中野区議選の自民、公明、共産の得票数が過去最少だった(2023年5月更新)正副議長、議運委員長いずれも非自民

2023年の東京都・中野区議会議員選挙は、自民党公明党共産党の得票数が、いずれも過去最少となった。統一地方選の他の選挙と同様に、主要政党の票の落ち込みが目立ったが、とりわけ自民票が激減した。2023/5/12更新

(短い記事ですが、諸般の事情で更新が遅くなりました。敬称略)

中野区議会の正副議長、議運委員長、監査委員がいずれも非自民になってびっくり。5/25追記

投開票結果

中野区議選は2023年4月23日投票、24日開票が行われた。60人が立候補し、定数の42人が当選した。投票率は1.54ポイント増の42.0% 。

中野区議会議員選挙の開票結果 | 中野区公式ホームページ

中野区議選投票結果(中野区選管HPより)

各党議席数増減

各政党の獲得議席数と増減は下の表の通り。自民と共産が1減、立憲と公明は増減なし。都ファ1増、生活者ネット議席回復。維新、国民、れいわが中野区議会で初めて議席を獲得した。N党の議席はなくなった。

政党(増減) 改選後 改選前
自民(-1) 8 9
立憲(±0) 8 8
公明(±0) 8 8
共産(-1) 5 6
都ファ(+1) 3 2
維新(+1) 1 0
国民(+1) 1 0
れいわ(+1) 1 0
ネット(+1) 1 0
N党(-1) 0 1
無所属等 6 7
42 41(欠1)
各党得票数の推移

1995年から今回まで8回分の中野区議選の各党得票数をグラフにした。今回、主要政党の自民、立憲、公明、共産はいずれも票を減らしたのだが、とりわけ自民票が激減した。区議選で出口調査が行われていないため理由は不明だが、壺だろうか。代わりに維新新人が、3人当選できたほどの大量得票でトップ当選した。

1995-2023年の中野区議選各党得票数

それにしても自民(2万1732票)、立憲(1万9486票)、公明(1万5963票)は、この得票数差でいずれも8議席である。相変わらず公明の票配分のうまさが際立つ。とはいえ今回、練馬区議選ではそのやり方が裏目に出て4人落選したわけだが。

自民、公明、共産の得票過去最少

Wikipedia「中野区議会議員選挙」が、最新の選挙結果を反映して更新されている。

昭和22(1947)年の第1回統一地方選からの中野区議選のデータが、各候補者の得票数などを含め全て網羅されている。

それを見ると、今回の自民、公明、共産の今回の得票数は、いずれも過去最少だった。主要政党の票は、長期逓減傾向にある。(立憲も過去最少といえばそうなのだが、2017年結党で今回は中野区議選まだ2回目なので、その表現をしては大袈裟かと思う)

最下位当選0.415票差

今回の中野区議選では、最下位当選の共産党現職と次点の参政党新人が0.415票差だったことが話題になった。次点の候補者は選管に異議申し立てをした。

中野区議選挙で異議申し立て、0.415票差で落選の参政党新人 : 読売新聞

小数点以下の票差は按分票の故だ。上記Wikipedia では、今回と過去の中野区議選の按分票も解説されている。

異議は6月1日棄却。

改選後の議会構成

立憲が国民、ネット入れた最大会派に

8人当選の立憲は、改選前から会派に加わっていた無所属1人のほか、国民民主とネット各1も入れて11人の会派を結成、中野区議会最大勢力となる。

与党は改選前より拡大

中野区議会は立憲と共産が与党で、改選後の与野党は今のところ同数だ。

・与党16(立憲11、共産5)-改選前の15(立憲9、共産6)から増加。

・野党16(自民8、公明8)-改選前の17(自民9、公明8)から減少。

改選前は自民が議長を出していた。今度こそ議長は立憲から出すのだろうか。議長は議会運営の権力を持つ一方、議決に加わらないため、議長を出すとその会派は1票少なくなる。成り行きが注目される。

与党16に、区長派無所属の立石りおと、区長支持団体「区民の声・中野」に応援されていたれいわ新人を加えれば18になる。ただし議決における立石の行動は必ずしも与党と同じではないので、単純に足し算はできない。賛否拮抗する議案のときは、中野区職員が無所属議員を賛成するよう説得して回っている。

都ファは与党か野党のままか

また、都ファは昨年の区長選で酒井区長を応援したから、もしかしたら与党に加わるのかもしれない。その場合は与党は都ファ3を加え21になり、定数42の半数になる。

今回当選した新人のうちの1人が酒井区長政治団体元副代表だし、常識的に考えれば都ファは与党のはずだ。

しかし区議選改選前も、区長が都議選で都ファ候補を応援したりしてたが、都ファの会派は区議会与党ではなかった。選挙で区長を応援したけど野党のままというようなことも、もしかしたらあるんだろうか。政治家のすることはよくわからん。

確かに、日本会議会員のうちの大三郎が会派幹事長をしてる都ファが、立憲と共産と一緒に区議会与党を組むとしたら、すこぶるどうかと思う話ではあるよね。

5/30追記: やっぱり与党みたい

(追記ここまで)

会派の賛否の縛りはどうなるか

立憲会派に入ることについて、当の国民新人はこう言っている。

中野区議会では同じ会派の人は議案の賛否同じにしなきゃいけないという縛りがある。このツイートは、その縛りをなくしてもいいと言われてるとかなんだろうか。

この縛りがどの程度のものかっていうと、2022年3月、中野区議会での予算に対する賛否が都ファの会派2人の間で割れて、会派を解消している。そのうちの1人は今回落選したから、残りの1人と新人2人の3人で会派は組むんだろうと思うが、賛否の縛りがもしなくなれば、与党になりやすいんじゃないかなと勘ぐっている。

ただ縛りをなくすのは、自民公明その他が承諾しないだろうなーとも思う。

無所属等は左も右も同室

維新と国民が会派を組むのかなと思ってたから、国民新人が立憲会派に入るのは意外だった。むしろ区長支持団体に応援されていたれいわ新人が立憲会派に入るのだろうかと思っていた。

維新新人とれいわ新人は会派に入らないようだ。

「7人」ということは、会派に入らない無所属と議席1の政党が全員同じ議員控室ということになるのではないか。つまり:

むとう有子、石坂わたる、小宮山たかし、立石りお(以上無所属現職); 吉田康一郎(諸派現職); 斉藤けいた(維新新人); 井関源ニ(れいわ新人)。

……うわー。

護憲派のむとう、LGBTの石坂、入管法改正案抗議デモに参加する井関が、旭日旗シャツを愛用し議員控室にも旭日旗を飾る吉田(改選前は落選したN党と同室だった)と同じ部屋で仕事するのは、ストレスが溜まりそうで同情する。

(5/25追記)正副議長、議運委員長、監査委員が非自民

議長立憲、副議長公明

5月25日、中野区議会は議長に立憲、副議長に公明の議員を選出した。

議運委員長は立憲

監査委員は立憲と公明

中野区議会の正副議長、議運委員長、監査委員がいずれも自民党以外になった。ちょっとびっくり。

裏話的なこと

(中野非公式通信) & (く)

中野駅近くの中野区議選ポスター。2023/4/17撮影