旧中野刑務所正門、中野区が「解体は想定してない」と議会答弁(2020年9月)。最終方針は11-12月議会で

概要

大正時代のレンガ建築「旧中野刑務所正門」(東京都中野区新井)について、2019年2月に酒井直人中野区長がいったん記者会見で発表した「現地保存」方針を再検討中の中野区は、9月の区議会で「解体は想定していない」と答弁した。区は門の取り扱いの"最終的"な方針を11-12月の区議会で公表する。

旧中野刑務所正門のある土地への平和の森小学校移転遅延問題と経緯について。

2020/9/27記

 

中野区、旧中野刑務所正門の解体想定せず

2020年9月23日、中野区議会決算特別委員会の総括質疑で、無所属いながきじゅん子区議が、旧中野刑務所正門の解体を検討すべきではないかと質問したのに対し、区側は「解体は想定していない」と答弁した。共産浦野さとみ区議がツイッターで明らかにした。

解体しないとすると、現地保存と移設のどちらかになる。中野区教育委員会は先日、移設すべきという趣旨の意見を議決した。しかし移設は5年間と5億円かかるとされており、門が立地する土地で予定されている区立平和の森小学校の新校舎建設を遅らせずに行うことは不可能で、現実的ではないとみられる。詳細は下記記事参照。

区が9月23日の答弁で言及した中野区文化財保護審議会の7月30日の答申は、旧中野刑務所正門の文化財的価値を「極めて重要」としている。詳細は下記記事参照。文化財的価値の高い建築物を壊せないのは当然だと思う。それを与条件に子どもたちのためになるソリューションを探るべきだ。

なお決算特別委員会では都民ファースト渡辺たけしが旧中野刑務所正門について、自民市川しんたろうが平和の森小の施設について質問を通告しており、門の解体を主張するのではないかと思われたが、渡辺区議はこの件の質問をせず、市川区議も質問の中で明確な解体主張はしなかった。その中でのいながき区議の質問だった。

 

11-12月議会に"最終"方針

9月18日の市川区議の質問に対し区は、旧中野刑務所正門が立地する、平和の森小学校移転予定地である法務省矯正研修所跡地の、国から区への売り渡し価格が11月に決定するとの見通しを明らかにした。その上で区は、11-12月の区議会第4回定例会で門の取扱案を発表するとともに、当該用地の購入議案を提出し、2021年3月に売買契約したいとした。

9月23日の総括質疑で、いながき区議に先立って質問した無所属むとう有子区議は、酒井区長が現地保存すると発表した2019年2月1日の記者会見から、わずか26日後の2月27日の区議会予算特別委員会厚生分科会で、移設等も検討すると方針転換されており、区長の決定が "軽い" と追及した。今度の決定もまた26日で変えるのではないかと尋ねたのに対し、区長は、2月1日の発表のあと区議会で曳家を含め検討するよう議論があったため、と方針転換の理由を釈明し、第4回定例会で示す決定は”最終的”だと述べた。

 

中野刑務所廃止時、中野区が正門の保存を申し入れた 

むとう区議の質疑によると、中野区の文化財担当の調べで、中野刑務所廃止決定後の1983-1984年の委員会議事録に、正門については法務省は移転を考えていたが、中野区が保存を強く申し入れた、との記録が残っている。

 

平和の森小学校移転遅延問題とは

中野区は、旧中野刑務所正門の取り扱いを、児童数が想定より増えて仮校舎や仮校庭を使わざるを得ない状態になっている平和の森小学校の移転問題と絡めている。

しかし平和の森小移転が遅れたのは法務省矯正研修所移転が遅れたためで、敷地に旧中野刑務所正門があるせいではない。

それでいったら、2008年に中野区が突然、不確定要素の多い国有地を小学校の移転用地に決めたのが間違いだし、そもそも平和の森小学校は野方小学校と沼袋小学校の統合校で、統合したのが間違いだったのではないか。現在、中野区が進めているJR中野駅周辺大再開発によって、平和の森小の児童数はさらに増えるとみられている。

門を壊したい自民党都民ファーストは早く諦めた方がいい。中野区は子どもたちのことを考えた解決を模索してほしい。近くの沼袋小跡地を使ったり、今すぐできることがあるのにしないのはなぜか。沼袋小跡地にスポーツ施設を作ることにこだわっている。すぐ近くに巨大な中野区立総合体育館(キリンレモンスポーツセンター)を作ったばかりだっていうのに、どうかしている。中野区や自民党がスポーツ施設ばかり作りたがる件は下記記事参照。

 2019年1月ごろ自民党が配っていた怪文書

 

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①平和の森小学校②沼袋小学校跡地③法務省矯正研修所と公務員住宅の跡地④平和の森公園⑤中野区立総合体育館(キリンレモンスポーツセンター)

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中野区立平和の森小学校。2018/12/13撮影

 

平和の森小移転問題の経緯

【2004/10/18】

中野区が野方小学校と沼袋小学校を統合し、2011年度に沼袋小を仮校舎にし、2013年度に野方小に新校舎を開設する計画を含む区立小中学校再編計画を、区議会文教委員会に報告。

https://kugikai-nakano.jp/shiryou/1481416449.pdf

その後、野方小と沼袋小の統合校の仮校舎は第六中学校跡地* とし、新校舎は2011年度に野方小の位置に開設する計画で準備が進んだ。

【2008/2/4】

中野区が区議会文教委員会で、矯正研修所が移転したらその跡地に新校舎を作る計画を明らかに。2011年に野方小を仮校舎として統合、2013年に矯正研修所が移転したら、2016年に跡地に新校舎開設の計画。

https://kugikai-nakano.jp/shiryou/14815114333.pdf

この時の文教委で自民大内しんごが、学校用地にするのを教育委員会が勝手に決めたみたいな発言をし、スポーツ施設を検討すべきだったと主張している。

【2008/2/8】

野方小学校・沼袋小学校統合委員会で区が計画変更を報告。要点記録に、六中を仮校舎にして新校舎を野方小の位置に建てることでかなり準備が進んでいたのに、中野区が突然、矯正研修所移転跡地に建てると方針転換した経緯がわりと詳しく説明されている。

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d005646_d/fil/nokanumakiroku5.pdf

教委が勝手に決めたのかどうか不明だが、統合委員会要点記録を見ると、青山敬一郎教委事務局教育改革担当課長(現在の区民部長)が法務省昭島市に状況調査に行ってたりして、かなり熱心だ。

【2011/4/1】

野方小学校を仮校舎として統合校の平和の森小学校が開校。

【2012/3/2】

中野区議会予算特別委員会子ども文教分科会で、平和の森小学校の新校舎を矯正研修所跡地に作り2016年度に供用開始予定だったのが、研修所移転の遅れのため、2020年度ごろになるとの見通しを区が説明。研修所移転後1年で更地にできると言っているが、当時は森友事件前で、この見通しは甘かった。実際は2020年9月現在、土地取得もまだである。

【2012/3/14】

区議会子ども文教委員会と建設委員会で、矯正研修所移転の遅れは東京都昭島市の移転予定地にオオタカの営巣が確認されたためと区が説明。

【2017年9月】

矯正研修所が東京都昭島市国際法務総合センターに移転。

【2020/1/31】

矯正研修所跡地でがれきが発見され、区への売却がさらに遅れると、中野区議会総務委員会で区が報告。

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法務省矯正研修所跡地(東京都中野区新井)の地中埋設物試掘調査。画面右が旧中野刑務所正門。2019/11/20撮影

 

* 2020年秋現在の第六中学校跡地↓

 

参考: 2011年3月に野方小が廃校になった時のはっとり幸子元中野区議のブログ。↓

 

つづきの記事

 

(中野非公式通信)

 

旧中野刑務所の記事やまとめ。


矯正研修所が2017年に移転した、昭島市国際法務総合センターの見学記は下記。

 

 

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