中野区に区民から問題を伝える「なかのEYE」アプリについて。および便利な「対応状況」非公式ボット発動(2020年12月)

概要

「なかのEYE」アプリで中野区に伝えた苦情や意見への対応状況サイトに興味深い内容のものがあるので、対応状況一覧と、新着情報をツイートするボットをこのほど区民が作った。2020/12/1記

 

なかのEYEアプリ(公式)とは

2018年に東京都中野区が始めた「なかのEYE」アプリは、区立公園や区道におけるごみや自転車の放置や施設の破損ほかの不具合などを区民が手軽に区に通報することができる。道路や公園などカテゴリーを選んでから、状況と位置情報のデータに写真を付けて投稿する。

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「中野区区民の声スマートフォンアプリケーション」というサブタイトルがついているところから見て、苦情だけでなく意見を送ってもいいようだ。

発注は田中前区政だったが、2018年6月に酒井区政になったあとの8月にリリースされた。 下記はリリース時の区議会への報告。

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この答弁から、「なかのEYE」アプリは行政監理担当にメールを送るというだけの簡単なアプリであることがわかる。

契約額130万円

アプリの「導入及び保守業務」は2018年4月4日に指名競争入札で日本グリーンパックス株式会社(本社 京都府長岡京市)東京支社が124万円で落札した。上の議事録で130万円とあるのは消費税込みの金額と思われる。

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2018年に中野区はなかのEYE開発に130万円払ったが、2019年ごろ開発会社はこのサービスを他自治体に「導入費無料、月額3万円~」で提供していたようだ。下記インターネットアーカイブ参照。中野区が税金で開発費用を肩代わりしてあげた感じになってないか?

原型はごみ分別アプリ 

なかのEYEは日本グリーンパックスの「パーズ」という自治体向けアプリ作成サービスをもとに作られた。下記はパーズについてのプレスリリース。なお同社は2019年に株式会社G-Placeに社名変更。

(リリースのインターネットアーカイブ)

リリースによるとパーズの原型はごみ分別アプリだった。そのため、iPhoneの言語設定を英語にすると、なかのEYEアプリのアイコンはホーム画面でGomisukeと表示される。

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機能は一部しか実装されていない

「なかのEYE」は日本グリーンパックスにおける開発の初期の製品にあたることから、汎用性のありそうな「パーズ」の機能のうちの一部しか実装されていない。例えば、住民の投稿の公開/非公開を自治体職員がレビューして設定する機能や、投稿された文や写真を地図上に表示する機能は、「なかのEYE」アプリ内の注意書き(下の画像)などからその存在が示唆されるものの、まだ実装されていない。

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なかのEYE対応状況ウェブサイト(公式)とは

なかのEYEアプリホーム画面で、「投稿する」の下の「対応状況」のボタンを叩くと、アプリを離れ、ウェブサイト https://perze.jp/nakano/ がブラウザで開く。

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興味深い内容

無料で使える OpenStreetMap の地図上にピンがたくさん表示されている。ピンを叩くと、個々の対応状況の吹き出しが表示される。ときどき興味深い内容のものがある。

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例えば、酒井区長が7月に自転車走行禁止の区立公園で赤チャリに乗って宣伝していたことに気づいたのは、上記「中野区シェアサイクル」通報に関する対応状況をこのサイトで見たからだった。この件詳細は下記記事参照。

 

なかのEYE対応状況一覧(非公式)とは

対応状況サイトは、いちいち個々のピンを叩かないと対応状況が読めない。不便なので、区内開発者が対応状況の地図データを一定時間ごとにスクレイピングしてGoogle Sheets にまとめ一覧にすることにした。12月初め現在、通し番号は2000近くまであるが、対応状況サイトに残っていたデータは比較的新しい500件程度だ。表のリンクは下記。

表のスクリーンショットはこんな感じ。

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なかのEYE対応状況ボット(非公式)とは

区内開発者はまた、なかのEYE対応状況サイトの更新情報をほぼリアルタイムでツイートする非公式 bot を作った。11月27日ごろに稼働開始。対応状況が 受付済→対応中→完了 と変化するときに位置情報付きでツイートする。

開発者は、中野区のデータのGoogle Sheets とボットは趣味で作ったが、もし他自治体で同様のものを作りたいという希望があれば、有料で対応すると話している。

使い方の例

11月29日に私たちの仲間がなかのEYEで中野区に苦情を送った。

中野区ホームページの「障害者計画・第6期障害福祉計画・第2期障害児福祉計画(素案)」意見交換会/意見募集ページが、2020/12/2まで意見募集中なのに11/29時点で既に消えていたためだ。この苦情を送信すると、なかのEYE非公式ボットが次のようにツイートした。

翌11月30日、中野区は意見募集ページ(公式)を復活させた。

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なかのEYE対応状況ページ(公式)のステータスも「完了」に。

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対応一覧のGoogle Sheets (非公式)。通し番号 1977 の受付済(1)と完了(3)のデータが記載された。

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そして なかのEYEボット(非公式)がツイート。便利である。

 

関連ツイートまとめ

関連ツイートをmin.t にまとめました。↓

 

(中野非公式通信) & (く)