手に削除されていた。

3件の開示文書からわかったこと

ダミー本はアマゾン掲載の商品を参考に指定管理者が作った

開示文書1 吹き抜け書架展示経緯及び参考製品

中野区の担当者によると、この文書は「請求されたものがなかったので作った」とのこと。

中野区の情報公開条例(下記)は、該当の文書が存在しない場合、説明その他の手段によって情報を提供してくれることになっている。そのため時々、開示請求を受けて作った文書が提供される。

中野区区政情報の公開に関する条例

〈経緯〉

時期 出来事
2021/10/29 中野区立図書館の指定管理者(株式会社ヴィアックスと紀伊国屋書店)、デザインと発泡スチロールにカバーを巻く案を決定
12月中旬 指定管理者、発泡スチロールとカバー発注
12/23 指定管理者、発泡スチロールとカバー納品、貼り付け作業
2022/1/5, 12 指定管理者、設置

「中野区教育委員会事務局へは、随時口頭及び現物等を報告」と書かれている。

〈ダミー本作りの参考にしたもの〉

アマゾン掲載の3商品。アマゾンの商品ページに作り方は書いてないんではないかと思われる。商品写真を見て真似して作ったってことだろうか?

ダミー本、出来合いのをアマゾンで買ったとしたら、ダミー本なのに6冊2800円とか結構高い。節約のため手作りしたのかしら。司書さんたちが?

司書っていうとRPGラノベの登場人物みたいだけど、現実の司書は他にもいろいろ忙しい。読めもしないダミー本づくりに結構な手間を取られたとしたら気の毒だ。

し‐しょ【司書】〘名〙
①書籍をつかさどる職。〔周礼−天官・司書〕
②図書館運営の専門的事務を担当する職員。図書館法に規定される一定の資格を有し、図書、記録の整理、保存などに関する事務に従事する人。〔図書館令(明治三二年)(1899)〕
小学館 精選版 日本国語大辞典

ダミー本1600個分の発泡スチロールは約10万円

開示文書2【請求書】発泡スチロール

ダミー本材料の発泡スチロール1600個の代金は税込10万3400円。

ダミー本1600個材料費は計16万円弱、1個あたり99円

開示文書3【請求書】本のカバー

ダミー本のカバーは税込5万5000円。カバーの納入業者は指定管理者の代表企業であるヴィアックス。

発泡スチロールとカバーを合わせたダミー本の材料費は税込計15万8400円となる。1個あたり99円。

発泡スチロール1600個にカバーを貼って作った

「吹き抜け書架展示経緯及び参考製品」によると、指定管理者がこの発泡スチロールとカバーでダミー本を作って設置した。

「吹き抜け書架展示経緯及び参考製品」に「貼り付け作業」とあるから、具体的には発泡スチロールに、ツルツルしたコート紙のカバーを接着剤で貼ったんだね。

納入された発泡スチロールの数は3サイズ合わせて1600個。カバーは1630枚。指定管理者(の司書さんたち?)は超高層書架に入れるダミー本を1600個も作ったようで、なんというかお疲れさまでした。

開示された以外の費用

開示文書に足場費用含まれず

開館前、関係者は超高層書架は「裏がある」から裏から操作できると威張っていた。なんか取材にもそうやって答えていた

しかし裏から開けられるのは1番下の書棚と文豪イラストがある展示スペースだけ。超高層書架の棚の約半分だ。残りの半分は裏が各階の床のため裏が開かないダミー本の棚で、足場を組まなきゃ配架できないはずだ。

昨年、ダミー本の配架などのために簡易な足場を組むと1回10数万円、本格的な足場を組むと1回60万円とかの金がかかるらしいという話を耳にした。そのため配架費用についても開示請求したつもりだったのだが、公開された文書には含まれなかった。

開示請求内容後半の「設置」の部分が、開示決定では勝手に削除されたためではないかと思われる。

ロッククライミングが得意な司書さん? (冗談です)

それとも、足場も組まず自社で配架したのか? だから費用が開示されなかったのか?

2021/11/11テレビ朝日の報道によると、この超高層書架は高さ10.5メートル。

(テレビ朝日のニュースのキャプチャ)

高所作業の高さ2メートル以上に該当するため、必要な安全措置を取らなければならない。指定管理者が自社で、つまり専門の業者に委託せず自分のところの司書さんたちなりが配架するのは、労働安全衛生法違反となる可能性がある。なので足場を組むだけでなく配架作業も委託したのではないかと思われるのだが、いずれにせよ開示文書に含まれていない。

書架最上段2段分のダミー本スペースはどうするのかと思ってたら、ダミー本はそこにも入れている。

ロッククライミングが得意な司書さんとか一瞬想像したが、それも労安法違反だろうし、すごく長いマジックハンドにも限度があるだろう。あと考えられるのはドローンとか壁を登るロボットとか? 一体どうやったら可能なのか、ちょっと想像できない。

超高層書架本体は1570万円

2021/12/19付東京新聞の記事「こちら特報部 高すぎる本棚 物議」によると、超高層書架本体は1570万円である。

(2021/12/19付東京新聞こちら特報部 高すぎる本棚 物議」より)

そのお金でどれほど本が買えただろう。

中野東図書館は子どもフロアを中心にいいところも多い(下記リンク先参照)のに、超高層書架に人的金銭的リソースを割く羽目になっているのは残念な話だ。

三重塔メタファどうなった

というか私たちのほか誰も指摘しないけど、この超高層書架は、もともとこの地にあった江戸時代観光名所「宝仙寺三重塔」の「メタファ」として構想されたはずだ(下記ブログ参照)。

それであるならダミー本の背表紙の色で全体として三重塔を表現するとか、別にそれはしなくてもいいけどそれなら他の、ダミー本であってもせめてなんか意味とか必然性の感じられるようなものにするとか、そういうことは考えられなかったんだろうか。

追記:「裏がある」棚は展示替えしたみたい

ダミー本エリアではない展示コーナー、「裏がある」のにいつまで文豪イラストのままなんだろうと思ってたら、展示替えしたみたい。

地元伝統工芸の展示はいいんだけど、下から見ても吹き抜け向かいから見ても、約40cm x 40cmの展示は遠くて見づらくない?

(中野非公式通信) & (く)

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