概要
JR中野駅から近い区立文化施設内のレストランが閉店した。中野区はその予定を知ってから8カ月以上あったのに、単なる空きスペースにしてしまった。2021/3/15
跡地利用方針がようやく示された。2022/12/5追記
突然の閉店
2021年3月1日、中野駅徒歩約8分の中野区文化施設「もみじ山文化センター(愛称なかのZERO)」(東京都中野区中野二丁目9-7)2階のレストラン「もみじ茶屋」🍁が閉店した。
私は同じ建物内にある中野区立中央図書館にはよく行くのだが、「もみじ茶屋」は過去2回くらいしか行ったことがない。入り口が別なこともあって「号外NET」3月11日付の下記の記事を見るまで閉店には気がつかなかった。
突然の閉店で、ここに引用しないけど食レポサイトやツイッターに残念との声が投稿された。
家賃は4万4000円と格安だった
中野区議会の議事録(下記)によると、もみじ茶屋は2009年10月開店(選定時の資料)。 厨房設備などは中野区が購入。中野駅に近く229㎡とかなり広いのに、使用料(家賃)は90%減免で12カ月53万円(月当たり4万4000円)と格安だった。1平米を月192円で借りてた計算。
2015年から赤字解消のため営業時間を11-15時半に短縮していた。そのためもみじ茶屋が「コンサート帰りにも便利」だったのは、14時半くらいまでにお開きになるイベントに限っての話だったと思う。
上記議事録のうち1番上は、なかのZEROが中野区教育委員会の管轄だった2010年の話だ。当時は教育委員や中野区議会子ども文教委員会の区議が、館内の食堂の経営まで気にかけてカレーライスを食べにいったりしていたことが分かる。
中野区ではこの後、2011年度の機構改革で社会教育や文化財などの管轄が教育委員会から区長部局に移された。上記議事録は、1番上の2010年が教育委員会事務局、次の2018年が健康福祉部、1番下の2019年が区民部と、中野区の中で文化施設の所管が変わったことを示している。
現地の状況
3月14日に私たちも現地を見に行った。
平日は14時半クローズだった
8カ月前から閉店分かっていた
利用者や住民は閉店を突然知らされたわけだが、調べたら中野区はかなり前から「もみじ茶屋」の営業終了を知っていた。
指定管理者
2006年度から中野区はなかのZEROなど文化施設3館を一括して民間業者の指定管理にしている。現在は5年ごと更改の3期目でJN指定管理者共同事業体=JTBコミュニケーションデザインと野村不動産パートナーズ=が指定管理者(公共施設を管理運営する民間業者)だ。
中野区もみじ山文化センター野方区民ホール芸能小劇場の3つの文化施設は、H18年から約15年間JTBと野村不動産の関連会社が5年契約を3回更新して受託し続けている。審査基準の「施設の状況や区の現状に理解がある」というのは現事業者が圧倒的有利だけれどこれはフェアなのか?https://t.co/i8yTA9Hwnt pic.twitter.com/d4CIGR6rJU
— 中野区議会議員 小宮山たかし (@komiyamatakashi) September 12, 2020
2020年に来期(4期目。2021年度から5年間)の指定管理者を募集し、その結果また同じ業者を選定した(選定時の資料)。
その募集の際の要項等がまだ中野区ウェブサイト上に残っている。日付は2020年6月26日。
そのうち消されるかもしれないのでインターネットアーカイブのリンクも貼っておく。
跡地予定?
募集要項等の文書の中に『指定管理業務要求水準書』がある。この中の別紙1に施設の概要があり、レストラン(跡地予定)と記されている。
この文書がHPに掲載されたのは2020年6月26日。もみじ茶屋閉店の2021年3月1日より8カ月以上前から「跡地」になることが予定されていたわけだ。
維持管理業務だけ?
また指定管理業務要求水準書の別のページには、指定管理者の業務のひとつとして「本館2階のレストラン跡の維持管理業務」と記載がある。
2021年4月から5年間、もみじ茶屋に関して、JTBコミュニケーションデザインと野村不動産パートナーズがするお仕事は、空きスペースとなった跡地の維持管理ということなのだろうか。跡地の活用の検討やその実現ではなくて。
中野区の指定管理者はプロポーザル方式(企画提案型)選定(末尾注**)なのに、指定管理者の募集に際して、閉店があらかじめ決まっていたレストランについて、跡地をどのように利用するか、応募業者に企画提案を求めることもしなかった。
一体何のための「民間活力」なのだろうか。
その後の状況
3/20追記: 指定管理者のサイトでは404 Not Found のまま
なお指定管理者のウェブサイトで、もみじ茶屋のバナーを叩くと、少なくとも8カ月以上前に分かっていた閉店から20日経った3月20日現在も、404 Not Found のまま放置されている。閉店のお知らせが掲載されていない。
FAQの「飲食ができる場所」も更新されていない。
これじゃ「民間活力」じゃなくて民間不活力だよ。
4/11追記: 店舗撤去、跡地は原状回復された
4月10日に再び現地を確認したところ、もみじ茶屋の店舗が撤去され、跡地は原状回復されていた。
ちなみに指定管理者のウェブサイトはまだ更新されていない。更新しようよ。
4/30追記: 3/15区議会に閉店報告
3月15日に中野区区民部は中野区議会区民委員会でもみじ茶屋の閉店を口頭で報告、会議録は4月28日に公表された。
それによると「4月以降の当該スペースにおける活用方法につきましては、区の文化振興や利用者サービスの観点から検討」するという。
また、「様々な飲食店がある中でレストランを営業する必要性があるのかどうかということで区のほうで考えて、行政財産使用許可を今年度をもって終了した」としており、跡地はレストランにはならないと思われる。
で何度も言いたくないが指定管理者のサイトは4月末に至るも未だ更新されてない。
5/12追記: ホームページようやく更新
指定管理者のホームページ、そのうち更新するだろうと思っていたが、2カ月以上経ってもそのままなので、私たちの仲間が見かねて、5月11日深夜にメールで中野区の担当部署に連絡した。
5月12日夕方「指定管理者によくある質問の修正及びバナーの削除を指示しました」と返事がきて、ようやく最新の情報に更新された。
〈注記〉
* なかのZEROなど中野区内の彫刻やオブジェについては、下記のどなたかの力作ブログに詳しい
2022/12/5追記: 展示などに使う方針
2022年12月、もみじ茶屋跡は展示やワークショップに使うとの方針が区議会に報告された。
今日の中野区議会区民委員会では、中野ゼロの旧レストランスペースを展示やワークショップに活用していくことが示されました。「今までも展示ギャラリーやワークショップ開催可能な学習室は存在していた。今までと同じ部屋が増えるだけか?」と質問したところ、「差別化を考える」という答弁でした。 pic.twitter.com/swbfK5Ll6a
— 小宮山たかし 中野区議会議員 (@komiyamatakashi) December 1, 2022
2023/5/29追記: 新用途は「アトリエ」
中野区立中野ゼロ(なかのZERO)の本館2階、かつてレストランスペースだったところに新たに「アトリエ」がオープンします。「ワークショップや作品展示に使える」そうですが、それでは既存のスペースと変わらないのでは!?新たな付加価値あるのか?注目したいですね。https://t.co/rDc3HqNK95 pic.twitter.com/Lk9anBKIQ0
— 小宮山たかし 中野区議会議員 (@komiyamatakashi) May 28, 2023
昨日新規オープンのアトリエゼロに行ってきました。「創作活動ができる場」とのことで、無料で使えるお絵描き等の用具は揃っていました。今後ももう少し何かが増えるようです。常駐スタッフが1名いるようで、この日は年配の女性がいました。スタッフの力量・熱量次第では面白い場所になるかも。 pic.twitter.com/NhpZRC8ouE
— 小宮山たかし 中野区議会議員 (@komiyamatakashi) June 19, 2023