経緯
中野区の平和の森公園南側の草地広場は、自然の少ない都会で子どもたちが凧揚げのできる貴重な空地でした。
東京五輪を前にした「再整備」で2018年初から秋にかけ公園北側の第1工区の木が大量に切られ運動広場が拡張されました。南側の第2工区(草地広場)の工事開始を控えた同年6月の選挙で、中野区民は再整備を進めてきた当時の田中大輔区長を落としました。
「草地広場を残す」公約を掲げて当選した酒井直人新区長は、同年10月に区民との「語る会」を2回開催。11月の説明会を経て11/15に第2工区の工事に着工。
第2工区は白い工事用フェンスで閉鎖されましたが、初めのうちは時々フェンスのドアが開いていて子どもたちが入って遊ぶことができていました。しかし中野区は12月13日に鍵を丈夫なものと交換。監視カメラもつけて入れなくしました。
2019年3月10日、久々にドアが開き、草地広場には凧揚げなど思い思いに遊ぶ子どもたちの姿が見られました。
この記事はその時の写真を公開するものです。
2日後の3月12日に中野区は第2工区の樹木大量伐採を開始。直後に草地広場に300メートル陸上トラックを作るための草地広場全面掘り返しに着手しました。
ですからこれは私たちが見た草地広場の最後の姿です。
予定していた第2工区の1万2000本の樹木伐採は3月中に突貫工事でほぼ完了。この記事を書いている5月23日現在までに、草地広場には1億円分の発泡スチロールもほとんどが埋められてしまいました。
現状
半年以上もかけて検討し続けた第2工区工事の変更案を、中野区は区議会第1回定例会最終日の2019年3月15日に緊急上程、多数を占めていた区議会野党の自民公明両党の反対によってあっさり否決されました(区議会与党は立憲と共産)。
しかし4月21日の中野区議会議員選挙では、平和の森公園の「緑と広場を守る」を公約に掲げた共産党候補が圧倒的票数でトップ当選、自公は過半数割れとなりました。
この記事を書いている5月23日の翌日、24日に改選後初の中野区議会本会議(臨時会)。6月下旬には区議会第2回定例会が始まり、中野区は新たな変更案を提出するとしています。
3月に否決された変更案は、草地広場に300メートル陸上トラックや100メートル走路を作らない、築山にコンクリート滑り台を被せない、という内容でしたが、ツツジや中高木など1万2000本の樹木伐採、1億円の発泡スチロール埋設は元の計画のまま実施するもので、現在までに伐採と埋設の部分はほぼ済んでしまっています。トラックの工事はこのあと。
選挙で区長を替えてもダメでした。平和の森公園は第2工区(草地広場)も破壊されてしまいました。選挙で区議会の構成も変えました。もしもそれでもダメだったら、一体何を変えればいいんでしょう?
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ここに書いた経緯や状況の詳細については下記リンク先をご参照ください。
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2019/3/10
草地広場のドアがあいていた。
おや?
おお!
草地広場!
子どもたちが遊んでいる!
トラロープが張られていた。中野区はこの向こう側の草地広場を潰して300メートル陸上トラックと100メートル走路に変える予定。
ロープの杭に「EPS」(発泡スチロール)の文字。草地広場は地下に東京都の下水道施設があり重量制限が厳しい。中野区は300メートル陸上トラックを作るため、北側の妙正寺川に向かい傾斜している土地を水平にする必要があり、重量制限をクリアする唯一のソリューションとして軽い発泡スチロールを1億円で買い、盛土として3月から5月にかけ草地広場に埋めた。
同上。杭の背後は築山。築山は撤去し発泡スチロールで高く盛り替えてコンクリート製滑り台に。
ロープの端は適当に解かれていた。
ロープの張られてない杭。ここのツツジを含む1万2000本の木が月末までに切られ姿を消した。
ロープの張られてない杭。
同上。赤い標識が立てられているのは被爆地から贈られた木(伐採対象ではない)。
3月上旬に撤去された草地広場東側園路。写っている樹木はほぼ月末までに伐採された。
園路撤去の跡。
撤去された園路のがれき。
カラーコーンの跡。
保存された縁石。
草地広場から見た未開園区域。
第1工区から第2工区に移植されたケヤキ2本。根元に金属が露出している。
捨てられていた看板。
開きかけていた紅梅。
ヒヨドリ。
公園利用者に親しまれていた草地広場南東角のケヤキ。赤テープは伐採予定の中高木57本の目印であり、月末までに伐採された。ツツジなどここに写っている他の木もほぼ伐採。
東京都下水道局中野水再生センターの青壁沿いに設置が予定されていた壁泉。もともと「水とみどりの避難場所」として計画された平和の森公園にここから水を供給し、草地広場に流すはずだったが、中野区は壁泉をついに作らなかった。再整備ではこれを削り「ラジオ体操のお手本台」に改造する。
壁泉から草地広場をのぞむ。
壁泉脇、水再生センター立入禁止の看板。
水再生センター壁沿い。緑テープは伐採しない中高木の目印。黄色が巻かれた100本は「間伐」として切る予定だったが、中野区は切るかどうか5月現在検討中。
撤去された水再生センター前の園路(草地広場南側)。
草地広場南側のあずまや。皆の憩いの場所だったが撤去された。時計塔も。
赤テープが巻かれた木々。月末までに全て伐採された。
草地広場南西のあずまや。一旦撤去したのち存置の予定。
掘り出された地下構造物(なんかの脚)。赤テープのクロガネモチは伐採された。
伐採予定ではなかった(緑テープが残っている)が前年秋に強風による損傷のあと切られたサークルベンチのケヤキ。
間伐予定だったが切るかどうか中野区が検討している黄テープの木々。
忘れられたサッカーボール。
草地広場(当初は芝が植えられていたため芝生広場という名前だったらしい)の撤去された周回園路は440メートルだったようです。
「このさくらの木残せ」と貼紙された桜(緑テープ)。奥の赤い標識が立てられた木は被曝ポプラ(同)。
バーベキュー場設置予定地。
何かパフォーマンスの練習をする人たち。
公園南西部に「入口12」新設のため切られた防火樹林の中高木5本。
公園南西部児童遊具撤去あとのがれき。
公園南側トイレ。改修終わり4月に再開。
公園南側園名板。
公園南側工事フェンスのドアも開いていた。
( r ) 2019/5/23
2カ月後の草地広場
ツツジや中高木など1万2000本の木が切られ、300メートル陸上トラックを作るため草地広場全面が掘り返され、1億円分の発泡スチロールが野積みにされ埋められた。議会などで中野区は掘り返しの理由を草地広場の下の「排水、電気、給水管等の改修」としていましたが、掘り返した下にそんなものは埋まっていませんでした。改選された中野区議会は、これまでのように役人の嘘をスルーし続けることがないよう望みます。
【草地広場の破壊を記録した写真と動画】
反対意見の多い平和の森公園(中野区)工事は2018/11/15に第2工区着工しました。工事の進行(というより2019年2月現在では進行していない様子)を主に工事フェンスの外から撮っています
— 中野区非公式勝手にお知らせしています (@nakanocitizens) February 14, 2019
⚡️ “中野区の平和の森公園2018-2019”https://t.co/kqMpzzcVm6
中野区の平和の森公園の草地広場で、2019年3月から1万2000本の木が伐採され、1億円の発泡スチロールが埋められた工事を記録した写真と動画のモーメント
— 中野区非公式勝手にお知らせしています (@nakanocitizens) May 23, 2019
⚡️ “中野区の平和の森公園第2工区工事(2)2019年3-5月” by @nakanocitizens https://t.co/TVP49UTgVv