中野区が本町図書館、東中野図書館廃止決定。及び、中野区立図書館は13年間同じ指定管理者に(2020年10月)

概要

東京都中野区議会は2020年10月、本町図書館と東中野図書館を廃止し、中野東図書館と地域開放型学校図書館3館を新設する図書館条例改正案を賛成多数で可決した。
中野区は2021年度から5年間の区立図書館全館の指定管理者に、ヴィアックス・紀伊國屋書店共同事業体を選定した。2013年から同じ指定管理者。
2020/10/15記

 

本町、東中野図書館廃止を議決

本会議での賛否

東京都中野区議会は2020年10月13日の本会議で、本町図書館と東中野図書館を廃止し、中野東図書館と地域開放型学校図書館(区立小学校3カ所、中央図書館分館)を開設する図書館条例改正案を賛成多数で可決した。

中野区立図書館条例の一部を改正する条例↓
https ://kugikai-nakano.jp/gian/20929211356.pdf

中野区議会議員42人(投票数40)の投じた賛否は次の通り。
賛成32-自民(議長除く)8/立憲(産休1を除く)8/公明8/都ファ2/無所属6(近藤さえ子/いながきじゅん子/石坂わたる/竹村あきひろ/立石りお/吉田康一郎)
反対8-共産6/無所属2(むとう有子/小宮山たかし)

無所属石坂議員が賛成討論し、区の施設配置は常に見直しが必要であるから今回は賛成するが、今後は賛成できるかどうか分からないと述べた。

自民、立憲、公明、都ファの議員は賛成討論せず、彼らがなぜ本町、東中野図書館を廃止したいのか、理由を聞くことはできなかった。子ども文教委員会でも賛成討論は行われていない。

共産小杉一男議員が子ども文教委員会に続き本会議でも反対討論し、2019年に開催された「今後の図書館サービスのあり方検討会」での議論が生かされていないこと、地域図書館の重要性などを指摘した。

 

今後の図書館サービスのあり方検討会では、本町、東中野図書館存続の意見が多く出され、小学校の図書館を一般利用に供する地域開放型学校図書館についても防犯面などから慎重論が強かった。詳細下記。

 

委員会での賛否

本会議に先立つ10月5日の中野区議会子ども文教委員会は、図書館条例改正案を賛成多数で可決すべきものと決した。
賛成-斉藤ゆり(立憲)中村延子(立憲)いでい良輔(自民)平山英明(公明)吉田康一郎(無所属)
反対-小杉一男(共産)むとう有子(無所属)
高橋ちあき(自民)は委員長のため投票せず。

委員会の審議で、区の担当者は、本町、東中野図書館を地元などの反対にかかわらず廃止する理由について、新しく東中野東図書館が開設されることを挙げた。

しかし本町、東中野図書館の廃止、新図書館と地域開放型学校図書館の開設は、いずれも田中大輔前区長の図書館配置計画↓に含まれており、どちらが先とか原因結果ということはない。理由としておかしい。
https://kugikai-nakano.jp/shiryou/16518142616.pdf

田中の計画を酒井直人現区長が実現した形だ。なお酒井区政の与党は立憲と共産。今回の議決は与党間で票が割れた。

 

各施設について

中野区立図書館

中野区立図書館は8館から成り、最大の中央図書館(東京都中野区中野2-9-7)は蔵書約51万冊。各館の配置と中野区の現状の統廃合計画は下図参照。

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「今後の図書館サービスのあり方検討会」配布資料より

 

本町図書館と東中野図書館

10月13日に可決された改正中野区図書館条例によると、本町図書館と東中野図書館は2021年10月31日廃止。いずれも跡地利用は決まっていない。

本町、東中野図書館閉館と中野東図書館開館により、中野区立図書館は現状の8館から7館に減る。合計の蔵書は増えるが、地域の利用者は新しい図書館が遠くなることなどから存続運動をしている。

 「中野区立図書館事業報告書2019年度版」*によると、本町図書館(中野区本町2-13-2)は8館のうち最も歴史が古く、1968年1月5日開館。地上2階建453㎡。蔵書約5万6000冊。
土地は、花村四郎(1891-1963。衆議院議員法務大臣)氏の寄贈。

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本町図書館。2020/10/14撮影

東中野図書館(中野区東中野1-35-5)は1984年7月10日開館。地上3階、地下1階建の2、3階。1304㎡。蔵書約8万7000冊。

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東中野図書館。2020/10/14撮影

 *「中野区立図書館事業報告書2019年度版」
https://library.city.tokyo-nakano.lg.jp/lib/files/nakanolib1.pdf
 
東中野図書館1階に併設されている陽だまりの丘保育園分園は2024年3月末閉園予定。

 

中野東図書館(新図書館)

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①本町図書館②東中野図書館③建設中の中野東図書館

中野東図書館(中野区中央1-41)は、改正中野区図書館条例によると2022年2月1日に開館する。建設中の中野東中学校(統合校)の複合施設の中に児童相談所などとともに併設される。図書館部分は7-9階。

中野区が区立図書館指定管理者募集の際に公開した東中野図書館の概要↓によると約3445㎡。蔵書約17万冊。

指定管理者募集の際に公開された平面図↓。

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建設中の中野東中学校複合施設。中野東図書館や児相などが入る。2020/10/14撮影

 

地域開放型学校図書館

改正中野区図書館条例は、中野区立小学校3校(みなみの、美鳩、中野第一。いずれも統合校)の新築校舎内の学校図書館を地域開放型学校図書館(中央図書館分館)とし、一般の利用ができるようにする。2021年4月1日開設、同月20日利用開始。

地域開放型学校図書館について防犯面などから慎重論が強かった「今後の図書館サービスのあり方検討会」の意見を受け、中野区はいったんは計画を縮小する見直し案が中野区から区議会子ども文教委員会と教育委員会に示したが、見直し案は不可解な経過をたどって1週間で実質撤回された。詳細下記。

 

13年間同じ指定管理者に

中野区は2020年10月7日の区議会子ども文教委員会で、2021年4月1日から5年間の中野区立図書館全館の指定管理者をヴィアックス・紀伊國屋書店共同事業体**とする選定結果を報告↓した。プロポーザル方式公募への応募は1事業者だけだった。11-12月の区議会に議案を提出する。
https://kugikai-nakano.jp/shiryou/201012102140.pdf
**株式会社ヴィアックスは中野区に本社があるダイレクトマーケティングや図書館関連事業をしている企業。

していかんりしゃせいど【指定管理者制度
地方公共団体が設置した公共施設を、民間企業や団体を指定して管理・運営を委託する制度。利用者の利便性の向上、地方公共団体の負担の削減などを目的として導入された。
大辞林 第三版

指定管理者募集時の詳細と、ヴィアックス・紀伊國屋書店共同事業体についての情報公開請求で明らかになった中野区立図書館人員配置は下記記事参照。

ヴィアックス・紀伊國屋書店共同事業体は、中野区が区立図書館全館の指定管理を始めた2013年度からずっと同じ指定管理者。2016年度に続き今度が2度目の契約更新となり、13年間同じ指定管理者ということになる。

 

原因は一括管理

10月7日の子ども文教委員会では、競争がないことでサービスが低下するおそれがあるなどとして、応募が1者だけだった件が問題とされた。ただし応募しやすいよう条件を緩めるのは、無所属むとう、公明平山両議員を始め、幸いなことに委員会は否定的だった。

中野区子ども教育部の永田子ども・教育政策課長(教育委員会事務局子ども・教育政策課長)によると、説明会には3者が参加したが、最終的に1者しか応募しなかった。永田課長は応募が1者だった原因について「全ての図書館を一括管理するという規模は、相当程度の人員の配置を必要とする」ため、と認めた。

委員から、原因が分かっているのだから、一括がいいか分けるのがいいか検討すべきと指摘があった。都内自治体などで公共図書館を指定管理とするケースが増えているが、中野区のような全館一括指定管理は珍しい。

 

ツタヤは応募せず

なお、酒井区長は武雄市立図書館に「憧れていた」と言って、2018年11月に視察に行ったが、今回、中野区立図書館全館の新たな指定管理者に応募したのはヴィアックス・紀伊國屋書店共同事業体だけだった。公共図書館をいわゆるツタヤ図書館と呼ばれる独特のやり方で管理運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)は応募しなかった。

 

(中野非公式通信)

 

中野区立図書館の記事など。

 

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