文化財保護審議会を傍聴させて! という行政不服審査請求で、中野区が審理員指名を取り消し、お手盛り門前払い方針。びっくり(2020年7月)(8月追記)

概要

中野区の文化財保護審議会がなぜか傍聴できないため、2020年3月、私たちは審議非公開に対する行政不服審査請求を中野区長にして、区長は同月、外部の弁護士を審査請求の「審理員」に指名した。
ところが7月、区長は審査庁(審理を行う担当)を勝手に中野区長から中野区教育委員会に変更し、審理員の指名を取り消した。教育委員会が審理員なしで、当の教育委員会の「審査請求は却下して!」という弁明書に基づき決定するからね、と、お手盛り門前払いを事実上予告してきた。その発想はなかったのでびっくりしている。2020/7/16記

 

経緯(〜2020年3月)

中野区教育委員会は2020年1月、大正時代のれんが建築「旧中野刑務所正門」(東京都中野区新井)の文化財的価値や保存、公開について中野区文化財保護審議会に諮問を決めた。

文化財保護審議会は3月10日に開かれることになったが、中野区区民部文化・国際交流課文化財係から傍聴できないといわれ、情報公開請求したところ非公開の法的根拠も「不存在」だったため、私たちは審議公開を求め3月12日付で中野区長に対し公開を求めて行政不服審査請求をした。なお3月10日の文化財保護審議会新型コロナウイルス感染拡大により延期になった。

これまでにお伝えした経緯はここまで。

 

審理員指名(2020年3月)

2020年3月31日「(審査庁)中野区長酒井直人」から、今回の審査請求の審理員に須田徹弁護士を指名したとのお知らせが総務部総務課の封筒で届いた。

 

区ホームページによると、

審査庁は、審理員意見書の提出を受けたときは、行政不服審査法第43条第1項各号のいずれかに該当する場合(審査請求人が審査会への諮問を希望しない場合等)を除き、中野区行政不服審査会に諮問します。

ということで、須田弁護士の意見書を楽しみに待っていた。標準審理期間は半年で、9月ごろには何らかの決定があるはずだった。

 

事実上の門前払い予告(2020年7月)

ところが2020年7月10日、突然、いずれも7月8日付の文書3通が中野区総務部総務課の封筒で届いた。

1通目 - 審査庁変更と審理員指名取り消し

1通目は酒井区長名で、審査庁を中野区長から中野区教育委員会に変更し、審理員の指名を取り消した、とのお知らせ。

 

区ホームページの説明に、審査請求は審理員が審理する、ただし審査庁が教育委員会その他である場合を除く、とある。審査庁を教育委員会に変更すれば、外部の審理員(弁護士)に審査請求を審理されずにすみ、行政不服審査会への諮問を避けることができる。

 

私たちが審査請求しているのは、中野区区民部文化・国際交流課文化財係が行った「傍聴不可」の処分に対してだ。区民部は2020年2月から3月にかけメールで2度にわたって私たちに「傍聴不可」を告げた。教育委員会はこの件に何も関与していない。

区民部がしたことに関する審査請求の審理を、なぜ区長ではなく教育委員会が行うのか。教育委員会は(当たり前だが)中野区区民部の上級行政庁ではない。

 

中野区文化財保護審議会は、確かに中野区教育委員会のもとに設置されている。だから私たちは区民部文化・国際交流課文化財係に「傍聴不可」と言われたあと、教育長宛に見解を求めたのだが、教育委員会事務局からは3月に次のようなメールにより、見解を明らかにするのを拒否された。

中野区では、地方自治法第180条の7の規定及び中野区教育委員会の権限に属する事務の補助執行に関する規則により、文化財の保護に関する事務は、補助執行という形で、区民部文化・国際交流課で行っています。
また、中野区文化財保護審議会に関しても、中野区文化財保護条例施行規則第23条に基づき、区民部文化・国際交流課がその庶務を行っています。
以上のことから、中野区文化財保護審議会に関することにつきましては、区民部文化・国際交流課にお問い合わせくださいますよう、お願いいたします。

このメールは、文化財保護審議会に関する事務が教育委員会ないし教育委員会事務局の所管でないことを伝えるとともに、教育委員会文化財保護審議会の傍聴可否についての判断を示すのを明示的に拒否している。つまり教育委員会は単に処分をしていないだけでなく、処分を求められてご丁寧にも処分をするのを拒否している。なぜ今になってしゃしゃり出てきた。

このへんのやり取りはこの記事⬇️に記してある。

そもそも、審査庁(区長)がいったん審査請求を受け付けて審査請求書の調査を終え適法な審査請求であると判断し審理員を指名し審理が始まって何カ月も経ってから、突然審査庁を変更し審理員指名を取り消し審理をやめるのはありなのか。区民が公正な審理を受ける権利の侵害だと思う。

参考: 審査請求手続の流れ

 

2通目 - 「(審査庁)中野区教育委員会

2通目は「(審査庁)中野区教育委員会」からの「弁明書の送付及び反論書の提出について」という文書。


内容は、(1)弁明書を同封した、(2)反論したければ8月7日までにして、(3)反論してもしなくても、審査請求については「中野区教育委員会の決定に基づき、裁決する」からね、とのお知らせ。
審査庁を勝手に中野区教育委員会に変更して、中野区教育委員会が弁明し、それを受けて中野区教育委員会が決定、それに基づき中野区教育委員会が裁決するのか。すごいね。上級行政庁どこ行った。

今回のケースは区の処分に関する審査請求の場合なので違うが、法定受託事務(ちなみに、文化財の保護に関する事務は第1号法定受託事務)に係る中野区教育委員会の処分に関する審査請求の場合であれば、審査庁となる上級行政庁は東京都教育委員会になる。

地方自治法255条の2第1項
三 市町村教育委員会の処分 都道府県教育委員会

 

3通目 - 弁明書

というわけで3通目は、中野区教育委員会の弁明書と別添資料7点。


弁明書の趣旨は、

「本件審査請求を却下する」との裁決を求める。

だそうだ。「不適法な審査請求」であるから門前払いしろ、という主張である。それを受け中野区教育委員会が裁決するので、私たちの審査請求は第三者的な外部の機関の審理にかけられることなく「門前払い」が決定した模様。しかし、そもそも中野区教育委員会がした処分でないのに、なぜ中野区教育委員会が弁明しているのか。そしてなぜ処分を行った区民部の上級行政庁でない中野区教育委員会が審理することに、勝手になっているのか。

ちなみ中野区教育員会は弁明書の別添資料として「区民は、区の保有する情報を知る権利を有する」とか書いてある中野区自治基本条例や、区の情報公開条例のコピーを付けている。どういうことかちょっと理解に苦しむ。

 

今後のこと

今回の行政不服審査請求で、私たちは「区民の知る権利に鑑み基本的に審議会は公開とすべきだが現在の委員には非公開ということでお願いしているから任期終了後に対応を検討する」とか何とか、そういう感じのお役所的時間稼ぎ的玉虫色ソリューションを予想していた。
いったん請求を受理して審理員を指名しながら、4カ月後に無理やり審査庁を変更し審理員指名を取り消してまで、審査請求を門前払いにしようとするのは意外だったというか、その発想はなかった。
自治体では普通に公開している文化財保護審議会、中野区はどうしてそこまでして傍聴を阻止したいのか、興味深い。

今後の私たちの対応は後日報告するので、しばし続報を待ってね。

 

2020/8/24追記

中野区教育委員会は8月21日の定例会で「中野区文化財保護審議会への諮問について(答申)」の区民部区民文化国際課による報告を非公開で行った。入野教育長が "意思決定の過程にある案件であることから意思決定の中立性を確保するため、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第14条第7項の但し書きの規定に基き" 議事を非公開にしたいと提案し、委員は"異議なし"で賛成した。会議はそもそも「意思決定の過程にある案件」を話し合うものだと思うんだが、入野教育長何を言ってるのか。

  

つづきの記事(不服審査請求続報はしばしお待ちください)

 

(中野非公開通信)

 

問題の「旧中野刑務所正門」についての記事いろいろ⬇️

 

 

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旧中野刑務所正門。2020/4/1撮影

 

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