中野区教委、区立幼稚園2園を「当分の間存続」。区は区立幼稚園型認定こども園転換を「中心に検討」(2021年3月)

概要

東京都中野区教育委員会は2021年3月、区立幼稚園2園について当分の間区立幼稚園のまま存続し、区立の幼稚園型認定こども園の検討は継続するとの意見を取りまとめた。2020年12月から4回の非公開協議で民営化と認定こども園化の可能性を検討していた。2021/3/14記

教委の意見取りまとめを受け、区は区立幼稚園の区立幼稚園型認定こども園への転換を「中心に検討する」との方針を明らかにした。区立幼稚園存続は酒井区長の選挙公約。3/16記

4/4追記: 非公開協議1回目の会議録が公開された。それによると、区側が民営化を推し進めようとしたわけではなく、教育委員会に最初から区立を提案していた。なぜこの協議を秘密にしたのか謎である。

4回の非公開協議

中野区教育委員会は2020年12月から2021年3月にかけ、中野区立ひがしなかの幼稚園(東京都中野区東中野五丁目8番21号)とかみさぎ幼稚園(中野区上鷺宮四丁目8番12号)について、4回の非公開協議を開いた。中野区の教育委員会事務局は、教委が民営化と認定こども園化の可能性を検討していることを2月の区議会で認めた。詳細下記。

5回目、ようやく公開協議

2020年3月12日、中野区教委は「今後の区立幼稚園のあり方について」の協議を、5回目にしてようやく傍聴人を追い出さず公開で開いた。

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区立幼稚園「当分の間」存続

5回目の協議はそれまでの協議を取りまとめた。それによると、区立幼稚園は2園とも当分の間存続する。ただし、区立の幼稚園型認定こども園にする検討は続けることとし、建物の建て替えの際はそれに対応できるようにする。

注) 幼稚園型認定こども園と幼保連携型認定こども園の違いは、下記内閣府「事業者向けFAQ」のQ6参照。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/h260417/pdf/s9.pdf

協議の内容

12日の定例会を傍聴した私たちの仲間によると、渡邉委員はこれまでの協議内容について、2016年の陳情を受けて区立幼稚園が残った経緯に触れ、今回は状況がそれから変わったとして、区立か私立かではなく幼稚園か幼稚園型認定こども園かの議論だったと述べた。

一方、小林委員は区立は人事が硬直化すると主張し、民営化を推していたことを示唆した。田中委員と入野教育長はこの日は大した意見を述べなかった。伊藤委員は休みだった。

中野区教育委員会が「今後の区立幼稚園のあり方について」の4回の協議を「意思決定の過程」を理由に非公開にしたのは絶対に容認し難い。しかし計5回も協議したということは、職員の説明を聞いて若干の感想を言い合ういつもの「協議」よりも内容のある話をしたのだろう。会議録の公表が楽しみだ。

(公開されたので末尾に追記する。)

3/16追記: 区は認定こども園転換方針

区議会に区方針報告

教育委員会定例会は3月12日の午前10時から開かれた。同じ日の午後1時には中野区議会第1回定例会の子ども文教委員会が始まり、教委の取りまとめた意見が報告された。

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3月15日に教委事務局(区職員)が子ども文教委員会で「今後の区立幼稚園のあり方について」を報告した。

担当課長は、教委が取りまとめた意見を区議会に伝えた上で、区立幼稚園から区立の「幼稚園型認定こども園」への転換を「中心に検討を進めたい」との区の方針を明らかにした。

理由として、幼稚園型認定こども園が「さまざまなライフスタイルに対応できる」ことを挙げた。また、2010年には区にノウハウがなかったため区立幼稚園2園を私立の認定こども園にしたが、それから区立幼稚園で預かり保育を実施したり他区での例もあって区が認定こども園を運営するノウハウが蓄積されたとした(立憲の中村延子議員がこれらの理由を「弱い」と何度も言った)。

自民党のいでい良輔議員が、いつまで検討しどの時点で判断するか質問。保育園・幼稚園課長は、園舎改築時期までに一定の考えを示したいと答えた。

園舎改築時期とは

区立幼稚園2園はいずれも建て替えが予定されている。3月15日の区議会子ども文教委員会での担当課長の説明によると、2園の建て替えは2026-2030年度を想定。

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2020年12月中野区「区有施設配置の考え方」

ひがしなかの幼稚園は現在統合校の中野東中学校の仮校舎になっている場所(旧第三中学校、中野区東中野五丁目12-1)「を活用して建替」られる予定。担当課長によると、東中跡地を仮園舎として現在の場所で建て替えるか、東中跡地に建て替えるか検討中だそうだ。

なお東中跡地は、東中が新校舎に移転(2021年9月予定)したあと、2022-2027年度に敷地の8割弱が東京都教育委員会に貸し付けられることになっているようだ。

f:id:nakanocitizens:20210314101255j:plain一方かみさぎ幼稚園は「近隣用地を活用して」建て替えるとされている。

区立保育園存続は酒井区長公約

区立幼稚園の存続は2018年区長選の酒井区長の公約だった。

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区立保育園や区立児童館などの例でみると、区長や区長派は少しでも存続させれば公約を果たしたと考えているふしがあり、区立幼稚園についても1園残して公約を果たしたことにするのではないかと私は予想していた。

2園とも残せば、区立幼稚園については約束は守られたことになる。

(もっとも、そもそも幼稚園は学校であって教育委員会の管轄なので、区長が方針をどうこうするのはどうかというのはある。)

3/20追記:「今後の区立幼稚園」資料など公開

3月15日に区議会子ども文教委員会で報告された「今後の区立幼稚園のあり方について」の資料は、3月19日に区議会ホームページで公開された。

https://kugikai-nakano.jp/shiryou/2131910123.pdf

10年後の中野区区有施設の方針を示す「中野区区有施設整備計画(素案)」も公開され、区立幼稚園の数は、とりあえず10年後も「2」のまま据え置かれた。

https://kugikai-nakano.jp/shiryou/21319101122.pdf

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2021年3月「中野区区有施設整備計画(素案)」より

会議録公開

4/4追記: 1回目の非公開協議

中野区教育委員会「今後の区立幼稚園のあり方について」計4回の非公開協議のうち、1回目の2020年12月18日の会議録が、2021年3月下旬か4月初めごろ中野区ホームページで公開された。

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d028220_d/fil/35tei.pdf

資料 

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d028220_d/fil/20201218k2.pdf

あまりにも秘密にするから、私は、田中前区長の方針だった区立幼稚園の民営化を区側があくまでごり押ししようとしているのではないかと勘ぐっていた。会議録によるとそのようなことはなかった。むしろ区側は今回の一連の協議の最初から、教育委員会に「区立幼稚園として継続させたい」と提案していた。

平成28年度策定の「新しい中野をつくる10か年計画(第3次)」では、区立保育園の民営化を進め、民間活力を活用し、多様な保育ニーズに対応していく必要があることから、区立幼稚園の民設民営の認定こども園化を計画したところでございますけれども、以下の理由によりまして、区立幼稚園として継続させたいと思います。

(1)公立幼稚園としての機能・役割でございます。……

(中野区教育委員会事務局 渡邊保育園・幼稚園課長、2020/12/18教育委員会定例会)

続くやり取りは各委員が区側に疑問点を尋ねている。中野区教育委員会は、あるいは教委事務局は、この協議をいったい誰からどういう理由で隠そうとしたのだろうか?

非公開協議の目的は「休憩」?

公開された 非公開部分の協議は35分間。わずか35分間の協議の間に8分間と4分間の2度の「休憩」が含まれており、その12分の間にどのようなやり取りがあったかは記録されていない。傍聴人は追い出されたから、誰も聞けていない。協議を非公開にした目的は、このような記録にさえ残らないやり取りをすることだったのではないのだろうか。

今回「当分の間区立幼稚園として存続」という望ましい方向性が得られたとはいえ、公開であるべき教育委員会の議事を「意思決定の過程」などという馬鹿げた理由で非公開にするのは認められない。決して「結果オーライ」ではない。 

4/15追記: 2回目の非公開協議

区立幼稚園のあり方に関する非公開協議(2回目)を含む2021年1月8日の教育委員会定例会の会議録は4月中旬までに公開された。委員が認定こども園の検討をする様子が記録されている。

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d029946_d/fil/1tei.pdf

資料 

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d029946_d/fil/20210108k2.pdf

なお、審査請求に関する議決の審議も非公開だったがこの会議録の中で公開された。

審査請求資料 

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d029946_d/fil/20210108k1.pdf

4/30追記: 3回目の非公開協議

区立幼稚園のあり方に関する非公開協議(3回目)を含む1月22日の教育委員会定例会の会議録は4月末までに公開された(資料なし)。同じくなぜか非公開で行われた「審査請求に対する裁決について」の議決もこの会議録に含まれる。

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d029946_d/fil/2tei.pdf

5/20追記: 4回目の非公開協議

区立幼稚園のあり方に関する非公開協議(4回目)を含む3月5日の教育委員会定例会の会議録は5月公開。資料なし。

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d029946_d/fil/5tei.pdf

5/29追記: 5回目の協議

区立幼稚園を「当分の間存続」とした5回目の協議を含む3月12日の教育委員会会議録も5月末までに公開された。

https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/651500/d029946_d/fil/6tei.pdf

 

(中野非公式通信)

 

 

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中野区立ひがしなかの幼稚園とかみさぎ幼稚園のHPキャプチャ。2021/3/20閲覧

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