中野サンプラザ再開発は資産評価額が次点より140億円低い野村不動産を選定。跡地タワマンは分譲と賃貸で2500人程度(2021年5月)(12月追記: 都庁超える高さのタワマンに。想定は1000戸程度)

また半分不動産ブログみたいなタイトルだけど、私は中野駅周辺にタワマンが林立する再開発は嫌だからね。2021/5/16記

6月の説明会と意見募集で中野区は中野サンプラザ再開発に関する野村不動産の「提案概要」(57ページ) を公表。6/18追記

サンプラザ跡地は都庁を超える高さ250メートルのタワマンに。12/7追記

サンプラザ再開発の基本協定

野村不動産選定

2021年1月、東京都中野区が中野サンプラザと区役所を解体して再開発するデベロッパーに、全区民が予想していた通り、野村不動産を代表とするグループを選定したことは、下記記事で伝えた。

JR中野駅前の中野区随一の一等地を民間に売り渡して、区役所の建て替え資金を捻出するスキームだ。

中野区の基本協定発表

5月6日、中野区と野村不動産のグループは再開発の基本協定を結んだ。下の写真は中野区フェイスブックに掲載されたお知らせ。

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野村不動産のプレスリリース

5月12日に業者側がプレスリリース3枚を発表した。

中野サンプラザを再整備する大規模複合開発『中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備事業』に関する基本協定書を中野区と締結」

(野村不動産株式会社/東急不動産株式会社/住友商事株式会社/ヒューリック株式会社:東日本旅客鉄道株式会社)

https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/n2021051201834.pdf

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この発表については報道も大量に出てるので下のまとめにも幾つかリンクを貼った。

黒塗り情報公開

再開発の資金計画はのり弁

プロポーザル方式公募で野村不動産がした提案について、資金計画などの重要な部分を中野区が隠しているため、中野区議会の一部議員が情報公開請求したら、真っ黒なのり弁が公開された。下は無所属いながきじゅん子議員のツイート。

次点はそれほどのり弁ではない

なお次点の東京建物のグループについては比較的黒塗りが少なかった。

野村不動産の説明

プレスリリース発表前日の5月11日、中野区議会中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会は勉強会を開き、野村不動産から説明を受けた。

勉強会は野村不動産から4人が出席し、13時25分ごろから14時50分ごろまで開かれた。委員会の休憩中に開催という扱いのため、やり取りの議事録は公表されない。傍聴はできたので内容を少し記す。

次点より140億円低い資産評価

勉強会後のいながき議員のツイート。

昨日の特別委員会で、選定された事業者が黒塗りにしていた従前資産額が559億円だと分かりました。次点の事業者は700億円。本庁舎、サンプラザ等の土地建物の資産価値を140億円も低く評価したところが選ばれてしまいました。普通は土地建物を売却するとき、より高く買ってくれるところを選びますよね。

野村不動産のグループによる中野サンプラザ・中野区役所などの土地建物の資産の評価額は559億円だという。次点の東京建物のグループによる700億円より140億円も低いのに選定されたわけだ。

勉強会中に区担当者が述べたところによると、野村不動産選定後に東京建物のグループは、この点について中野区に説明を求め、区は東京建物側に回答したという。

また勉強会での野村不動産の発言によると、情報開示文書の黒塗りは野村不動産側の要望による。

中野サンプラザの再開発は権利変換方式の市街地再開発事業ということで、559億円のうち中野区は400億円を転出補償として受け取り、その金は区役所建て替え費用や貸入金返済などに使う予定だ。残り159億円分は再開発後の施設で中野区の権利床となるはずで、資産評価額が低いということは、中野区の権利床はその分少ないということではないだろうか。中野区の権利床の面積は勉強会でも明らかにされなかった。

そのほか資金計画で当てにしている補助金の割合が過大との指摘も区議から出ている。

再開発の概要

野村不動産が提案した再開発の内容について、5月12日のプレスリリース(3枚)にはあまり情報がない。

1月の事業者選定に関する中野区ホームページの情報(下記リンク)や、

同じく区議会に報告された下記資料(20枚)の方がまだ詳しいのでその資料からの図を貼る。

2021/1/29中野区議会中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会資料 中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備民間事業者募集の選定結果について- 

https://kugikai-nakano.jp/shiryou/2128104036.pdf

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「中野区議会中野駅周辺整備・都市観光調査特別委員会資料 中野駅新北口駅前エリア拠点施設整備民間事業者募集の選定結果について」より

図のように、中野駅のすぐ北に隣接してばかでかい超高層ビルがそびえ立つことになる。超高層ビルのフロアは上からオフィス、マンション、商業施設に区分される。

超高層ビルの北側には、低層のホテルと、7000人規模のイベントホール(大ホール)と、バンケットホール(小ホール)のある「エリマネ施設」なる建物を配置する、という提案だ。

分譲と賃貸の2500人規模のタワマン

勉強会での野村不動産の説明によると、マンションの人口は2500人程度、オフィスは6000人程度が想定されている。

マンションは延床面積8万5000平方メートルで、部屋タイプは単身、ファミリー、シニア向け。分譲と賃貸の両方。分譲と賃貸のバランスは「今後検討」する。室数は明らかにされなかった。

ホテルは延床面積7000平方メートル、150-200室。

(参考: 先行する駅南東部の再開発は賃貸)

中野区はJR中野駅周辺の再開発を満遍なく推進している。

再開発計画のうち建設が先行している南東側の住友不動産のタワマンが全て賃貸である件を記した昨年の下記記事、実はこのブログで一番アクセスが多い。

中野駅周辺に大量に建設予定の再開発タワマンが分譲か賃貸かという情報は需要があるのかもしれないのでこの記事でも特記した。

7000人ホール「競合少ない」?

中野サンプラザを解体し中野サンプラザのコンサートホール(2222席)をなくす代わりとされているイベントホールは、中野区の要望で7000人規模ということになっている。

野村不動産は、1万〜1万5000人の大型ホールや5000人以下の小規模ホールに比べて、5000〜7000人規模のホールは「競合が少ないゾーンと認識している」「需要は高い」と説明した。需要がないから数が少ないんじゃないかと思うが、どうなのか。

中野通り「にぎわいの軸」?

野村不動産は、中野サンプラザの再開発により「中野通りをにぎわいの軸に」という文言を何度も口にした。顧客の流れをどこの商店街に誘導するかという問題は、中野駅周辺において歴史的に因縁のある話なのは下のブログで書いたばかりだ。

気軽にそういうことを口にする野村不動産はずいぶん大胆だよねと思ったね。勉強会の傍聴は定員を超えて業者っぽい人たちでいっぱいだったけど、それだけじゃなくて周辺の商店会からと思われる人たちも来てたのに。

数十ページの資料

協力事業者に電通が入っているため、またどうしようもないポエムを聞かされるかと思ったが、勉強会での野村不動産のプレゼンを聞いた限りでは想定の範囲内だった。勉強会では区議たちに数十ページ程度の資料が渡されていたので、私たちの仲間が情報公開請求している。

追記: 57ページの資料(提案概要)を公表

中野区は6月17日の説明会と6月18-24日の意見募集で、中野サンプラザ再開発に関する野村不動産の「提案概要」(57ページ) を公表した。

まあ何というか、綺麗なイラストがたくさん書いてある。

提案概要

区議会事務局からの情報開示がまだ(延長中)のため、5月の区議会の勉強会の資料と同じものかどうかは今のところ確認できない。

説明会と意見募集などについては下記中野区ホームページ参照。

中野駅周辺まちづくりに係る意見交換会・説明会等の開催状況 | 中野区公式ホームページ

12/7追記: 都庁超える高さのタワマンに

中野区は2021年12月6日の区議会中野駅周辺整備・西武新宿線沿線まちづくり調査特別委員会に、施設の概要を示した。サンプラザ跡地は都庁を超える250メートルの高さのタワマンになる。

同委員会に提出された資料を下記に貼る。

中野駅新北口駅前エリアの再整備について

12/18追記: 想定は1000戸程度

12/16区長定例会見で担当課長が「想定は1000戸程度」と発言。

追記: 2022年1月説明会資料と動画

 

(中野非公式通信)

 

中野サンプラザの記事やまとめ。