2021年2月に東京都中野区内の公園の改修工事で死亡事故がありました。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、原因が解明され再発防止策が取られることを切に願います。2021/3/18記
- 事故の状況
- 事故の後
- 現場の状況
- 3/20追記: 東京労働局のリリース
- 4/19追記: 5/10工事再開のお知らせ
- 4/30追記: 事故影響による予算処理変更
- 5/18追記: 工事再開…?
- 6/28追記: 新たなトイレユニット設置
- 追記: 開園
- つづきの記事
事故の状況
当日の報道
当日のTBSニュースは警視庁の話として「多目的トイレの設置中に」「木材で組んだ足場の上に完成間近の多目的トイレを載せて作業していましたが、何らかの原因で足場が崩れ」「下敷きになった作業員の男性が死亡」したと報じました。
工事の内容
この時のトイレ設置は、2つの区立公園で行われていた中野区発注の公園ユニバーサルデザイン改修工事の一部です。
事故の後
1週間後
事故の1週間後に通りかかったら、公園入口前にパトカーが停まって警官が立っており、まだ現場検証が続いているようでした。
1カ月後
事故から1カ月後。現場検証は終わったらしく、警官の姿はありませんでした。しかし公園の工事エリアは閉鎖され、工事は行われていませんでした。
工事は休止
2つの公園で行われていた公園ユニバーサルデザイン改修工事は、両方とも休止となりました。
その後、事故が起きた方ではない公園は3/29工事再開。
現場の状況
事故から1カ月と少し経った現場の写真を、公園のわりと近くに住む友人が送ってくれました。
もう1つのユニット
友人の写真に、真新しい白い四角いトイレの建物が写っています。しかしこれは、事故の原因となったトイレのユニット(パーツ)ではなく、その隣に先に設置されていた、もう1つのユニットのようです。下のTBSニュースのキャプチャ画像では、原因となった建物(画面中央)の右側の柱と木の陰に映っています。
事故の際の作業はトイレの「曳家」
事故は、柱と木の陰のトイレ建物ユニットの左隣りに、トイレの建物の残りのユニット(画面中央)を設置しようとした際に起きたようです。この際の移動の方法は「曳家」と呼ばれるものでした。
ひきや【曳家・引家】
建築物を解体せずにそのまま水平移動させて、他の場所に移すこと。曳舞。
大辞林 第三版
原因となったユニット
事故原因のユニットは、設計図(下図)では、青色の長方形で示した位置に設置する予定でした。すぐ上の四角が、友人の写真に写っている白いトイレ建物ユニットです。
現場に供花
重ねてご冥福をお祈りいたします。どうかもうこのようなお気の毒な事故が起きることがありませんように。
3/20追記: 東京労働局のリリース
「曳家作業中」と発表
東京労働局が3月に発表した「当月把握死亡災害」(速報値 2021年2月末日現在)は、事故の状況について「被災者は、公衆トイレを曳家作業中、地盤が崩れたことによりトイレ本体が傾倒し、トイレと地盤の間に挟まれ死亡した」として、行われていた作業が曳家であったことを明らかにしました。事故当日のTBSニュースは警視庁の話として「足場が崩れた」と伝えましたが、東京労働局は「地盤が崩れた」としています。また亡くなった方は10年以上20年未満の経験を持つ技能者だったようです。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000814266.pdf
4/19追記: 5/10工事再開のお知らせ
4/30追記: 事故影響による予算処理変更
中野区は2020年度補正予算で、事故のため工事が年度を越えることによる予算処理の変更を、3月11日中野区議会本会議と16日総務委員会に報告しました。4月19日と28日に会議録公表。
補正予算説明書 https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/102000/d028651_d/fil/2nendo11gouhosei.pdf の該当部分は下の通り。
5/18追記: 工事再開…?
2021年5月10日工事再開のはずですが、友人から届いた5月17日の写真によると、工事再開後1週間経っているのにほとんど作業は進んでいない。曳家が事故原因となったトイレのユニットを解体したコンクリートガラが片付けられていた程度。月曜午前10時すぎだというのに作業員の姿もなかったそうです。
月曜午前10時すぎだというのに、作業予定も前週から書きかえられてませんでした。というか「準備工」って何でしょうか。写真を見ると工事用プレハブの位置が前と変わっているから、その作業のことでしょうか。
ついでにいうと中野区のホームページも5月18日現在まだ「再開予定」のまま。
6/28追記: 新たなトイレユニット設置
友人から届いた2021年6月27日撮影の写真。曳家が事故原因となった多目的トイレユニットが撤去されたあとに、新しいユニットが据え付けられていました。 上の木の枝が切られているので、新しいユニットは曳家ではなくクレーンで設置したのかもしれない。
追記: 開園
今年2月のトイレ設置工事中の事故により、開園が延期されていた中野区立桜山公園が開園されていました。園内のキャッチボールコーナーではボール遊びができるほか、ダイナミックさは全然ないシーソーがあります。区内でシーソーがあるのはここともみの木公園の2カ所だけかな? pic.twitter.com/v92i6a3aMn
— 中野区議会議員 小宮山たかし (@komiyamatakashi) September 30, 2021
つづきの記事
(中野非公式通信) &(く)