山崎記念中野区立歴史民俗資料館
東京都中野区江古田四丁目3-4、入館無料。開館9-17時、月曜と第3日曜休み(要確認)。地元での愛称「れきみん」。地元名士故山崎喜作氏寄贈の土地に建っているため名前に「山崎記念」を冠している。
概要
中野区立歴史民俗資料館の常設展示室が改修されました。かつて「歴史殺し」と酷評されていましたので、新しくなった展示はどうなったか見にいきました。2020/6/7記
「歴史殺し」とは
花伝社『東京23区区立博物館“辛口”批評』干場辰夫. 2013年.
中野区立歴史民俗資料館(p192-201)は、場所がJR中野駅から遠く不便、入口が「暗いイメージ」、"武蔵野の中心" としての中野の特色が再現されていない、などが欠点として挙げられ、総合で5点満点中2点と、リニューアル前は逆に行ってみたくなるくらいの低評価を叩き出していました。同館の項は次のように結語されています。
自分の住む地域の個性を再認識し活用するのではなく、どこでもあるとはいえ、この地域はは(ママ)とりわけ大規模に歴史殺しを行ったといえよう。考えてみれば、この「大規模な歴史殺し」こそ、実は中野区という地域の個性であり特徴であるといえるかもしれない。
これは中野区の特徴全般について述べたとも解されますが、区立「歴史」民俗資料館の紹介がこのような文章で締められるのは尋常ではありません。著者は全ての区立博物館を研究した上で、このような評価をしたわけです。
リニュ前の常設展示はこんなふうでした。(インターネットアーカイブ)
リニューアルオープン
2020年4月1日(水)、中野区立歴史民俗資料館リニューアルオープン。
開館の午前9時を少し過ぎたくらいに行ってみました。駐車スペースにJ:COMの車が1台停まっています。
リニューアルされた2階の常設展示室。以前と比べ白っぽく明るい感じ。
J:COMの取材カメラマンがいました。平日朝、かつ新型コロナウイルス感染拡大中だったとはいえ、リニューアルオープン直後なのに来館者があまりいませんでした。
現代の中野
今回のリニューアルで、現代の中野に関する展示が追加されました。
1964年東京オリンピック。
新しく作ったと思われる中野サンプラザの1/200模型!! 中野区はJR中野駅周辺大再開発の一環として2024年ごろから中野サンプラザ解体を予定しています。
私は用があったため、この日は「現代」のコーナーだけ見て帰りました。週末にもう1回行ってちゃんと見ようと思っていたら、新型コロナウイルス感染拡大により、リニュ後3日間開けただけで4月4日(土)から休館になってしまいました。あら。
リニューアルオープンのチラシ裏表。
入館時にもらった資料館のチラシ、年間スケジュール、記念品の手ぬぐい。
再オープン
2カ月近く休館ののち、6月2日(火)再オープン。翌6月3日(水)に再訪しました。 これは駐車場脇の掲示板。
入口のコロナ感染防止の注意書き。
再び2階の常設展示室。「現代」のコーナーは4月に見たので、「近代」から回りました。
野方配水塔(国登録有形文化財)の1/50模型がある!!
中野刑務所(元の豊多摩監獄、1983年解体)の展示も充実。
煉瓦の刻印の写真は(く)撮影。刻印は「上敷免」でこれは埼玉県深谷市にあった日本煉瓦製造の製品です。
区立小学校の校章一覧! 中野区は小中学校の統廃合を進めており、多くはもう存在しません。
"武蔵野の中心" としての中野に関しては、場所や現代との関係が分かる展示になっていました。(下3枚は(く)撮影)
哲学堂公園(2020年3月に国の名勝指定)、犬囲い、象、桃園の展示。『“辛口”批評』はこれらを含む事象について述べる流れで「歴史殺し」に言及していました。
どうでしょう
新しい常設展示は、以前の展示に比べ、展示物の歴史的意義付けがちゃんとなされている印象でした。負の側面も含め今日の中野区を形作ってきた歴史がコンパクトにまとめられている気がしましたが、どうでしょうか。
常設展示の図録は現在、1989年に刊行された、リニュ前の常設展示に関するもの(写真下、1000円)しかありませんが、今年度中に新しいのを作り3000部くらい刷る予定のようです。今回は同館が現在の場所で開館したこの年以来の大規模リニューアルでした。
(この図録、偉い人の文章が何本もカラーページに印刷されてて無駄な気がしますので、新しい図録は展示物の綺麗な写真と展示説明を主にしてほしいです。)
あと、2020年6月2日から中野区立歴史民俗資料館のツイッターも始動しました。これ、区立図書館も区議会もツイッターがない中野区においては、画期的なことです。
常設展示リニューアルのお知らせ。(インターネットアーカイブ)
入口付近
「暗い」と酷評された入口付近は明るいロビーに。この場所は前からあったのですが、前よりだいぶすっきりした感じになりました。椅子がソーシャルディスタンスを確保して離して並べられています。2020年6月3日撮影。
庭園は普段入ることができませんが、ロビーからガラス越しに見ることはできます。
コロナのため資料撤去、調査研究室閉鎖。
ロビーの向かいにウェルカムマップ。旧中野刑務所正門(左、中野区が保存するかどうか検討中)や、JR中野駅北側の「軍事施設跡」(右)などもマッピングされています。
【おまけ】常設展示コーナー入口の外にも哲学堂公園コーナー。特別展示の幽霊像(左)と天狗像。2020/6/20まで。
リニューアルの経緯
改修は港区の丹青社。契約金額1億8590万円。工事期間2019年9月-2020年3月。
中野区立歴史民俗資料館はこんな(画像参照)ふうに改修されるみたい。来年4月リニューアルオープン→ https://t.co/KBavwoUpf0
— 中野非公式 (@nakanocitizens) July 10, 2019
改修業者は港区の丹青社。契約金額1億8590万円→ https://t.co/A7JFbGr4Uq pic.twitter.com/O3g7k6ij5L
区議会には2019年7月、いきなり事業者との契約や変更内容が示されたらしいです。 褒めておいて何ですが、いかんな。中野区、相談しようよ。
中野区立歴史民俗資料館の1億8590万円の改修工事はいさ哲郎区議(共産)のブログ https://t.co/QItb7YXv45 によると区議会区民委に“いきなり事業者との契約や変更内容などが示され”たそうです。
— 中野非公式 (@nakanocitizens) July 13, 2019
『東京23区区立博物館“辛口”批評』https://t.co/T9SIOklUUs で酷評されていた展示がどんな風になるかしら
資料館の運営も丹青社に委託されています。
2019年度2130万6000円(税抜)。
2020年度2957万8000円(同)。
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