中野区が図書館指定管理者募集。および情報公開請求で【初公開】中野区立図書館人員配置がようやく明らかに(2020年7月)

概要

・2020年7月、中野区は区立図書館の指定管理者募集を告知した。期間は2021年度から5年間。
・募集要項などに、区立図書館8館のうち本町図書館と東中野図書館の廃止、および、新図書館=(仮称)中野東図書館=と区立小学校3カ所に新設する地域開放型学校図書館(中央図書館分館)も一括指定管理とすることが記された。
・図書館指定管理者が中野区情報公開条例を遵守することが募集要項に明記された。また応募業者に対し、利用者アンケート、利用者懇談会、区民の声及び日常的な意見への対応、運営情報等の積極的な公開、などに関する提案をすることを要求している。
・現在の指定管理者ヴィアックス・紀伊國屋書店共同事業体は、これまで明らかにすることを拒んでいた人員配置のデータを、区民の情報開示請求に応じようやく公開した。
2020/7/6記

 

指定管理者募集

2020年7月1日、東京都中野区は区立図書館の指定管理者募集をホームページで告知した。

募集期間が終わるとリンク切れになるためインターネットアーカイブリンクも貼っておく。

 

期間は2021年4月から5年間。中野区立図書館8館を一括管理する事業者を募集している。なお募集要項などに、8館のうち本町図書館と東中野図書館を2021年10月31日に廃止すること、建設中の新図書館=(仮称)中野区立中野東図書館=を2022年2月に開設し、区立図書館を7館とすることが記載された。また、みなみの小学校、美鳩小学校、中野第一小学校内の区立小3カ所に「地域開放型学校図書館」を中央図書館分館として開設し、やはり一括管理とするとしている。

中野区立図書館8館は、ヴィアックス・紀伊國屋書店共同事業体が2013年度から3年間の契約で指定管理者となり、2016年度からは5年間の契約で同じ事業者が指定管理者となった。現在の契約が2021年3月末に切れるため今回募集を始めた。

していかんりしゃせいど【指定管理者制度
地方公共団体が設置した公共施設を、民間企業や団体を指定して管理・運営を委託する制度。利用者の利便性の向上、地方公共団体の負担の削減などを目的として導入された。
大辞林 第三版

 

プロポーザル方式

中野区の指定管理者は、プロポーザル(企画提案公募型事業者選定)方式といわれる、選定委員会が応募者の提案内容を審査して決める方法で選定される。
区立図書館指定管理者選定委員会の委員長は、今回公表された「選定基準」の記載によると「教育委員会事務局次長」。異動などがなければ戸辺眞・子ども教育部長、教育委員会事務局次長となる。

中野区の工事や再開発などの業者を選定する際のプロポーザル方式は、未だに実施要領が内部のマニュアルしかない。(下記記事参照)


一方、指定管理者募集は公開のガイドラインがあり、決定には区議会の議決が必要とされている。

【参考】中野区の指定管理者制度規定関連リンク:
・中野区公の施設に係る指定管理者の指定手続に関する条例(2004年3月26日)
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/reiki/reiki_honbun/q600RG00001384.html
・中野区公の施設に係る指定管理者の指定手続に関する条例施行規則(2004年5月12日)
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/reiki/reiki_honbun/q600RG00001417.html
・中野区公の施設に係る指定管理者の指定手続に関する事務処理要綱(2005年3月2日)
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/reiki/reiki_honbun/q600RG00001454.html
・中野区指定管理者制度 ガイドライン(第4版)
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/105000/d017603_d/fil/guidelines.pdf
(初版2014年6月、第2版2018年2月、第3版2019年4月、第4版2020年4月。プロポーザル方式の選定方法を含むガイドライン)

 

現在の契約をめぐる問題

私たちは下記の記事で、中野区立図書館の指定管理契約を2016年に更改した際の「業務要求水準書」から、「情報公開」「法令遵守」「個人情報保護」の文言が消滅、指定管理者が利用料を取れるサービスの縛りや、「利用者の要望等の反映」や「中野区立図書館の基本方針」の章も無くなったことなどを指摘した。「図書館(運営)協議会」については2013年の指定管理開始当初から無く、その代替の「利用者懇談会」も文言が無くなった。

照会に対し区側は、2016年度の契約では上記「中野区指定管理者制度 ガイドライン」が2014年に制定されたため、募集時の業務要求水準書にそれらの点は書かれなかったが、選定後に結んだ「指定管理基本協定書」に記載されたと説明した。私たちは、そこは選定後ではなく募集時からはっきり書くべきじゃないのかと要望した。

 

2020年2月に情報開示された2016-2020年度「中野区立図書館指定管理基本協定書」。⬇️

基本協定書の開示決定書のリンク

区職員の説明によると、業務要求水準書は今後の募集では用いず、必要事項は「募集要項」に記載するということだった。で今回公表された募集要項はどういう風になったかというと、結論からいえば上記問題となった点については割合ちゃんと記載された。

 

今回の「募集要項」と「選定基準」

中野区ホームページからダウンロードした中野区立図書館指定管理者「募集要項」。⬇️

同じく「選定基準」。⬇️

 

問題の各項目は今回の「募集要項」では割とちゃんと書かれている

中野区立図書館の基本方針について

1 施設の設置目的
中野区立図書館(以下、「図書館」という。)は、図書館法(昭和25年法律第118号)第2条及び中野区立図書館条例(昭和39年条例第22号)第1条の規定に基づき、図書、記録その他必要な資料を収集・整理・保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを、その設置の目的とする。
また、当該目的を踏まえ、区が目指す図書館像の実現に向け、自立的に様々な取組を行い、区民サービスの向上を図ることとする。

 

法令遵守について

図書館の運営にあたっては、法令等(条例・規則等を含む)を遵守するとともに、その本来の趣旨を十全に顕現し、公共施設の一つとして、区民サービスの向上に務めるものとする。

 

情報公開について

施設情報等の公開
指定管理者は、施設の管理運営業務に関して保有する情報について、公開するよう努めなければならない。情報の公開にあたっては、「中野区区政情報の公開に関する条例」の趣旨に則り、各指定管理者が作成した「情報公開規程」に基づき情報開示の申し出に対して適切に対応すること。

 

個人情報保護について

業務を行ううえで指定管理者(指定管理者から本施設の業務の委託を受けたものを含む)が得た個人情報は「中野区個人情報の保護に関する条例」等、区の基準に準拠し、適切に管理し取り扱うことママ

 

人員配置について

(2)執行体制
以下の基準を満たすよう人員配置を行うこと。

《企画提案書記載事項》
1 業務内容全般(人員配置を含む)への対応について

 

利用者の要望等の反映について

5 利用者の声の把握
(1)利用者の要望等について速やかに対応し、図書館全館で情報の共有化を図ること。
※ 原則として1週間以内に回答を行うこと。
(2)要望等は区に報告し、問題点の改善を図るとともに、それらを集計し、指定管理者の自己評価、業務計画及び管理運営に反映させること。
(3)利用者アンケート調査を館ごとに毎年度実施し、その調査結果を指定管理者の自己評価、業務計画及び管理運営に反映させること。
(4)利用者懇談会を館ごとに毎年度開催し、利用者の声を十分に反映した図書館の運営がなされるようにすること。

 

外部評価について

6 施設管理運営状況の把握(第三者評価等の実施)
指定管理者は、自ら意見交換会やアンケートにより、利用者の声を把握するとともに、第三者(外部専門機関・専門家等)による評価を受けること(内容は区立図書館ホームページで公開すること)。

 

指定管理者が利用料を取れるサービスの縛りについて

1 利用料金
入館料その他図書館資料の利用に対する対価は徴収しない(図書館法第17条)。
2 指定事業収入
次の各号に掲げる料金については、区民及び利用者等から徴収し収受できるものとする。
この場合、当該料金は、予め区の承認を得るものとする。

 

「図書館(運営)協議会」について

「図書館(運営)協議会」は2013年の指定管理開始当初から業務要求水準書に無く、その代替の「利用者懇談会」も2016年の業務要求水準書で文言が無くなった。利用者懇談会については今回の募集要項の上記「利用者の声の把握」の項で明記された。

区民の要望を受けて1987年に発足した中野区の「図書館運営協議会」は、「図書館利用者代表、学識経験者、図書館職員から構成されており、区の図書館行政や運営のあり方について協議したり、協議会の結果について教育委員会に対し意見を述べる等の活動」をしていたが、指定管理者募集に用いる業務要求水準書(平成24年5月版)などを審議し終わった後、2013年、指定管理開始とともに休眠状態になった。

その際、今後のあり方については「検討」ということになったが、2期目の指定管理が始まる直前の2016年3月25日の中野区教育委員会定例会で、質問のひとつもなくあっさり廃止されていた、ことに私たちは実は最近になって気づいた。検討、いつするんだろうと思っていた。
2016/3/25教育委員会定例会議事録リンク

というのは、下で述べるように、図書館運営協議会のデータ(要録)が、最近(2019/11/20)まで中野区立図書館ホームページでアクセス可能(2016/4/7のインターネットアーカイブ⬇️)で、そこに「検討」と書かれていたから。ただし、廃止が決まり、2期目の指定管理が始まるタイミングで、ホームページ内のリンクが削除され(同ページの2016/5/16のインターネットアーカイブ)、その結果、ページに到達するのは容易でなくなっていた。

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2019/11/20~12/1に行われた中野区立図書館の図書館システム更新ではサーバーとURLが変更になり、図書館運営協議会のデータはすでにリンクを失っていたため移行されなかった。インターネットアーカイブにもデータの本体は保存されておらず*1、目次のみが保存されている⬇️。サーバーがリプレースされる最後の瞬間までアクセス可能だったこの目次のページにおいて、図書館運営協議会の今後のあり方は「検討」と書かれたままだった。

 

その他の問題

本町図書館と東中野図書館

2018年7月、酒井区長は就任直後の区民との対話集会の際に、田中前区長が廃止方針を決めた本町図書館と東中野図書館について、集会参加者から「存続してほしい」との要望があり、新図書館の計画との関連も見ながら「地域の中で図書館が果たす役割を検討する」と話した。方針を即答できないとしたものの「図書館が地域に果たす役割は大きい」と認めた。

この対話集会の記事を2年たって読むと味わい深いとしか言いようがない。一体何か少しでも検討したのだろうか? 酒井氏就任後も複数団体から廃止を見直すよう要望が出され、利用者懇談会や利用者アンケート、2019年に開かれた「今後の図書館サービスのあり方検討会」でも存続の意見が多かったが、方針に反映された形跡はない。

中野区は2020年9月に始まる区議会定例会に、本町図書館と東中野図書館を廃止する議案を提出予定としている。

 

地域開放型学校図書館

地域開放型図書館は「今後の図書館サービスのあり方検討会」の慎重意見を受け一旦縮小方針が決定されたが、不可解な経過をたどってたった1週間で当初案に戻された。詳細は下記参照。⬇️

その後、新型コロナウイルス感染拡大による財政逼迫を理由に、地域開放型学校図書館は結局当初案より縮小された。

 

新図書館の概要が明らかに

東京都中野区中央一丁目の第十中学校跡地に建設中の新図書館=(仮称)中野東図書館=の概要と平面図が今回の指定管理者募集に伴い公開されたので、中野区ホームページからダウンロードした。

新図書館概要⬇️

平面図⬇️

 

【情報公開(初公開)】中野区立図書館の人員配置

私たちが中野区立図書館指定管理者の契約を問題にし始めたのは、指定管理者が中野区立図書館の人員配置のデータを明らかにするのを拒否したからだった。
中野区立図書館の人員配置は、指定管理になる前の2011年度版までは、毎年公開されている『事業報告書』⬇️の中の「図書館組織」のページに普通に記載されていた。それが指定管理開始後公表された2012年度版からは人数の記載が消え、2013年度版からは「図書館組織」のページは丸ごとなくなった。

指定管理になったため情報公開が後退したわけだが、2019年に複数の区民が人員配置について問い合わせても「非公開」との回答だった。その際「2016年の業務要求水準書に情報公開業務が記載されていない」ことが非公開の根拠とされたため、業務要求水準書を問題にした。その後中野区職員から私たちに、指定管理者の対応が不適切だったとの説明があった。

 

2020年6月、区民の情報公開請求に対し中野区立図書館人員配置のデータがようやく開示された。

開示決定書のリンク

開示文書「区立図書館職員配置表2019年4月〜2020年3月」。⬇️

 


(中野非公式通信)

 

 

 

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中野区立中央図書館(2020/3/21撮影)

 

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*1:図書館運営協議会のデータをどうしてもあきらめたくなければ、インターネットアーカイブのURLの途中と最後で "*"(アスタリスク)を使うと、次に例示するような、いくつかの回の要録や資料を発見することができる。

あるいは、インターネットアーカイブのもうひとつ別のURLの途中と最後で "*" を使うと、次の資料などが発見できる。

また、紙の資料でよければ、中野区立図書館が『図書館運営協議会会議録 第7期』および『中野区図書館運営協議会会議要録』 (第8期~第10期)を所蔵している。

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