この稿は新しい情報でも情報開示でもなく、ただの雑談です。2021/7/26記
「男でも女でもない」ではなくて
中野区シティプロモーションは2018-2019年度の2年間に税金1億円以上が投じられたのち、2020年度から無事に博報堂案件ではなくなった。
現在の中野区シティプロモーションは広告代理店に税金がじゃぶじゃぶ投入されることはなくなり、名前はさておき尋常な自治体広報活動へと回帰した。その経緯は下記参照。
キャラクターの球体関節人形ナカノさんの性別の設定を私は当時、男の子でも女の子でもないアセクシュアルと思い込んでいた。しかしその割にその設定を生かした展開もなかったので、博報堂と中野区は適当に雰囲気でセクシュアルマイノリティ設定したのかとイラッとした。
アセクシュアル〖asexual〗
男女の性別のないさま。また、そのようなファッション-スタイルのこと。
大辞林 第三版
最近の共産党羽鳥区議とのツイッターのやり取りなどを通じ、そもそも最初からセクシュアルマイノリティ設定ではなかったのだと思い至った。
<まったくの蛇足>
— 羽鳥 だいすけ・中野区議会議員(日本共産党)・「種の保存」に関わってない人 (@HatoriDaisuke) July 15, 2021
記者会見資料の表紙の中野大好きナカノさんのイラストめっちゃ可愛くないですか?
バンドリとのコラボ商品なんですね。 pic.twitter.com/ZvHyC34AW5
コラボ発表の時から疑問なんですけど、バンドリってガールズバンドですよね? ナカノさんって女の子設定に変えたんですかね…?
— 中野非公式通信 (@nakanocitizens) July 15, 2021
え、ちょっと待って。ナカノさんって女の子設定じゃなかったんですか?
— 羽鳥 だいすけ・中野区議会議員(日本共産党)・「種の保存」に関わってない人 (@HatoriDaisuke) July 15, 2021
21ページ参照。私はアセクシュアル設定と思ったのですが、その後の展開で生かされた形跡もないし、と思ったらなんかガールズバンドに混じってて、最初適当な気持ちで男の子でも女の子でもない設定にしたのかなと若干イラッとしましたhttps://t.co/ySGsg8VfcL
— 中野非公式通信 (@nakanocitizens) July 15, 2021
なるほど。男の子なのか女の子なのか「気にしたことなかった」ってことなんですね。うーん、確かにコラボと合わせて見ると、どういう意図なのか図りかねますね。
— 羽鳥 だいすけ・中野区議会議員(日本共産党)・「種の保存」に関わってない人 (@HatoriDaisuke) July 15, 2021
たしかに「男でも女でもない」とは書いてなかった。
男か女か「気にしたことなかった」
ナカノさんは男か女か「気にしたことなかった」という設定だった。下の画像は2019/2/1中野区長記者会見資料より。
現在は、多分もとの人形より可愛くて親しみやすいからだろう、ガールズバンドを題材にしたメディアミックス『BanG Dream!(バンドリ!)』とのコラボイラストで、しれっと女の子のようなことになっている。下の画像は羽鳥区議も紹介していた2021/7/15区長記者会見資料の表紙で、右下の絵はバンドリコラボイラストのナカノさん部分だけを切り取っている。
バンドリコラボについては中野経済新聞の記事参照。
ブシロード「バンドリ!」と中野区「ナカノさん」が初コラボ、期間限定でグッズ販売 https://t.co/i2YZvZHV0S #ブシロード #バンドリ #戸山香澄 #bushiroad #中野大好きナカノさん #ナカノさん #ナカノさんコラボ商品 #中野区 #BanGDream #がんばろう中野 #中野経済新聞
— 中野経済新聞 (@nakanokeizai) August 2, 2020
この男か女か「気にしたことなかった」を、私は「性自認が男でも女でもない」に脳内で変換していた。当時のその解釈は間違いだった。
気にせずにすむ人とは
自分の性別を気にせずに生きられるのはどういう人だろうか。
それに気づいたのは、ダイバーシティの記号をまるで飾りのように散りばめた2021/7/23の東京五輪開会式のあと、ネットの評価をサーチしていたときだった。
「あれはよかった」とオリンピック開会式で言及される部分が、「ちぎりとられたダイバーシティ」だったりするの、けっこう辛いもんがある。未来志向なフリして過去・現在・未来の差別を放っておく脱差別的パフォーマンスの数々は、ほんまに未来志向なん??
— じゅりあん@ふれる社会学 (@Juli1juli1) July 23, 2021
このツイートから辿って「マジョリティとは気にせずにすむ人」という言葉に遭った。
マジョリティとは気にせずにすむ人、という言い方は、元々は講義で質問されるなかで出てきた言葉。質問した学生さんが腑に落ちた顔をしてくれたのもあって最終章に書き入れたのです
— じゅりあん@ふれる社会学 (@Juli1juli1) February 21, 2020
マジョリティとは「気にせずにすむ人々」ーー #ふれる社会学 のイベントから|ケイン樹里安 https://t.co/o8UrUBgk7K
この本は読んだことがないので読んでみようと思う。
ふれる社会学【忽ち5刷り!】 ケイン 樹里安編著 - 北樹出版の大学教科書
マジョリティではないのか
もしアセクシュアルなどのセクシュアルマイノリティだったなら、性別違和感を経てその性自認に至ったのではないか。男か女か「気にしたことない」のはありそうにない。
性別を気にせずにすんできたナカノさんはマジョリティではないのか。元々アセクシュアルなどではなく、セクシュアルマジョリティのシスジェンダーだったのではないだろうか。
シスジェンダー(cisgender)
身体の性と心の性が一致している人。→トランスジェンダー
たいがいのことは気にならない?
中野区シティプロモーションは「好きなように生きていれば、 たいがいのことは気にならない。」というキャッチコピーからして酷かった。今思えば「気にせずにすむ」マジョリティの驕りを自治体の惹句に採用してしまっている。
マジョリティは「気にせずにすむ」特権を持つ。
マジョリティなら「好きなように生き」られて「たいがいのことは気にならない」かもしれない。問題をマイノリティが「気にしなければいい」のだと、マイノリティの「気の持ちよう」に転嫁し矮小化する。
このキャッチコピーには、立憲の森区議がいちど議会で疑問を呈している。
2019/9/26中野区議会決算特別委区民分科会 立憲森たかゆき区議”好きなように生きられない制度をつくっているのは政治と行政なんです。それを行政が「好きなように生きていれば」って言い切っちゃうのは、私は行政の姿勢としてどうかな、好きなように生きられない人にもっと寄り添う行政であってほしい“ pic.twitter.com/4dO3ABv2PW
— 中野非公式通信 (@nakanocitizens) February 23, 2020
広告代理店のお仕事
広告代理店はダイバーシティやSDGsをマーケティングの文脈で扱う。中野区シティプロモーションは博報堂の最初のコンセプトや設定も雑で酷かったが、発注側の中野区にも哲学がなかったため、その最初のコンセプトや設定さえたやすく霧散してしまった。
五輪開会式といい、多額の税金を遣った大手広告代理店の仕事が酷いので、中野サンプラザ再開発は電通が入っているだけで既に半分失敗が約束されたようなものだとさえ思う。