旧中野刑務所正門の中野区文化財指定を教委が文化財保護審議会に諮問。今回は傍聴できるか…? (2021年5月)

2021年4月、中野区教育委員会は旧中野刑務所正門の区文化財指定について区文化財保護審議会に諮問することを決めた。

この審議会、今回は傍聴できるか現在申請中だ。2021/5/2記

中野区文化財保護審議会に諮問

東京都中野区は、2021年4月30日の教育委員会定例会で、大正時代のレンガ建造物「旧中野刑務所正門」(中野区新井3) の「中野区登録文化財としての登録と中野区指定文化財としての指定の是非」について、教委が中野区文化財保護審議会に諮問することを提案、教委は全会一致で諮問を決定した。

しもん【諮問】
(名)スル
一定の機関や有識者に対し、ある問題について意見を尋ね求めること。諮詢。
大辞林 第三版

諮問内容

第24号議案 中野区文化財保護審議会への諮問について - https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d029946_d/fil/20210430_1-1.pdf

補足資料 - https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d029946_d/fil/20210430_1-2.pdf

「旧中野刑務所正門については、大正4年(1915) に建立された煉瓦造り建造物である。この時代の煉瓦造の建造物は区内ばかりでなく都内においても希少なものである。そのため、区の文化財として登録もしくは指定に相当するものであるかどうか、検討が必要である」と補足資料に諮問理由を記載している。

教委質疑

定例会で田中英一委員(歯科医) は、教育委員会に区がこのタイミングで諮問を提案した理由を尋ねた。提案のため出席していた矢澤岳・区民部文化国際交流担当課長(注1)は、門の立地する土地が「3月に区有地になったので」と説明した。

その土地は法務省矯正研修所跡地(面積15,584.53m²)で、3月8日に中野区は、隣接する区立平和の森小学校の移転予定地として国から101億7358万円で購入(注2)した。

田中委員と、3月28日に就任した岡本淳之委員(月刊『教職研修』編集長)(注3)は、文化財指定による平和の森小学校校舎建て替えスケジュールへの影響を懸念する発言をした。

塚本剛史・中野区教育委員会事務局子ども教育施設課長(注4)は「指定を受ける受けないにかかわらず門の移築は決まっている」と影響を否定した。

酒井直人中野区長は、2019年2月にいったん門の現地保存を発表したが、区議会での自民党などの反対を受け、校舎配置上の問題を理由として方針撤回し、2021年1月、5億円ほどかけて門を敷地内で約100メートル西に曳家で移築することを決めた(注5)。

平和の森小学校の校舎について中野区は、経年を理由に建て替えを計画し、当初2016年度に新校舎供用開始予定だった。しかし中野区が新校舎の場所を校舎現在地から矯正研修所移転後の跡地へと変更したことと、その後の矯正研修所の昭島市への移転遅れにより計画は大幅に遅延。旧中野刑務所正門を現地保存から曳家に方針変更したために、供用開始予定はさらに2023年度(注6)から2027年度へ延びた。

統合校である平和の森小学校は、その間に児童が想定より大幅に増え、プレハブ仮校舎でしのいでいる。

この項注記

1) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律により「文化財の保護に関すること」は市区町村教育委員会が管理執行すると定められている。ところが中野区では2011年度から区長部局(現在は区民部)が文化財行政を実質的に所管している。下記参照。

2) 中野区議会総務委員会資料 財産の取得について - 
https://kugikai-nakano.jp/shiryou/2131995710.pdf

3) 3-4月に中野区教育委員4人のうち2人が任期満了で交代した。教育長は再任。下記参照。

4) 教育委員会にいつも出席している事務局幹部6人のうち、4人が4月1日に交代した。新任4人は全員他部ないし他区からの異動。塚本課長は留任した2人のうちの1人。

交代した4人の幹部は次の通り。

教育委員会事務局次長 - (新)青山敬一郎(前区民部長)、(旧)戸辺眞(再任用任期終了)
教育委員会事務局子ども・教育政策課長、学校再編・地域連携担当課長 - (新)濵口求(前南部すこやか福祉センター所長)、(旧)永田純一 (南部すこやか福祉センター所長に)
教育委員会事務局指導室長 - (新)齊藤光司(前豊島区立教育センター所長、(旧)宮崎宏明(杉並区立西宮中学校校長に)
教育委員会事務局学校教育課長 - (新)松原弘宜(前健康福祉部保健予防課長)、(旧)板垣淑子(退職)

委員会参与の変更及び異動について - 
https://kugikai-nakano.jp/shiryou/21428112043.pdf

5) 指定の前後に関わらず文化財教育委員会が取り扱いを決めることになっているはずだが、旧中野刑務所正門の曳家による移築は2020年7月の区文化財保護審議会答申と9月の区教育委員会意見を受け区長が決定した。下記(前掲)参照。

6) 2019年6月11日に財務省の国有財産関東地方審議会は関東財務局長に対し、矯正研修所跡地の中野区への売却を「適当」と答申した。その文書によると、中野区は旧中野刑務所正門の現地保存を前提として平和の森小学校新校舎供用開始を2023年度としていた。

第262回国有財産関東地方審議会の開催結果について - http://kantou.mof.go.jp/content/000234386.pdf

中野区文化財保護審議会は非公開

2019年2月に自ら発表した現地保存方針を撤回するに際して、酒井区長は同年12月に中野区教育委員会に意見を求め、区教委は2020年1月に中野区文化財保護審議会に旧中野刑務所正門の文化財的価値と保存・公開方法について諮問した。同審議会は7月に答申、それを受け教委は9月に意見を提出、2021年1月に酒井区長が曳家による移築保存を決定した。

このあたりの経緯は下記参照。

私たちはこの時の文化財保護審議会の傍聴を要望したのだが、区民部(文化財のことなのに教育委員会ではなくなぜか区民部) は「公正かつ適切な意思形成が行われることを確保するため」として、頑として非公開を崩さなかった。この時のことは下記参照。

酒井区長「原則としては公開」

2021年4月3日、野方区民活動センターで「中野区基本計画」策定についての酒井区長と区の幹部職員出席による区民との意見交換会があった。

基本計画(素案) は施策6「誰もが身近に文化芸術に親しめる環境づくり」で文化財についての普及啓発を謳っている。

中野区基本計画(素案) - https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/101500/d026482_d/fil/kihonkeikakusoan.pdf

そのためこの意見交換会で私たちの仲間が「教育委員会の下部機関である文化財保護審議会は非公開で、傍聴できない理由は聞いているが、文化財への関心は高い。この後もずっと傍聴できないのか」と質問した。

2人残った教委事務局幹部のうちのもう1人、小田史子・教育委員会事務局参事(子ども家庭支援担当)は「持ち帰って検討する」と答えた。

酒井区長は「なんで公開してないのか私も今分かってないんですけど、原則としては公開するものだと当然私も思っております。よっぽど公開しない理由がない限り公開すべきだと思っております」と発言した。

区長が原則論を述べたのに対し、5日後の4月8日、基本計画を所管する企画部の職員が電話とメールで、非公開の理由を「所管課よりメールにて回答」すると伝えてきた。私たちは「区民部文化財係からの返事は毎回同じで埒が明きませんので不要」と謝絶した。

今回の傍聴を申請した

4月30日に教委が区文化財指定を諮問、このあと文化財保護審議会が開かれることになった。今度は傍聴できるか、私たちは改めて公開を申請した。

回答がきたらこの記事の下に追記する。

それとは別に、前回の傍聴拒否について私たちがしていた行政不服審査請求の続報も、今月中に別記事↓でお伝えする。 

つづきの記事

傍聴拒否で提訴

中野区文化財指定決定。傍聴申込は無視

 

(中野非公式通信)

 

旧中野刑務所正門と文化財保護審議会関連の記事とまとめ。

 

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旧中野刑務所正門。2021/3/24(く)撮影

 

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