郷土史

戸田城聖の出獄は豊多摩刑務所表門からではない ― 決定的な証拠を発見

豊多摩刑務所表門(中野刑務所正門)は、池田大作(創価学会第3代会長)著の小説『人間革命』の冒頭で主人公の "戸田城聖" が出獄したとされている創価の聖地だ。『総合』という雑誌の1957(昭和32)年9月号の対談記事で、本物の戸田城聖(創価学会第2代会長。公明…

【PR】中野区産業振興センターと中野バプテスト教会の土地の歴史とそれを元にした小説(同人誌新刊)のお知らせ

《下記は note の記事 の転載です》 少し昔の中野の歴史を調べている、私たちのサークルで同人誌新刊(紙の本)を発行したのでお知らせします。2023/10/7記 ◇ Orangkucing Lab Journal 猫人研究所雑誌 第2号 2023年10月号 『緑瞳の黒猫と積善と:少し昔の、中…

中野区は歴史写真をデジタル化したら捨てるみたい(2022年10月)

2022年8月19日、東京都中野区の歴史写真をデジタル化するために整理する、第1回のボランティアに参加した。区の担当者が「ペーパーレスをどこかで決断してデータ化する必要がある」と説明したので「元写真は全部捨てるのか」とメールで公聴・広報課に問い合…

中野区産業振興センターの場所にかつて屋敷があった塩川家の墓の顛末 (2022年9月)

多磨霊園にあるはずの塩川家の墓を見にいったらなくなっていたので、どうなったか調査した。塩川は中野区産業振興センターの場所にあった屋敷に戦後まで住んでいた (敬称略。引用文を新漢字新仮名遣いに変更) 2022/9/8。塩川の華麗な姻戚関係を若干末尾に追…

中野区の敬老館から「堀江」の名が消えた顛末 (2022年6月)

〈記事概要〉 旧中野村名主・堀江家の最後の末裔が中野区に寄贈した東京都中野区中野2丁目の土地に、遺言に基づき中野区は1975年に区立の「堀江老人福祉センター」を開設、1994年に「堀江高齢者福祉センター」と改称したが、2014年に廃止、「堀江敬老館」と…

中野区産業振興センター入口の伐採されたケヤキは誰が植えたのか。堀江家と料亭「ほととぎす」について(2022年4月)

中野駅南口近くの中野区産業振興センター(東京都中野区中野二丁目13−14)入口のケヤキ(推定樹齢98~117年)が2022年3月、倒木防止のためとして伐採された。昔、文壇の人々などが集った料亭「ほととぎす」の門前にあった木である。ケヤキと、この場所のかつての…

中野東図書館の超高層書架は設計会社が「宝仙寺三重塔メタファ」として提案、中野区が「トイレを隠す」と「ツライチ」を要望し現在の形に (情報公開請求、2021年12月)

〈中野東図書館超高層書架3〉 【ダイジェストのダイジェスト】 中野東図書館の超高層書架は、設計会社の提案では「宝仙寺三重塔のメタファ」で、図書館に入ると最初にどーんと目の前にそびえているという趣向だったが、中野区が書架でトイレを隠すことを要望…

旧中野刑務所正門(中野区文化財「旧豊多摩監獄表門」)に半円形アーチ窓が増設された時期についての考察(2021年11月)

現在の旧中野刑務所正門(旧豊多摩監獄表門、通称 平和の門)の煉瓦造の建物には、優美な半円形アーチ窓がある。この窓が戦後の増設であること、すなわち、GHQによる接収後に米陸軍刑務所(U.S. Eighth Army Stockade)として使用されていた時期(1946年3月-1956…

旧中野刑務所正門(中野区文化財「旧豊多摩監獄表門」)見学会と刻印煉瓦について(2021年11月)

旧中野刑務所正門(旧豊多摩監獄表門、通称 平和の門)の一般見学会の様子を紹介するとともに、門に使われた煉瓦の製造場所を示す刻印について記す。2021/11/6記 旧中野刑務所正門見学会 現状で最後の公開 特徴的な煉瓦積み 正面扉、シャンデリア、守衛室、記…

東京都中野区の中野通りにある桃園橋は1936年に「コンクリート造」の旧橋が現在の鋼鉄桁橋に換架。「木造」だったという通説を覆す論証(2021年6月)

約85年前に完成し鋼鉄の橋桁をもつ桃園橋(東京都中野区中央)は2021年10月ごろに撤去開始となる。現在の橋に架け換わる直前の旧橋は、通説では木造の橋だったとされている。本稿では、旧橋が木造ではなくコンクリート造だったということを、写真や文献を比較…

中野区教委が旧中野刑務所正門を「旧豊多摩監獄表門」として区文化財指定。審議会傍聴申込は無視されました(2021年6月)

2021年6月4日、東京都中野区教育委員会は旧中野刑務所正門を「旧豊多摩監獄表門」として区の文化財に指定した。中野区文化財保護審議会の答申を受けて決定した。 私たちは同審議会の傍聴を申し込んだが中野区は無視した。2021/6/5記 区は6月8日に門の文化財…

桃園橋は2021年6月に欄干など撤去。橋の本体部分は10月ごろ撤去開始。昭和初期の鋼鉄桁を含め全て撤去する(東京都下水道局情報公開)。一部保存を調整中(2021年5-6月)

1936年(昭和11年)につくられた桃園橋(東京都中野区中央)の撤去工事が2021年4月始まった。橋の撤去工事は同年10月ごろからであることが、東京都下水道局が情報開示した文書で分かった。現在中野通りの舗装の下になっている鋼鉄の橋桁や下部構造も含め全て撤去…

撤去工事が始まった桃園橋に関する備忘(2021年4月)

2021年4月、中野通りの拡幅のため、桃園川暗渠に架かる桃園橋(東京都中野区中央4〜5丁目、1936年建造)を撤去する工事が始まった。桃園橋に関する資料を備忘のためまとめた。2021/4/27記 撤去工事直前の様子 桃園橋 桃園川緑道 下水道局工事 桃園橋に関する資…

中野区教育長と教育委員の後任人事、および中野区教育委員会の弱体化について(2021年2月)

概要 かつて準公選制が誇りだった東京都中野区の教育委員会は、見る影もなく弱体化した。 2021/2/22記 概要 現在の選任状況 教育長と委員2人の後任人事 委員構成の変遷 推薦登録者選任復活なるか 形骸化した区民の声反映のしくみ 教育委員準公選制 準公選制…

中野区平和資料展示室オープン。空襲や原爆などの資料に加え、旧中野刑務所正門に言及のパネルや『この世界の片隅に』も(2020年11月)

中野区平和資料展示室 中野区立平和の森公園内の中野区立総合体育館(a.k.a. キリンレモンスポーツセンター)1階。東京都中野区新井三丁目37。開室6:45-22:30。第2月曜(休日のときはその翌日)と12/29-1/3休み。入場無料。 概要 展示室 展示 入口付近 1 中野の…

中野区立歴史民俗資料館の庭園にある茶室、椎の木、民具など(2020年10月)

概要 中野区立歴史民俗資料館 庭園公開 茶室と書院 椎の木 民具など 概要 中野区立歴史民俗資料館の庭園には茶室と書院、椎の巨木があるほか、わりと無造作な感じに民具などが置かれている。2020/10/23記 中野区立歴史民俗資料館 中野区立歴史民俗資料館の所…

大正時代の図書館女性専用室(中野区立哲学堂公園の古建築物内部公開)(2020年10月)

概要 哲学堂公園 古建築物内部公開 絶対城(図書館) 婦人閲覧室 井上円了と女性の教育 その他の古建築物 哲学堂公園再整備見直しの現状 追記1: 国名勝指定されたから検討やり直すみたい 追記2: 2021年度哲学堂公園の予算ない 概要 中野区立哲学堂公園の古建築…

中野刑務所正門と『人間革命』

創価学会が正史として扱う聖なる書物『人間革命』(池田大作著)。その冒頭シーンの背景は中野刑務所正門(当時は豊多摩刑務所表門)である。 本稿では、『人間革命』の初版や最新版、アニメ版など6つのバージョンを入手して調べ、中野刑務所正門がどのよう…

中野区立歴史民俗資料館、常設展示室リニューアル。「歴史殺し」の悪評は返上されたでしょうか(2020年4-6月)

山崎記念中野区立歴史民俗資料館 東京都中野区江古田四丁目3-4、入館無料。開館9-17時、月曜と第3日曜休み(要確認)。地元での愛称「れきみん」。地元名士故山崎喜作氏寄贈の土地に建っているため名前に「山崎記念」を冠している。 概要 「歴史殺し」とは リ…

「平和の森公園の草地広場を守ってください」寳樹稲荷社 (東京都中野区の新井天神北野神社境内、旧中野刑務所を守っていた神社)

新井天神境内 由来、社号碑 寳樹稲荷社の歴史 合祀前 旧中野刑務所内 旧中野刑務所内、現在 仮校庭 中野刑務所跡地 旧中野刑務所正門 中野刑務所廃庁 平和の森公園 参考: 市ヶ谷監獄跡地 元の狐 新井天神境内 寳樹稲荷社 (ほうじゅいなりしゃ)。新井天神北野…