中野区シティプロモーション費など削除を要求する2020年度予算修正案が中野区議会に(2020年3月と6月の追記あり)。博報堂との契約書を情報公開

概要

中野区議会野党の自公が2020年2月、中野区シティプロモーション費など広報費や一部文教費などを削る、2020年度予算修正案を区議会に提出した。同3月、審議される。
また、博報堂との中野区シティプロモーション推進支援業務委託の契約書を区から情報開示で入手したので公開する。2020/3/2記

注) 中野区のシティプロモーションは、おおむね、自治体イメージのマーケティングである。

 

予算修正案

2020年2月28日、中野区議会の野党である自民党公明党が、2020年度一般予算案の修正案を提出した。
区議会は2020年度予算を審議する第1回定例会の最中で、修正案は3月2日から始まる区議会予算特別委員会分科会で予算原案とともに審査されたのち、予算特別委員会と本会議で採決される。

 

修正案は、中野区シティプロモーション事業の博報堂への委託費など2020年度分の1763万円全額削除するほか、児童館への木製おもちゃや、子育て/教育関係の広報費、ユニバーサルデザインフォント導入など、広報、文教費を中心に削減を要求する内容となっている。

 

シティプロモーションはなくていいけど、児童館の木製おもちゃはあってもいいのではないか。UDフォントは無料だと思うが、ウェブデザイン屋さんとかに払うお金だろうか。中野区の莫大な再開発費や樹木伐採費も削ったらいいのに。

 

予算修正案とは

 

「広報アドバイザー」も槍玉に

  広報アドバイザーというのは、この件ですね⬇️。

 

あと、木製おもちゃにはこんな事情が⬇️

 

可否の見通し

中野区議会は定数42

与党15(立憲会派9=無所属1を含む=、共産6)、野党17(自民9、公明8)議長が自民のため議決参加は通常16与野党とも過半数に足らず、議案の可否は少数会派と無所属にかかっている。詳細は下記記事参照。

 

そのためどうやら多数派工作が行われている模様だ。

 

自公の意図?

酒井直人区長は、田中大輔前区長の「グローバル都市戦略」推進からの方針転換は「私が決めた」と言っている。しかし中野区のシティプロモーション推進委託公募は田中前区長在任中であったことを下記記事⬇️で伝えた。プロポーザル方式による募集告知は2018年4月18日。区担当者によるとプレゼンは6月。酒井区長就任は6月15日。博報堂との契約は6月26日。


田中前区長の与党だった自公は、中野区が2018年8月30日に区議会建設委員会でグローバル都市戦略からシティプロモーションへの方針転換を報告して以来、中野区シティプロモーションを批判している。今回2020年度のシティプロモーション予算全額削減を提案した。中野区シティプロモーション自体は田中案件なのに、どういうことだろうか。

 

【追記】

3/6修正案取り下げ

 

結局2020年度300万円に減額

中野区シティプロモーションの予算は、新型コロナウイルス感染拡大による財政逼迫を理由に、結局2020年度約1700万円の大部分を削られた。残りは約300万円。なお自公がそれ以外に削減要求し取り下げていた児童館木製おもちゃ、UDフォント、便利帳、教育大綱パンフレットなども削減された。6月8日、区議会に報告された。

 (追記ここまで)

 

博報堂との契約書

中野区に情報開示請求していた、博報堂との2018年度(初年度)と2019年度当初の中野区シティプロモーション推進支援業務委託契約書が開示されたので公開する。

2018年度

(1) 2018年6月26日 (2160万円)

・最初の契約書。内容は中野区シティプロモーションの具体的な内容や実施方法など事業計画の作成や、PRイベント、ホームページやSNS、ロゴやキャッチフレーズ、コピーなどの作成。

 

(2) 2018年9月27日 (契約額変わらず)

・納期を一部変更。

 

(3) 2018年12月11日 (879万1200円追加)

・「キャラクターによるシティプロモーション業務委託」。

中野区シティプロモーションに対する批判は、金額の大きさもさることながら、キャンペーンを担う球体関節人形「ナカノさん」のデザインに関するものが多い。

プロポーザル方式公募の博報堂の提案書には「キャラ(ロゴ)」の例として「くまモン」が記載されているが、この契約で、キャラクターは球体関節人形と決まった。

 

なお、下のPR記事によると、中野区と博報堂は、ワークショップ(区民を公募せず博報堂が業者と大学関係だけ集めて開催した)を通じてナカノさんが作られたようなことを言っている⬇️。

しかし、このワークショップが開かれたのは2018年10月-2019年3月(第1回2018/10/23-24中野区らしさを整理; 第2回12/19-20中野区でやってみたいことを考える; 第3回2019/1/22-23中野区でやってみたいことを実現する; 第4回3/18発表会)。

球体関節人形を使うとする契約は、はやばやと2018年12月11日に結ばれている。同年6月のプロポーザルプレゼンと選定から、この間、何があって「くまモンを参考にしたキャラ」が人形に変わったのだろう。ナカノさんは唐突に2019年2月1日発表された。唐突に発表したのは話題作りとかそういう感じの戦略だったらしい。

 

2019年度

(4) 2019年4月1日 (7447万円)

中野区シティプロモーションは2019年度予算の「主な取り組み」の一つとなっており、大幅に増額された。2019年度予算は区議会で全会一致で可決された。

 

区議会議事録によると、2019年度はこの後もう1通契約書があるようだ。

自公が予算全額削減を要求している2020年度は、3年間のプロジェクトの最終年度とされている。

 

経緯など

経緯などは中野区シティプロモーションに関するこれまでの記事をご参照ください。

2018年10月中野区シティプロモーション始動。

2020年度減額予定。

中野区シティプロモーションは田中前区長案件。

博報堂JTB凸版印刷の提案書。

 

( r )

 

つづきの記事

 

これまでの記事⬇️ 

 

 

 

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 (2020年2月27日、東京都中野区)