東京都中野区の「平和の森公園発泡スチロール訴訟」で地裁が損賠棄却/中野区監査委の不作為は認めた(2021年4月)

中野区民が酒井区長に対し、広域避難場所の平和の森公園に埋設された指定可燃物の発泡スチロール代金1億180万5,030円を区に賠償するよう求めた住民訴訟で、東京地裁は2021年4月9日、賠償請求を棄却した。訴訟に先立つ住民監査請求については、中野区監査委員の不作為を認めた。2021/4/9記、4/11加筆

4/9判決後に配布したプレスリリース

プレスリリース 2021年4月9日

件名 東京都中野区「平和の森公園発泡スチロール訴訟」(住民訴訟) 判決

中野区の広域避難場所への可燃物埋設「違法と認められず」/区監査委は住民監査請求を違法に却下

事件番号 東京地方裁判所 令和元年 (行ウ) 第432号
判決日時 令和3年 (2021年) 4月9日 (金) 13:25 (803号法廷)
裁判長  鎌野真敬 (民事第38部)

訴えの内容

中野区が区立平和の森公園(東京都中野区新井三丁目)の再整備工事で2019年に埋設した指定可燃物の発泡スチロールについて、東京都震災対策条例第47条による広域避難場所の不燃化義務違反として、酒井区長に対し、発泡スチロール代金1億180万5,030円を中野区に賠償するよう求めた。

原告は中野区民1人で、本人訴訟による住民訴訟

大量の発泡スチロールは、公園内の草地広場に300メートル陸上トラックを作るため、土地を平坦化する目的で埋設された。当該発泡スチロールの野積みに関して2019年春に東京消防庁が中野区を指導している。この再整備工事、特にトラック敷設と1万7000本を超える樹木伐採は、2018年中野区長選の争点だった。

判決の要旨

・賠償請求は棄却。発泡スチロール埋設は「違法であるとは認められない」。

・中野区監査委員は原告の「適法な本件住民監査請求を不適法なものとして却下したと認められる」。

資料

訴状や判決文を含む書面と訴訟の全記録は、右のQRコードまたはURLから閲覧してください。
https://t.co/P6Dgy5Vfao?amp=1

3回の口頭弁論と5回の進行協議について都度記したnoteは、左のQRコードまたはURLから。
https://note.com/orangkucing/m/me2ade9f91ead

照会先

原告名は「中野区民」でお願いします。原告への連絡は、メールアドレス ■■■■■■@■■■■.■■ まで。

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 *判決後に上のプレスリリースを司法記者会に配布した。このサイトではQRコードは省略し、スパム避けのためアドレスの文字列を■■で置換している。

4/11加筆: 判決の概要

判決書リンク - 判決書.pdf - Google ドライブ

争点1: 監査不作為の判断

原告の中野区民は2019年7月、平和の森公園への発泡スチロール埋設が東京都震災対策条例に違反しておりそのための支出は違法として、中野区監査委員に監査請求を申し立てた。

じゅうみんかんさせいきゅう【住民監査請求】
地方公共団体の財産の不当な処理などがあった場合に、住民が、監査委員に対して、監査を求め、また、行為の防止や是正、地方公共団体の受けた損害の補塡など必要な措置を求めること。
大辞林 第三版

しかし同年8月、中野区監査委員は「住民監査請求の要件を欠き不適当」として、監査を実施しない決定をした。

中野区監査委員は、髙橋信一・前中野区総務部長(代表監査委員)、下田政廣・税理士、および中野区議会の森たかゆき(立憲)、小林ぜんいち(公明)両議員の4人。

地裁: 監査すべきだった

2021年4月9日の判決で、東京地裁は「中野区監査委員は,適法な本件住民監査請求を不適法なものとして却下したと認められる」と、監査委員がこの件を監査すべきだったとし、不作為を認めた。

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中野区は「本件支出命令がされることが相当の確実さをもって予測し得たということはできない」と主張したが、地裁は「相当の確実さをもって予測することができた」と判断した。

監査委員仕事しろ

原告が今回の訴訟を起こしたのは、監査委員が監査しなかったからである。監査が適切に行われていれば提訴の必要はなかったかもしれない。中野区も訴えられずに済んだかもしれない。地裁は今回の判決で監査すべきだったとしている。つまり、住民監査請求について中野区監査委員は機能していない。仕事しろ。

争点2: 発泡スチロールの支出は適法か

原告は、中野区が広域避難場所である平和の森公園に埋設した多量の発泡スチロール(積水化成品工業のソイレンブロックDF)が、JIS K7201(酸素指数26以上)の基準を満たさない消防法上の指定可燃物で、したがって東京都震災対策条例の不燃化義務を果たしていないとした。

地裁: 条例や契約書で酸素指数26以上である材料が要求されていないから適法

地裁の判決は、東京都震災対策条例が避難場所に酸素指数26以上でない材料を使用することを禁止すると解することはできないため「原告の主張はその前提を欠く」とした。

また、平和の森公園工事の施工業者との契約書類が、JIS K7201 より緩いJIS A9511 の基準しか要求していなかったため、その基準を満たしたソイレンブロックDF 埋設のための中野区の支出は適法と判断した。  

条例にも契約書類にも避難場所に指定可燃物を埋めてはいけないと書いてないから適法、という判決である。

提訴から判決に至るまとめ

 

(中野非公式通信)

 

 

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東京地裁前のプレート。2021/3/30撮影


 

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