中野区教委が閉鎖性を区議に指摘され非公開の打合せを行って区議会に抗議 (情報公開請求、2023年5月)

東京都・中野区教育委員会は、非公開が多いことなどを区議会議員に批判され、その議員に対する「措置」を区議会に公文書で要請した。ところが、その公文書さえ、あろうことか教委が非公式かつ非公開の秘密の「打ち合わせ」で決定していたことが区民の情報公開請求でわかった。2023/5/18記

経緯

区議が区教委批判

2022年9月14日、中野区議会本会議の一般質問で小宮山たかし議員(無所属)が中野区教育委員会を批判した。一般質問全文は下記会議録参照。

令和4年09月14日中野区議会本会議(第3回定例会)

批判の内容は「区民が教育委員のプロフィールを知りたいと思ってホームページを開いても、何も情報が載っていない」「区民は教育委員会の偉い偉い先生のお言葉を直接頂戴することさえできない、区民は教育委員の先生と言葉を交わすことができない」「非公開の会議を連発する」「情報隠蔽体質」「教育委員会のメンバーはたった5人、特定の業界や団体からの指定席みたいなものをつくってはいけない。医療の専門家が5人中2人もいるのはおかしい」などだ。

区教委が区民の納得しかねる理由で審議を非公開にしたり、定例会を休会と見せかけて臨時会を開いていたりする件や、委員選任をめぐる問題は、当ブログでも取り上げている。

区教委が区議会に抗議

2022年10月、教委が区議会に抗議し「適切な措置」を要請した。区議会は議会運営委員会で取り扱いを協議したが、立憲の森たかゆき議員が「教育委員会から議会・議員に対する圧力であり、こんなものを議会として受け入れてはならない」と主張したことから、区議会がなんらかの措置を取ることはなかったという。

詳細は下記小宮山議員のブログ参照。

出る区議は打たれる「中野区教育委員会がおそれた区議会議員」 – 中野区議会議員 小宮山たかし 思い出洋品店ブログ

情報公開請求

議員に批判されたといって、行政が議会に抗議し対応を求めるという、ちょっと考えてもダメだと思うんだが、そういうことがどこでどのように決定されたのか。区民が情報公開請求した。

申し入れ作成過程のわかる文書は保管していない

5月に情報一部公開が決定された。

情報公開決定.pdf - Google ドライブ

上の通知書で、中野区教育委員会事務局は、申し入れ作成過程のわかる文書は「保管をしていないため」公開できないとしている。

教委が抗議に用いた公文書

公開された、教委の申し入れ公文書。

教委申入れ.pdf - Google ドライブ

申し入れの中で教委は、児童生徒やPTAなどと「直接対話している」、傍聴人からの質問や要望は事務局職員などが対応している、「必要な案件を非公開として取り扱っている」、「特定の業界や団体からの指定席」はない、などと反論している。

回議用紙

公開された、教委の回議用紙。決定権者が入野貴美子教育長であることや起案者などがわかる。

回議用紙.pdf - Google ドライブ

3回の打ち合わせ

この回議用紙によると、2022年9月14日の小宮山発言のあと、教育長と教育委員が9月16日、30日、10月7日に「対応について打ち合わせを行い、文書により申入れを行うこととした」とある。

9月16日には第28回定例会、30日には第29回定例会とそれに引き続く第6回臨時会(秘密会)、10月7日には第30回定例会とそれに引き続く第7回臨時会(秘密会)があった。

ところが申し入れ作成過程のわかる文書、つまり、対応について打ち合わせた内容を記録したようなものは「保管をしていない」という。

どういうこと?

ようするに、議会に圧力をかけたとも取られかねない重大な公文書を、中野区教委は記録も残さないような非公式かつ非公開の秘密の「打ち合わせ」で決定していたというわけだね。

公開性に関する教委の認識

中野区教委の非公開性・閉鎖性は小宮山議員の当該議会発言以外でも問題になっている。

区民の陳情

元教師ら区民のグループが中野区教委との対話や意見交換を求める陳情を出したことがある。教委は2022年4月15日の定例会で、対話や意見交換は十分しているからこれ以上は必要はない、みたいなことを言って採択しなかった。詳細は下記会議録を参照。

中野区教育委員会会議録

問い合わせ

教委から議会への申し入れ公文書(上述)の存在は、ある区民の情報公開請求で最初に明らかになった。

この公文書の内容に疑問を感じた別の区民が質問状を出し、教委事務局から回答を得ている。

(中野非公式通信) & (く)

中野区役所。東京都中野区、2023/5/10撮影