秋の情報公開新作🍁 広報アドバイザーがコロナ公表基準について中野区に助言した文書は不存在(2020年9月)

概要

区議会議員が中野区に新型コロナウイルス感染に関する公表の改善を求めたところ、「広報アドバイザーの助言」を受けているからという理由で拒否された。そこで、広報アドバイザーがコロナ感染公表基準について助言したことが分かる文書を中野区に情報公開請求したら、不存在だった。不存在の理由は、助言が「口頭」だったから、だそうだ。2020/9/8記

 

前回

中野区が2020年4月に採用した広報アドバイザーに関し、前回の情報公開請求の結果は下記記事参照。広報アドバイザーが仕事したことが分かる文書は不存在だった。選考と採用に関する文書は公開された。

 

経緯

中野区議会のいながきじゅん子議員(無所属)が、庁内のコロナ感染についてはホームページだけでなくツイッターでも公表するよう中野区に求めたところ、次のように拒否された。

 
「危機管理に長けている広報アドバイザーの助言も受けており、今のやり方を見直す考えはない」。

これ、「広報アドバイザーがツイッターでの公表はしなくていいって言ったからしない」みたいに聞こえるが、それでいいのだろうか。

 

情報公開請求

2020/8/26、中野区ウェブサイトから電子申請で情報公開請求した。

次の文書の開示を請求します。
(1) 中野区広報アドバイザーが2020年4月1日に採用されてから同年8月25日の間に、中野区の新型コロナウイルス感染のウェブやツイッターなどでの公表基準に関し、中野区に助言したことが分かる文書の一切。
(2) 同期間、中野区が新型コロナウイルス感染のウェブやツイッターなどでの公表基準についての助言を広報アドバイザーに求めたことが分かる文書の一切。
(3) 同期間、中野区が新型コロナウイルス感染のウェブやツイッターなどでの公表基準に関し、広報アドバイザーから得られた助言を検討したこと、及び、当該助言の採否など取扱いについて決定を行ったことが分かる文書の一切。

なお、この開示請求は、いながきじゅん子中野区議会議員が2020年8月25日にツイッターに ”「区民に直接大きな影響がある」という公表基準自体が曖昧ですし、人数や濃厚接触者の有無に関わらず感染者が庁内で発生した場合は速やかにTwitterでも公表すべきであると伝えましたが「危機管理に長けている広報アドバイザーの助言も受けており、今のやり方を見直す考えはない」とのことでした。” と投稿した内容に基づいていますので安易に不存在決定しないようご注意ください。

 

不存在

2020/9/8、中野区から区政情報不存在通知書が郵便で届いた(請求人の名前は白塗りした)。

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コロナ公表基準に関し、中野区が広報アドバイザーに助言を求めたこと、アドバイザーが助言したこと、中野区が助言を検討し決定したことが分かる文書は、いずれも「保管している文書等の中には存在しない」とある。

下の方に「存在しない理由」が付けてある。面白いのでこの部分は書き出してみる。

広報アドバイザーは、業務委託契約ではなく会計年度任用職員であるため、業務報告は存在しない。企画部広聴・広報課長の指揮監督の下、区の職員として職務に従事している。
公表基準に関する助言については、口頭により行われているため、請求情報に該当する文書は、作成または取得してない。

 

「職員であるため、業務報告は存在しない」。

「公表基準に関する助言については、口頭により行われている」。 

 

不存在でいいのか&無責任ではないのか

前回記事の最初の方に載せたこれ↓、答えは(2)だったわけだ。

区の「不存在理由」説明に従えば、「仕事したけど仕事した記録が中野区にない」。

 

つまり中野区は、記録にいっさい残さない、証拠も何もない広報アドバイザーの「口頭」での助言に従って、コロナ感染の公表基準という大事な決定をしたことになる。無責任すぎないか。

あったかどうかの証拠もない「広報アドバイザーの助言」を口実に大事な決定をする。中野区は今後も諸々こういうことをするつもりだろうか。年間予算150万円にしては、ずいぶんと区にとって都合のいい存在だな。政策決定の透明性がますます低下して、ますますブラックボックス化する。自治体イメージ戦略的にも逆効果じゃないのか。

また、区職員はいながき区議に「危機管理に長けている広報アドバイザー」と言ったようだが、前回の情報公開請求の記事で伝えたように、中野区広報アドバイザーに採用された佐久間智之氏は最近まで埼玉県三芳町職員で、言うまでもないことだが危機管理の専門家では全くない。何を以て「危機管理に長けている」と言うのか。いい加減な説明はやめてほしい。

佐久間氏は、何の専門家かといえば、分かりやすい自治体広報や見やすいウェブサイトについての専門家と思われる。中野区が仮にもし危機管理が専門でない人に危機管理に関する対応を頼っているのだとしたら、不安しかない。


(中野非公式通信)

 

 

 

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炎上の「区報」にも広報アドバイザーの助言

2020年10月5日付「なかの区報」は、ごみ分別クイズの表紙に外国人の写真を使ってツイッターで炎上し、文字を一部差し替えた。

 

その「なかの区報」についても、広報アドバイザーの助言を得ている旨、2019年度決算説明資料(中野区が2020年9月議会に提出)に記載がある。自治体広報も特に表紙のように目立つところは、隅々まで目配りして然るべきではないか。何のための助言なんだろうか。

 

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