旧中野刑務所正門「曳家」へ変更の責任を中野区所管課が押しつけあう。決定したけど「曳家できないかも」。何だそれ(2021年2月)

概要

・東京都中野区は2021年2月、区議会区民委員会と子ども文教委員会で、旧中野刑務所正門を現地保存する従前の発表を撤回し、曳家(移築)する決定をしたことを伝えた。各委員会において、現地保存を曳家に変更する検討と決定について、区民部は子ども教育部が、子ども教育部は区民部がやったと発言し、互いに責任を押しつけあった。

・子ども教育部(教育委員会事務局)が所管として文化財に関する質問に答えた。

・曳家を決定したのにもかかわらず、区民部は、基本設計の過程で「曳家ができないとか時間がかかることが分かる可能性もある」と含みを持たせた。

自民党は早くから曳家を主張していたのに、今回の決定に不満。定例会で議論を続けると予告した。立憲民主党公明党も移築を要望していたのに、今回の決定への評価を明らかにしていない。

共産党と無所属の保存派は曳家による保存を、解体撤去ではないため評価している模様。

自民党文化財指定されなければ解体撤去可能と考えているふしがある。共産党はいつ文化財指定するのか再三尋ねているが、中野区は頑として答えず。

・展開がなんだか平和の森公園300メートルトラックと似ていて不穏。

・区民部が説明会の参加者をプロ市民呼ばわり。2021/2/12記

・追記: 区議会は3/11「旧中野刑務所正門の保存・活用に向けた検討」のための予算2945万5000円を含む2021年度予算を可決した。立憲は曳家「評価」を表明。

所管課が責任押しつけあう

中野区は2021年1月18日の庁議で旧中野刑務所正門の曳家方針を決定、中野区議会には2月9日の区民委員会と10日の子ども文教委員会で報告した。

区民委員会資料「旧中野刑務所正門の取扱いについて」 

https://kugikai-nakano.jp/shiryou/2121294814.pdf

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区民委員会で無所属の近藤さえ子議員が、現地保存から移設に方針が変わったのはなぜか尋ねたところ、中野区区民部の矢澤文化国際交流担当課長は「文化財保護審議会の答申と教育委員会の意見があったから」とし、「現地保存は無理という検討は子ども教育施設課がやった」と答えた。

しかし翌日の子ども文教委員会では、塚本子ども教育部子ども教育施設課長が「今回、最終的な取扱いを区民部が判断した」と発言した。

つまり、現地保存から曳家への変更を検討・決定したのは自分の課ではないという認識を、所管の区民部区民文化国際課と子ども教育部子ども教育施設課の課長がいずれも示し、責任を押しつけあった。

また矢澤課長の「答申と教育委員会の意見があったから」は、確かに形式的にはそうなのだが、酒井区長が教育委員会に意見を求めた2019年12月より前から、中野区は事実上曳家に傾いており、判断の責任を転嫁する発言だ。教委意見提出に至る経緯は下記参照。

子ども教育部が所管認める

文化財教育委員会の管轄であることが文化財保護法などで決まっているが、中野区は区長部局である区民部が所管していておかしい。そのことは下記記事に書いた。

もし上記塚本課長の発言の通り、文化財の「最終的な取扱いを区民部が判断した」としたら、違法の可能性が高い。

中野区議会でも、文化財は子ども文教委員会ではなく区民委員会の担当で、10日の子ども文教委員会では自民党の高橋ちあき委員長が、委員会をわざわざ休憩にして、委員に「検討結果の所管は区民部」と釘を刺す場面があった。中野区議会の委員会で職員は、担当でない質問は「所管外」として答えないことが多発している。あとで所管に照会して書面で返答するとかでもなく、単に答えないことが許されている。

その子ども文教委員会で、共産党の小杉一男議員は「文化財教育委員会の所管なので尋ねる」と前置きした上で、中野区が旧中野刑務所正門の文化財指定をいつするのか質問した。永田子ども・教育政策課長(教育委員会事務局子ども・教育政策課長)は「教育委員会文化財保護審議会に諮問、答申を受けて教委と区が指定を検討する」と、一般論を言うに留まったが、ともかくも子ども教育部(教育委員会事務局)に、所管として文化財に関する答弁をさせることに成功した。

補助執行を標榜する事実上の所管

文化財の所管に関しては、上で述べたごく最近の質疑以外でも、議会で質問が出ている。

とりわけ、自民党の伊東しんじ前議員の2019年2月25日区議会予算委員会での質問が重要だ。伊東は文化財保護法の改正(2019/4/1施行)に触れ、文化財指定に関し(その所管が区長部局の場合には)文化財保存活用地域計画の策定が必須であると指摘した。そのとき、平田健康福祉部副参事(文化・スポーツ担当)が「区としましては、現在、補助執行で文化財に係る事務を全て区長部局で行っているということもございまして、来年度も補助執行でその事務を取り扱っていくことを考えているところでございます」と、文化財指定を含めた文化財全ての所管が区長部局であることを悪びれることなく認めている(2019年3月までは、健康福祉部(文化・スポーツ担当)が旧中野刑務所正門を含む文化財の所管で、区議会は厚生委員会が担当だった)。

しかしながら、平田副参事の答弁には「補助執行で」(=権限的には教育委員会。人事的には区長部局)という修飾語がついている。もし補助執行ということなら、教育委員会事務局が事務を全て行うはずで、つまり、「補助執行で文化財に係る事務を全て区長部局で行っている」という部分の前半と後半が矛盾して意味不明になっている。

このときに伊東が問題にした文化財保存活用地域計画の策定義務は、別の法律が「条例を制定すれば、区長部局が文化財の保護に関することを所管できる」ように改められたことに伴い、文化財を区長部局の破壊から防ぐための歯止めとして追加された規定である。改正前は、そもそも、その別の法律(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第23条1項2号)が、文化財を区長部局が所管することを明示的に禁止していた。しかし、中野区では田中前区長と田辺前教育長の時代からずっとこの条文を無視し、文化財は区長部局が補助執行を標榜しながら事実上の所管(=権限的にも区長部局)をするという違法状態だった(ただし、文化財指定に関する直近の議案(2018/5/25付)によると、文化財に係る事務のうち文化財指定だけは例外的に教育委員会が議決していたようだ)。そして現在に至るまで文化財保存活用地域計画どころか区長部局が所管するために必須の区条例すら定められていない。

つまり、伊東(2019年の区議選で落選)は、文化財に係る事務の所管に関し、区長部局による「補助執行を標榜する事実上の所管」の状態が区長が田中から酒井に、教育長が田辺から入野に変わっても継続していること、そして、文化財指定だけを例外的に扱っていたことの2点を、現在の担当が知っているかどうかをこの質疑で確認したのだ。 

所管変更は2011年度

中野区で文化財の所管が教育委員会から区長部局(健康福祉部)に変わったのは田中前区政の2011年度だ。このとき、すでに教育長は田辺裕子(2009/12/15就任)になっていた。

健康福祉部の事業概要について説明させていただきます。(中略)学習スポーツ分野でございます。昨年度までは教育委員会所管の分野でございましたが、今年度の目標体系の見直しによりまして健康と福祉を所管する健康福祉部の分野となったものでございます。生涯学習に関する情報提供、事業の実施、支援を行う生涯学習調整担当と生涯学習支援担当がございます。また、スポーツ施設の提供や支援を行うスポーツ担当、区内の文化財保護に関する事務を取り扱う文化財担当がございます。

田中健康福祉部長、2011/6/28中野区議会厚生委員会

文化財を担当する部署についてでございます。生涯学習やスポーツ、文化財保護などの活用につきましては、第2次10か年計画の健康生きがい戦略やまち活性化戦略などに基づきまして、区長部局で一体的に推進していくことが、区民の生きがいを高め、文化を振興していくために一層効果的であるという考え方から、健康福祉部が担当することとしたものでございます。

田中健康福祉部長、2011/12/5中野区本会議

その後上記のように、文化財の所管は2019年度に健康福祉部から区民部に移った。

本会議では区長や区長部局が答弁

2011年度以降も、田中前区政では田辺前教育長や教育委員会事務局が「旧中野刑務所正門の取扱い」を答弁していた。

だが2018年6月の酒井区長就任後、区議会本会議で「旧中野刑務所正門の取扱い」に関しては、2020年9-10月の第3回定例会までは全て、区長または区長部局幹部が答弁していた。この間、教育長(2018年6-12月は空席)や教育委員会事務局は、平和の森小学校新校舎建設関連に限定して答弁していた。入野教育長は本会議では初めて2020年11月26日(第4回定例会)で「門の取扱い」に答弁した(質問は実際には新校舎建設の遅れについてであった)。しかし第4回定例会(11-12月)本会議の残りはまた酒井区長が答弁した。

参考: 区民部事業概要

中野区区民部事業概要2020年度版

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/211500/d028738_d/fil/jigyogaiyo.pdf

区民部が所管している文化財関連業務が記載されている、この事業概要中に「教育委員会」または「補助執行」の文字は1カ所もない。

"曳家できない可能性も"?

さて、誰がどこでなぜ決定したかの問題はひとまず置こう。ともかく中野区は旧中野刑務所正門の曳家を決定した。旧中野刑務所正門に関する工事は、2021年度に基本計画と保存活用計画、2022年度に基本設計、2023年度に実施設計、2024-2026年度に曳家関連工事、そののち公開開始、という段取りが示された。

しかし2021年2月9日の区民委員会で、共産党のいさ哲郎議員が「曳家で時間が思ったよりかかるというリスクはないか?」と聞いたところ、矢澤課長が「基本設計をやっていく中で、実際には強度が弱くて、曳家ができないとか時間がかかることが分かる可能性もある」と謎めいた発言をした。

子ども文教委員会でも、戸辺子ども教育部長(教育委員会事務局次長)が「来年度からの基本計画などによって実施設計が決まる。短縮を図りながら、早く(平和の森小)学校ができるよう調整したい。門のコアを抜いたりといった調査によって決まる」として、2021-2022年度に基本計画や基本設計を策定する過程で旧中野刑務所正門のコア穿孔による調査をし、その結果により工事内容が変わる、との見通しを述べた。

"技術的に可能"と判断したのに?

中野区は「技術的に可能」と判断したから、旧中野刑務所正門を曳家で移動して保存する方針を決定した。決定を正式に報告する場で区幹部が揃ってこのような含みのある発言をするのは、一体どういうことなのか。

区が曳家を「技術的に可能」と判断した根拠は、中野区が専門業者に作成させ、2019年10月に刊行された『旧中野刑務所正門学術調査報告書』(中野区区民部文化・国際交流課=当時の部署名=発行)だ。この報告書は、2020年に中野区立図書館デジタルアーカイブで全文が公開された。下記記事参照。

区議会各派の態度

共産(中野区議会与党)と無所属保存派

田中前区長と田辺前教育長は、旧中野刑務所正門を壊す方針だった。戦前戦中に思想犯や政治犯を収監した豊多摩刑務所(中野刑務所)に先人を多く投獄された歴史を持つ共産党は、酒井区長の現地保存決定を当然に歓迎したが、2020年11月に中野区が現地保存を曳家による保存に変更する方針を明らかにしても、それ以来そのことに対し、諸々質問はしても明確な異議は唱えていない。

10日の子ども文教委員会では、共産党と同様に門の保存を訴えてきた無所属のむとう有子区議が「曳家で門を残すのは結果的にはよかった」として、移築にしろ保存される方針であることを評価した。区民委員会の近藤区議も同様の態度を示した。

旧中野刑務所正門保存派は「曳家による保存」(解体撤去ではなく)を防衛ラインに設定しているように思える。

また無所属の石坂わたる区議は、かねてより現地保存がいいと思っていたようだが、9日の区民委員会でもそう述べて、曳家で金がかかるのなら区民や区民以外から金を集めることを考えてもいいのではないかと述べた。石坂議員はまた、文化財保護審議会が答申で提示した「保存・公開必要面積」(40.27m x 38.45m)が、審議会で「一択だったか」尋ねた。門の曳家先でこの面積が確保できないことも石坂議員は問題にしている。

自民党(区議会野党)

中野区議会最大野党の自民党は現地保存に激しく反対し、中野駅前の街宣や、平和の森小学校学区内に怪文書を撒くなどして抵抗した。

2019年2月1日の区長による「現地保存」記者会見のあと、早くも2月25日の区議会予算特別委員会で、伊東しんじ前区議が「あの門の持つ力、歴史の重み、そうしたことを考えれば、現地保存にこだわらず曳家をすればいいんです。4億円、5億円かかろうが今の平和の森公園の南西、入り口のところに引いていけばいいんです」と曳家を提案した。

(この伊東の提案は、上述の「補助執行を標榜する事実上の所管」で触れた部分を含む、彼の長い質疑の最後に、彼が要望として述べた部分にあたる。)

今回の決定は、移築先が平和の森公園ではなく矯正研修所跡地内であることを除けば、ほぼ伊東が要望した通りになった。費用も伊東が言った通り約5億円だ。

ところが自民党はなぜか歓迎していない

今回、2021年2月10日の子ども文教委員会で、いでい良輔区議(7月の都議選に立候補予定)は、2020年11月29日に近隣町会(新井西町会と新井南町会)への説明会で参加者から出た「"正門は必要ない" という意見は決定にどのように反映されたのか」「保存ありきという声が近隣町会から上がっている」として、近隣町会の声を借り解体撤去を求めていると取れる発言をした。

塚本課長は「実現できない意見が出てしまった」と釈明した。

移設先の場所に関しては、9日の区民委員会で伊藤正信と市川しんたろう両区議が、門の移転先の近隣住民に丁寧に説明する必要があると主張した。

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立憲民主党(与党)

2018年12月の子ども文教委員会で、平和の森小学校建て替えと旧中野刑務所正門に関する陳情を審査した際、立憲民主党は門の解体又は移築を求める項目に反対(=現地保存に賛成)した。この陳情の件、詳細は下記参照。

しかし2019年2月の酒井区長の現地保存発表のあと、同年6月28日の区議会一般質問で立憲民主党のひやま隆区議は、区長に「良好な学校環境の確保と開かれた形での門の活用の両立を実現するべく、取り扱いについても改めて検討していただきたい」と移築保存の検討を要望した。

ところが念願の移築決定が伝えられた今回の報告の際、区民委員会の森たかゆき区議は発言の中で決定への評価を示さず、子ども文教委員会の斉藤ゆり区議(副委員長)はそもそもこの件で発言せず、同じく子文教の中村延子区議は欠席だった。

公明党(野党)

田中前区政で与党だった公明党は、田中前区長の頃は自民党に同調して門の解体撤去方針を容認していた模様だ。

2018年12月の陳情審査では、公明党は門の解体又は移築を求める項目に反対(=現地保存に賛成)した。

区長が現地保存を発表したあとは、2019年9月11日の中野区議会一般質問で木村広一区議が、旧中野刑務所正門の「移築が可能であれば移築を検討すべき」と発言した。

しかし今回、移築が決まったにもかかわらず、区民委員会の木村、子ども文教委員会の平山英明(区議会副議長)両議員は、いずれもこの件で全く発言しなかった。

中野(豊多摩)刑務所正門は、公明党の支持母体である創価学会戸田城聖第2代会長が出獄したとされる聖地のはずだ。詳細は下の2つの記事を参照されたい。

その公明党の態度が二転三転し、今回の曳家決定には賛否を明かしていない。不可解であり不気味だ。

都ファ(野党)と元都ファ無所属

都民ファースト2名と、元都民ファーストの無所属いながきじゅん子区議は、門の解体撤去を主張している。

各会派態度まとめ

共産党と保存派無所属は、曳家による保存を容認しているようだ。立憲民主党公明党は、移築を主張してきたのに、いずれも曳家決定を歓迎するでもなく態度を明らかにせず。自民党はできれば壊したいと思われる。

文化財指定をめぐる攻防

自民党は「正門は必要ないという意見の反映」がされなかったことを疑問視した。しかし上記学術調査報告書と文化財保護審議会答申、教育委員会意見には、いずれも門が高い文化財的価値を持つことが明記された。文化財的価値が高い建造物の解体撤去が、果たして可能であると自民党は考えているのだろうか。

もしかしたら自民党は、文化財指定されなければ門の解体は可能だと考えているのかもしれない。共産党文化財指定の時期を再三尋ねているが、中野区は答えようとしない。

区民委員会で共産いさ議員がいつ文化財指定するのか質問したのに対し、矢澤課長は「土地売買契約締結後に検討を始める。一般論として教育委員会が諮問→文化財保護審議会1〜2回開催。答申→教育委員会議決で2~3ヶ月かかる」と、子ども教育委員会の永田課長と同様に一般論を言うにとどめた。

なお、「中野区登録文化財・指定文化財一覧」のページがなぜか2020/4/1以降、削除されたようなので、インターネットアーカイブに残る当該ページを貼っておく。

今後の展開など

舞台は2021年度予算審議へ

今回の「曳家」決定は、議会の議決を必要とせず、議会には報告を以って手続きが済んだらしい。今後、区議会の各会派は、区の各年度における旧中野刑務所正門関係の予算への賛否によって、態度を示していくことになる。

この門の取扱いということだけに関して申し上げますと、議決事項という形ではありませんので、やはり予算の議決をいただく際にこの門の関連経費が上がってきます。ですから、それに対する賛否で御判断いただくというような形になろうかというふうに思っております。

青山区民部長、2020/11/9中野区議会区民委員会

2021年2月9日の区民委員会で、自民党の伊藤区議は「定例会でも議論する」と宣言した。2月15日-3月23日の中野区議会第1回定例会で、中野区の2021年度当初予算が審議される。

予算案の区長記者会見は2月4日にあり、主な取り組みとして「旧中野刑務所正門の保存・活用に向けた検討」のための予算2945万5000円が発表された。

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正門の取り扱いについての決定が、先に記者発表されたことについて、区民委員会と子ども文教委員会で休憩中に自民党議員が議会軽視として苦情を述べた。

2月9日の区民委員会と10日の子ども文教委員会は、当初2月2日に設定されていたが、1月30日に複数の区議の新型コロナ検査陽性が明らかになったため延期され、それで2月4日の予算発表のあとになった。

昨年の予算審議の再来か?

昨年の第1回定例会での予算審議の際、自民党公明党は広報費や子ども教育費などを中心に削減する2020年度当初予算修正案を提出し、議決前に取り下げ、予算は原案のまま可決された。しかし修正案により削減が要求された項目の多くは、その後結局、新型コロナ感染拡大による支出抑制を理由に削られた。詳細下記参照。

その他

平和の森公園と似ている感じがする

酒井区長が2018年区長選で公約した平和の森公園再整備見直し問題では、共産党は区長就任の当初より「草地広場に300メートル(陸上)トラックを作らせない」ことを防衛ラインに設定し、中野区はトラックをやめる見直し案を作った。ところが、自民党が批判していた手続きの瑕疵(見直し案がパブリックコメント手続きを経ていない)を、態度を曖昧にしていた公明党が最終段階で問題にしたために、2019年3月に工事見直し議案が議会を通らず、田中前区長の計画そのままの工事が行われ、トラックも作られた。詳細は下記の記事やまとめ参照。

この手続きの瑕疵問題は、なぜそうなったのか謎が多いのだが、それはともかく、現状の展開がなんだか似ている感じがして、事態が同様の経過をたどらないか心配だ。 

保存派が仮に手続きの瑕疵に目をつぶって曳家による保存を支持するなら、現地保存に続き曳家による保存すら、平和の森公園工事見直しと同様に潰されるのではないかと懸念している。

区民部職員が区民をプロ市民呼ばわり

2月9日の区民委員会の休憩時間に職員席で「説明会に来てたのはプロ市民」と言う者がおり、皆でゲラゲラ笑っていた。

中野区では文化財保護を訴えるとプロ市民なのか? 中野区は区の説明会に参加する住民に対しそんな偏見を持っているのか?

中野区は2020年11月に平和の森小学校の保護者向けと上記近隣町会向けの説明会を開いたあと、12月23日に平和の森小学校学区の住民限定の説明会を開催した。参加者が定員より少なかったため、学区以外の住人も参加できた。しかし区民の財産である貴重な文化財の取り扱いに関わることなのに、中野区は区民全体を対象にした説明会を開かなかった。 詳細下記参照。

区民部の職員がプロ市民呼ばわりしたのは、この時の参加者である。

10日の子ども文教委員会では、無所属吉田康一郎が学区以外からの参加を「政治的」と誹謗した。

2018年9月には篠国昭(2019年の区議選で落選)、1984年9月には川井しげお(のちの都議、2017年の都議選で落選)のいずれも自民党区議が中野区議会で、区政に関わろうとする区民をプロ市民扱いする暴言を吐いた。下記まとめ参照。

これらのことから分かるように、区政に関心を持つ区民をプロ市民呼ばわりするのは、中野区では日本会議の伝統だ。中野区職員も日本会議なのか?

なお説明会に関しては、自民党は、まだ決定しない段階で行ったので意見交換会であるべきだったとしている。文化財の所管はもちろん、記者会見を議会報告より先に行った議会軽視、意見交換会か説明会かといった、細かいところまで問題にする姿勢をみせている。

教育委員会でも報告

中野区は区議会に続き、2月12日の教育委員会定例会でも旧中野刑務所正門の取り扱い方針を報告した。

渡邉仁委員(医師)が「文化財保護は教育委員会の大切な事業」と発言した。中野区教育委員会の仕事に、学校教育だけでなく文化財も含まれることがやっと認識されたようだ。

おまけ: 社会教育の所管も教委から区長部局に移管

2021年2月18日の中野区議会本会議一般質問で立憲の斉藤ゆり議員が、区民の人気が高かったなかの生涯学習大学が新型コロナを理由とした支出抑制のため新入生募集が終了されるのに関連して、社会教育の所管が教育委員会ではなく区民部になっていることを問題にし、「教育委員会に戻すべき」と訴えた。区長は「今後検討する」と答弁した。

中野区は、社会教育の所管も、文化財の所管と同様に2011年に教育委員会から区長部局に移している。

追記: 区議会第1回定例会で門の予算可決

中野区議会は2021年3月11日「旧中野刑務所正門の保存・活用に向けた検討」のための予算2945万5000円を含む2021年度予算を賛成多数で可決した。

自民はあまり追及せず

閉会中審査の委員会で自民党(区議会野党)は「定例会でも議論する」と宣言していたが、中野区議会第1回定例会の一般質問でも予算特別委員会でも大した追及はしなかった。

2021/2/17中野区議会本会議(一般質問)
自民伊藤正信: 門の取り扱いを議会に報告するより前に記者発表したのは遺憾。曳家に4億9600万円、保存に年100万円、厳しい財政状況で進める必要あるか。資金を区民サービスでなく門の保存に当てるのか。
酒井区長: 文化財保護審議会が極めて重要としており、区として保存公開する必要ある。

3/1中野区議会予算特別委員会総括質疑
自民内川和久: 曳家方針決定は区長のリーダーシップかトップダウンか。
担当職員: 曳家を最終的に区長の判断で決定した。
内川: 昨年の3回開いた意見交換会で曳家がいいという意見はあったか。
矢澤: 11/20に1件12/23に1件あった。
自民若林しげお: 曳家に金と時間をかけるのはどういうことなのか。

3/3予算特別委員会区民分科会
自民伊藤: 近隣に説明したか。
矢澤: 今月中に説明する。
伊藤が全費用の詳しい内訳を尋ねると矢澤は答弁保留。40分くらい後に部下の係長が持ってきた『旧中野刑務所正門学術調査報告書』の一部をプリントかコピーした紙に記載されている内訳を何度も吟味し、そこから数字を拾い20分ほどかけて読み上げる、という奇妙なことをした。

3/5予算特別委員会区民分科会
旧中野刑務所正門「保存・活用に向けた検討」予算2945万5000円を含む2021年度予算を「意見なし」として予算特別委全体会合に申し送りすることを決定。矢澤課長は理事者の後ろの壁際の椅子に青い袋に一杯の書類を抱え緊張して座っており、分科会の羽鳥だいすけ主査(共産)が予算案に「意見なし」を宣言した瞬間、非常に嬉しそうな様子をした。

3/11本会議(予算可決)

2021年度予算可決。自民市川しんたろうが賛成討論したが、旧中野刑務所正門については言及すらなかった。自民は何を目論んでいるのだろうか。

共産は文化財指定の言質取る

3/1中野区議会予算特別委員会総括質疑
共産(区議会与党)いさ哲郎: 契約はいつか。
矢澤課長: 2月18日に土地売買契約を締結した。
いさ: 文化財指定はいつするのか。
矢澤: 区が取得したのち速やかに検討したい。

3/11中野区議会本会議
共産羽鳥だいすけが予算への賛成討論で、区が旧中野刑務所正門の「文化財指定の方針を明確に示した」ことを賛成の理由のひとつとした。

立憲は「評価」

曳家による保存に対する賛否が分からなかった立憲民主党(与党)だが、3/11に中村延子が予算に対する賛成討論で「我が会派は評価する」と賛意を明らかにした。

公明は依然賛否不明

公明党(野党)は閉会中審査に続き第1回定例会でも曳家による保存に賛成なのか反対なのか分からなかった。3/11の小林ぜんいちの予算への賛成討論では旧中野刑務所正門に言及はなかった。

その他

2/26中野区議会予算特別委員会総括質疑
都ファ(野党)渡辺たけし: 区民サービス向上につながらない曳家の予算はおかしい。
3/11本会議
無所属石坂わたるは予算への反対討論の中で旧中野刑務所正門の予算を評価した。

3/26方針を区HPに掲載

つづきの記事

 

(中野非公式通信)&(く)

 

 旧中野刑務所正門の記事やまとめなど

 

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旧中野刑務所正門。2021/3/24撮影

 

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