中野区議会副議長は初の立憲民主党から。監査委員は「立・公」から「自・公」に逆戻り(2021年5月)

東京都中野区議会は2021年5月24日の臨時会で正副議長を選出、初めて立憲民主党の議員を副議長に選んだ。区議会与党の立憲は現在、区議会野党の自民と並ぶ最大会派で、来月には単独最大会派となる。
臨時会では新たな委員会の構成も決めた。常任委員会は建設以外は構成のバランスが悪いように思う。議運委員長は自民(野党)から公明(野党)に。
一方、中野区監査委員2人は2019年から立憲と公明だったが、今回、自民と公明に逆戻りした。2021/5/25記 (文中敬称略)

これまでの中野区議会

2019年区議会議員選挙結果。

2019年5月臨時会での正副議長人事など。

本会議

議長は自民のまま

〈新〉内川和久(自民=区議会野党) ←〈旧〉高橋かずちか(自民)

投票結果

定数、投票総数、有効投票数 - いずれも42。単記無記名の投票方式。

内川和久(自民) - 22票 
酒井たくや(立憲) - 18票
若林しげお(自民) - 2票

野党の自民(9票)と公明(8票)は足して17票。都ファ(2票)も足すと19票。与党の立憲(9票)と共産(6票)は足して15票。自公立共都以外は無所属8。

仮に自公都が全員内川、立共が全員酒井に投票したとすると、無所属計8人のうち3人が内川、3人が酒井、2人が若林に投票したことになる。

副議長は公明から立憲に

〈新〉酒井たくや(立憲=区議会与党) ←〈旧〉平山英明(公明=野党)

2018年6月の区長選で、正副議長を出していた自民・公明は区議会野党となったが、2019年の区議会改選後に与党の立憲が自民とともに最大会派になったにもかかわらず、依然として正副議長に自民と公明が選出された。今回、議長は野党の自民のままだが、与党の立憲が副議長になった。

中野区議会で正副議長のいずれかが立憲になったのは初めて。といっても立憲は2017年結党だが。

投票結果

定数、投票総数、有効投票数 - いずれも42。単記無記名の投票方式。

酒井たくや(立憲) - 36票
むとう有子(無所属) - 5票
森たかゆき(立憲) - 1票

仮に自公立共都の全員が酒井に投票したとすると34票。むとうは無所属の最多当選議員であることから、5票は無所属8人のうちの5人ではないかと想像される。

投票は前回より拮抗

前回2019年の議長選挙は42人中41人が高橋(森1票)、副議長選挙は40人が平山(酒井1票、共産長沢和彦1票)だった。

本会議の構成

改選後ではないので今は本会議の構成に変化なし。

[区議会与党]15人(立9、共6)。区長派無所属(近藤さえ子、小宮山たかし、立石りお)を入れると18人だが、区長派無所属3人の投票行動は与党と必ず一致するわけではない。

[野党]19人(自9、公8、都2)。ただし議長が自民のため、議決の際の投票数は18票。賛否同数となった場合は議長が1票を投じる。

区長派でない無所属5人の投票行動はそれぞれだ。

中野区議会は与党より野党の人数が多いものの、どちらも半数に足らず、定数42人中8人が無所属のため票が読みにくい。議決の投票拮抗の際、多数派工作が捗る場面がこれまで少なからずあった。

6月に立憲が単独最大会派に

6月1-15日に中野区議会第2回定例会がある。

自民のいでい良輔は、7月4日投票の都議選に立候補するため、告示の6月25日に区議としては自動失職する見通しだ。

その後は立憲が9人の最大会派となり、自民8、公明8、共産6、都ファ2、無所属8、合計41人(欠員1)となる。

区議会与党(立共)に区長派無所属を加えた数と、区議会野党(自公都)の数はともに18になるが、議長が自民のため、議決の際の野党の票は17。賛否同数となった場合は議長票が投じられる。

今後も無所属議員相手の多数派工作が捗りそうだ。

追記: 6/16いでい辞職

定例会終了翌日の6月16日、いでいは都議選立候補による自動失職を待たずに辞職した。

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委員会

常任委員会

建設委員会以外は構成のバランスが悪いように思う。どうしてこうなったのか。5月24日の臨時会で議長選挙と副議長選挙の間に1時間も休憩にしていたのは、会派間で何か揉めていたのだろうか。

最終的には本会議で決めるから、委員会の与野党バランスは別にいいっちゃいいのかもしれないが、委員会の議決が本会議でひっくり返る場面が今後は増えるかもしれない。

総務(9人)-野党(自公側)優位

【所管事項】政策、財政、契約・財産管理、男女共同参画、広聴・広報、行政評価、情報政策・情報システム、人事・組織、施設の整備・保全、危機管理・防災・都市安全、観光、選挙・監査に関すること、他の委員会に属さないことなど。

[与党]ひやま隆(立-委員長)、中村延子(立)、長沢和彦(共)
[野党]大内しんご(自)、若林しげお(自)、平山英明(公)、日野たかし(公)、内野大三郎(都)
[無所属]立石りお(区長派-副委員長)

与党は3。区長派無所属を入れると4。しかし委員長(最初は投票しない。賛否同数の場合に票を投じる)を除くと3。
野党は5。
野党が与党より実質的に2票も多くバランスが悪い。

区民(8人)-与党(立共側)やや優位。無所属が多い

【所管事項】区民相談、戸籍・住民基本台帳、区民税、国民健康保険後期高齢者医療、産業、文化・生涯学習・国際化、環境・地球温暖化対策、清掃事業・リサイクルに関することなど。

[与党]杉山司(立)、来住和行(共)
[野党]伊藤正信(自-委員長)、高橋ちあき(自)、南かつひこ(公)
[無所属]小宮たかし(区長派)、むとう有子(区長派ではない)、竹村あきひろ(区長派ではない-副委員長)

与党は2。区長派無所属を入れると3。
野党は3。委員長を除くと2。
与党の方が実質的に1票多い。8人の委員会に無所属がなぜか3人も入っていてバランスが悪い。

厚生(8人)-与党優位

【所管事項】地域活動の推進、地域子育て支援・地域保健福祉、介護保険・高齢者支援、社会福祉、スポーツ、福祉事務所・保健所、保健衛生に関することなど。

[与党]山本たかし(立-副委員長)、間ひとみ(立)、浦野さとみ(共)
[野党]小林ぜんいち(公-委員長)、久保りか(公)、高橋かずちか(自)
[無所属]近藤さえ子(区長派)、石坂わたる(区長派ではない)

与党は3。区長派無所属を入れると4。
野党は3。委員長を除くと2。
与党の方が実質的に2票も多くバランスが悪い。

建設(9人)-バランス悪くない

【所管事項】都市計画・住宅、地域まちづくり、交通環境の整備、道路や河川の管理、公園整備・緑化推進、建築に関することなど。

[与党]いさ哲郎(共-委員長)、小杉一男(共)、酒井たくや(立)、斉藤ゆり(立)
[野党]渡辺たけし(都-副委員長)、いでい良輔(自)、市川しんたろう(自)、木村広一(公)
[無所属]吉田康一郎(区長派ではない)

与党は4。委員長を除くと3。
野党は4。いでいが自動失職すると3になる。

子ども文教(8人)-野党優位

【所管事項】区立小・中学校などの学校教育、保育園・区立幼稚園などの幼児教育、図書館、子育て支援・子どもの育成に関することなど。

[与党]森たかゆき(立-委員長)、河合りな(立)、羽鳥だいすけ(共)
[野党]甲田ゆり子(公-副委員長)、白井ひでふみ(公)、内川和久(自)、加藤たくま(自)
[無所属]いながきじゅん子(区長派ではない)

与党は3。委員長を除くと2。野党は4。野党が実質的に2票も多くバランスが悪い。

議会運営委員会(7人)

【所管事項】議会の運営に関する事項の調査、議会に関する議案などを審査する。

[与党]中村延子(立)、森たかゆき(立)、長沢和彦(共)
[野党]木村広一(公-委員長)、平山英明(公)、若林しげお(自-副委員長)、大内しんご(自)

与党3。野党4で委員長を除くと3。少数会派と無所属は議運に入れない。

議運委員長は自民から公明に

委員長が今まで自民(野党)だったのが公明(野党)になった。副委員長はこれまで立憲(与党)だったが今回は正副委員長とも野党になった。

伊東しんじ前々委員長(自民、2019年の区議選で落選)はたびたび休憩(その間に話されたことは会議録に記録されない)を入れてよろしくなかったが、伊藤正信前委員長(自民)になってその点だいぶ改善された。公明の木村新委員長の采配はどうだろうか。

特別委員会

今回、中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会、情報政策等調査特別委員会、危機管理・感染症対策調査特別委員会(各14人)が設置された。なお特別委員会は議決しないため、構成や正副委員長はここでは割愛する。

監査委員は立公から自公に

〈新〉高橋ちあき(自民)、白井ひでふみ(公明) ←〈旧〉森たかゆき(立憲)、小林ぜんいち(公明)

中野区監査委員の議員である委員(2人)は、それまで自・公だったのが、2019年5月に立・公になったが、今回自・公に戻った。ちなみに代表監査委員は前中野区総務部長の定席で、残りの1人の監査委員は税理士。

追記: その後の変化

2022年3月都ファ会派解散

2022年3月自民党一部委員変更

 

(中野非公式通信)

 

 

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中野区議会入口。2020/11/9撮影