中野水再生センター見学
東京都下水道局の中野水再生センター(中野区新井3)。
年2回の見学会を楽しみにしている中野区民も多いですが、それとは別に個人で申し込んで見学することもできます。申し込みはインターネットで10日前、電話だと1週間前まで。
私たちは2019年1月に見学に行きました。
中野水再生センター正面入口。予約した時間にここに担当の下水道局OBのかたがきてくれます。
まず入口を入ってすぐの会議室で下水道処理の仕組みをレクチャーしてもらいました。
目の前で係りのかたが有栓メスシリンダー(高さ1メートルくらいの細長いガラスの容器)に入った汚水を振って撹拌し、汚泥が再び沈殿する様子をデモンストレーションしてくれます。微生物が汚れを分解し水をきれいにするのを攪拌することで助ける仕組みです。
もらった資料のこちらが下水の汚れを分解する微生物さんたちです。(7)のマクロビオツスはみんな大好きクマムシさん。(3)のツリガネムシも子どもたちに人気のようです。
中野水再生センターは、落合処理区(3,506ヘクタール)のうち中野区、杉並区の一部の地域の下水を処理してきれいにしています。落合水再生センターの処理能力を補完するものとして建設されたそうです。
運転開始は1995年。処理能力は1日当たり10万立法メートル。処理した水は北側の妙正寺川に放流しています。
下水道保守の苦労や、大雨でも下水があふれないように雨水の地面への浸透をすすめているといったお話もありました。
下水道局発行のダイエットレシピブックも貰いました。油をあまり使わない料理は下水道にも優しい、という趣旨のようです。
平和の森公園の模型
会議室に水再生センターと中野区立平和の森公園の模型がありました。
水再生センターの建物の左に旧中野刑務所正門。
あ、この模型の平和の森公園は! これは当初計画され、そうなるはずだった水とみどりの公園です。上の模型の左肩部分は未開園区域。今そこに中野区はオリパラ卓球練習場になる体育館を作っていますが、この模型ではその場所も当初計画されたみどりの公園です。模型では水は当初計画されたように画面奥の水再生センターの建物から草地広場を経由して北側(画面手前)へと流れています。
(平和の森公園の当初計画図)
処理場
さて。レクチャーが終わるといよいよ下水処理場の見学です。メインの建物の外にいったん出て、隣接する処理施設に入ります。下の写真の奥の建物です。
(見学のときこの場所を撮り忘れたので、この写真は3月に敷地外から撮っています)
入ってすぐのあたり。この下水道処理施設の上に私たちの草地広場があります。
子どもたちの絵
平和の森公園は北の妙正寺川に向かって傾斜しており、地下の下水道処理施設もそれに従って北に向かい傾斜しています。奥に行くにつれ下がっていく床の左手の壁にずらりと飾られているのは、中野の子どもたちが描いた絵です。
2019年春に統合されて廃校になった桃園小学校。
どれも素敵な絵です。中野区は学校の統廃合が進んでいるので、昔の学校名が書かれているとなつかしいですね。
機器類、沈殿槽、反応槽
機器や配管類。
沈殿槽。下水の汚泥を沈殿させる。細かい気泡がたくさん含まれており水より密度が小さく、人が落ちたら浮かぶことができないとか。
反応槽。この中にクマムシさんたちが。
説明してくださる担当のかた。処理場内の見学は処理施設中心あたりに位置する反応槽のところまで。
マンホール蓋
処理場の外に出て各種マンホールのふたを見せてもらう。
構内で実際に使われているマンホールのふた。穴が空いてるのは水が上がってきてもふたが持ち上がらないためだそうです。1番下はブロック舗装に描かれたマンホールの絵ですね。
ここで見学の全行程は終了。少人数でも係りのかた2人が丁寧に案内してくださって、都市に不可欠な下水道について学べるまたとない機会でした。説明も楽しく、子どもたちには特に喜ばれているようです。
下水道施設トップライト
今回見学した地下下水道施設の天井には明かり取りのトップライト(天窓)がたくさんあります。
地上の平和の森公園から見たトップライト
処理施設の天井の上は平和の森公園の草地広場で、地上からみるとトップライトはこんな風↓になっています。もとい、見学当時はこんな風になっていました。
(上の地上部写真5枚は2019年3月10日撮影)
しかし5月下旬現在は、平和の森公園の草地広場はこんな↓変わり果てた姿になってしまっています。 中野区は草地広場を潰して300メートル陸上トラックを作るなどスポーツ公園にするため、3月から1万2000本の木を切り、全面を掘り返して1億円分の発泡スチロールを埋めました。下の5月22日撮影の写真で、一列に並んだ四角い穴はトップライトの周りだけ発泡スチロールが埋められずに残っている場所です。穴の周りの埋められた発泡スチロール、画面右奥に埋める前に野積みされた発泡スチロールが写っています。
トップライト閉塞方法に関して東京都下水道局が承認した方法は、3月に区議会に提出した工事契約変更議案に増額事案として含まれていましたが、議案は否決されており中野区はトップライト工事ができないはずです。
草地広場の掘り返しについては、くろねこ @orangkucing さんが情報公開請求した中野区の文書に「スラブ閉塞・造成盛土工」とあり、https://t.co/nQiPo2Vh6C
— Galbraithian (@galbraithian999) April 24, 2019
同、東京都の文書に、中野区の天窓閉塞工事が影響ない旨の記載がある。自公は、これらを盛り込んだ議案を否決した。https://t.co/kTPaASQG1r
そう。トップライト(天窓)に関しては原案の閉塞方式(スラブ閉塞)は下水道局が容認しておらず、否決された議案に盛り込まれた予算増額を伴う閉塞方式(完全に削って鉄筋絡めて閉塞)でなければならないです。しかし、中野区は工事を強行しており原案で閉塞を強行するのではないかと危惧しています https://t.co/aIaFVnCOzV
— くろねこ (@orangkucing) April 24, 2019
しかし明日5月29日から予定されている「改修工」で、中野区はいよいよトップライトの工事に手をつけるかもしれません。
平和の森公園第2工区、5/29からの「改修工」は、草地広場の地下下水道施設トップライト(天窓)38カ所の閉塞作業開始? 下水道局が開示した中野区作成文書より1枚目、閉塞工事概要。2枚目、作業員の出入口は未開園区域の排気塔。3枚目(5/26知人撮影)、5/18に排気塔に至る通路がコーンとバーで作られた pic.twitter.com/RIGwWNsfNe
— 中野区非公式勝手にお知らせしています (@nakanocitizens) May 26, 2019
( r ) 2019/5/28記
中野区の平和の森公園と中野総合体育館のブログ記事、まとめ、写真や動画、開示された中野区や東京都の文書は下記をご参照ください。