すみれ公園赤チャリ置場廃止の理由は「自転車の溢れ」(情報公開請求、中野区シェアサイクル5)(2021年9月)

・中野区シェアサイクルのすみれ公園サイクルポート(赤チャリ置場)が廃止された理由は「自転車の溢れ」であることが住民の情報公開請求でわかった。中野区のただでさえ狭い公園を占拠している赤チャリは他でも同様の惨状なので、公園のサイクルポートは同じ理由で全て廃止すべきではないのだろうか。

・中野区とドコモ・バイクシェアの契約書や協定書なども開示された。これらの文書によるとドコモは基本的に自分でサイクルポートを確保することになっており、中野区はドコモのサイクルポート確保に協力するため公園をただで使わせている。しかし区有地を使わせるにしても公園以外にしようよ。中野区、公園を金儲けに活用されてない遊休地だと思ってないか? 2021/9/20記

・2021-2022年の区議会での報告によると、サイクルポートは今後は公園には設置せず、また、赤チャリは中野区が税金で買ってやるのではなくドコモが自分で買うことになった。2022/6/8追記

赤チャリ置場廃止に関する開示

開示請求の経緯

2020年7月に始まった中野区シェアサイクルで、区側は区立公園6カ所などをサイクルポート(赤チャリ置場)として事業委託先のドコモ・バイクシェアに提供していたが、2021年8月25日すみれ公園(東京都中野区中野5)サイクルポートを廃止した。詳細は下記記事参照。

すみれ公園サイクルポートの廃止に「関連する文書の一切」を住民が情報公開請求し、中野区は2021年9月6日に開示決定した。

区政情報一部公開決定通知書.pdf - Google ドライブ

開示されたのは「すみれ公園サイクルポートに関する問合せ文書」「事業者との協議文書」「公園施設廃止申請書及び意思決定起案文書」「公園施設廃止許可書」の4件。

「すみれ公園サイクルポートに関する問合せ文書」

2020/11/42020/11/82021/7/17 に「なかのEYE」アプリ経由で中野区に寄せらせた、子どもの遊ぶ公園で赤チャリが所定の場所からはみ出して危険であることに対する苦情3件。

この、開示された「なかのEYE」経由のメール3件のほかに、2020年10月にお散歩で園児を遊ばせている保育園の保育士から電話による苦情*があったことは下記記事で伝えた通り。

*電話による意見は開示されないようだ。下記の安倍街宣捨て看板の情報公開請求の時もそうだった。おそらく対面で伝えられた意見も開示されない。郵送された手紙や目安箱に入れられた意見はどうなんだろうか。

2019年7月安倍首相中野駅街宣捨て看板の処理費用は誰が払ったか(情報公開請求) - 中野非公式リポート

そのほか2021/3/15中野区議会建設委員会で共産党の来住区議が、すみれ公園の赤チャリの管理不十分を問題にしていた。

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「事業者との協議文書」

〈すみれ公園のサイクルポートについて(依頼)〉(2021/7/26付)

すみれ公園のサイクルポートについて(依頼).pdf - Google ドライブ

中野区都市基盤部交通政策課長からドコモ・バイクシェア宛の「すみれ公園においては、サイクルポートの適正な利用環境が図られるよう運用を続けてきましたが、サイクルポート外への自転車の溢れが改善されていない状況となっています。つきましては、下記のとおり今後の対応に関して、サイクルポートの廃止も含めたご検討をお願い致します」との依頼。いきなりドコモに廃止を提案したみたいになっているが、この前に一応協議とかあって廃止を決めてから形式的にこの依頼を送ったんじゃないかという印象。

〈すみれ公園のサイクルポートについて(回答)〉(7/28付)

すみれ公園のサイクルポートについて(回答).pdf - Google ドライブ

ドコモ・バイクシェアから「適正な利用環境の運用及び公園利用者の安全性確保が困難なためサイクルポートを廃止する」と回答。ドコモ、公園利用者を危険にさらしたことを認めたな。廃止日は8月25日と通知。

「公園施設廃止申請書及び意思決定起案文書」

〈公園施設廃止申請意思決定起案文書〉(8/6付)

公園施設廃止申請意思決定起案文書.pdf - Google ドライブ

すみれ公園サイクルポート廃止申請決定の稟議書。8月5日起案、翌6日決定。決定権者は奈良浩二都市基盤部長。設置者の酒井直人中野区長から都市基盤部公園緑地課に公園施設廃止申請を行う、とある。

〈公園施設廃止申請書〉(8/6付)

公園施設廃止申請書.pdf - Google ドライブ

すみれ公園サイクルポート廃止申請書。酒井区長から(公園緑地課宛ではなく)酒井区長宛に廃止申請。公印**は「中野区長 交通・道路事務専用」。

**通常の中野区長印のほかに各部署で用いる中野区長印がある。

〈公園施設設置許可書〉(2021/3/25付)

(添付文書)公園施設設置許可書.pdf - Google ドライブ

公園施設廃止申請書の添付文書。2021年度に中野四季の森公園、すみれ公園、本四公園、青桐公園、栄町公園にみなみの広場を加えた計6カ所74.31㎡にサイクルポートを設置することについて、酒井区長から中野区への許可書。公印は「中野区長 公園緑地事務専用」。

それによると、設置目的は「区民の移動利便性の向上及び公園利用者の利便性増進を図るため」***とある。わざわざ税金を使って、区民というよりウーバーイーツの移動利便性を向上させてるんじゃないかという問題はさておき、中野区の公園は自転車乗り入れ禁止のため、公園内でサイクリングができるわけじゃなし、公園利用者の利便は赤チャリ関係なくないか? 

***前のブログでも紹介したが、2020年6月に国土交通省が出した下記の文書によると、サイクルポートを公園に設置する場合の法律の解釈として、「便益施設」に当たることが挙げられている。しかしすみれ公園のような都市公園では赤チャリは便益施設に当たらないのではないか。

「公共用地などへのサイクルポートの設置の在り方について」 - 
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/sharecycle/pdf04/04.pdf

あと公園施設設置許可書には、許可条件として、申請者(酒井区長)は「自転車駐車場を設置するにあたり、近隣住民・公園利用者に十分に理解を求めること」と書いてある。しかし地元町会にすら何の相談もなかったって話もあったよね。

「公園施設廃止許可書」(8/6付)

公園施設廃止許可書.pdf - Google ドライブ

酒井区長から酒井区長への廃止許可。公印は「中野区長 公園緑地事務専用」。廃止申請決定、廃止申請、廃止許可の文書の日付は全て8/6。

赤チャリ置場廃止理由

この廃止申請決定、廃止申請、廃止許可の3つの文書には、同じ廃止理由が記されている。

廃止理由 適正な利用環境を整備してきたが、サイクルポート外への自転車の溢れが改善されず 、事業の適正な運営及び公園利用者の安全性の確保が困難なため

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2021/7/17仕切りから溢れたすみれ公園の赤チャリ

この理由で廃止するなら、他の公園のサイクルポートも廃止すべきだと思うね。

契約書などの文書の開示

NTT施設のサイクルポート

ドコモは中野区のただでさえ狭い公園じゃなく、自分の施設か自分で手配した場所に赤チャリを置けばいいのに。

実はNTTグループの施設に設置されたサイクルポートもある。

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NTT野方ビルサイクルポート。2020/11/11撮影

この場所の賃貸契約などはどうなっているのか、住民が情報公開請求した。ところが中野区がNTT野方ビルサイクルポートの財務会計行為に関する文書はないというので、事業全体の財務会計行為に関する文書に請求を補正した。2021年9月7日に開示決定。

区政情報一部公開決定通知書.pdf - Google ドライブ

開示された文書は「各年度ごとの契約書、協定書」「支出命令の回議用紙及び添付文書」の2件。

「各年度ごとの契約書、協定書」

〈中野区自転車シェアリング事業実証実験業務委託契約書〉(2020/5/29付)

中野区自転車シェアリング事業実証実験業務委託契約書.pdf - Google ドライブ

初年度2020年度分の4236万7600円の中野区とドコモ・バイクシェアの委託契約書。公印は「中野区長印 契約事務専用」。

この文書は、物品売買契約や印刷請負契約、賃貸借契約にも使える汎用の契約書を用いているようだ。「この契約が委託契約である場合」の箇所には、委託業務の場所の確保について記載はない。

〈中野区自転車シェアリング事業実証実験に関する令和3年度個別協定書〉(2021/4/1付)

中野区自転車シェアリング事業実証実験に関する令和3年度個別協定書.pdf - Google ドライブ

2年目2021年度の中野区とドコモ・バイクシェアの協定書。公印は「中野区長印」。この文書はもしかしたら本人が押印したのかもしれない。

サイクルポート用地を確保するのはドコモ

この協定書に、中野区の役割として「乙が進めるサイクルポート用地の確保に協力する」と記されている。乙はドコモ・バイクシェアだ。

また、上掲「公園施設設置許可書」には「自転車駐車場設置に係る公園の使用料については『自転車シェアリング広域連携に関する基本協定書』第13条第1項に基づき免除とする」とある。****

****今回の2つの情報公開請求に対する開示文書に、この基本協定書は含まれていなかった。

これらの記載を見るに、サイクルポート用地の確保は基本的にドコモ側が「進める」ことになっている。中野区の役割は確保への「協力」で、そのため公園の一部を無料で占有させるなど区有地を赤チャリ置場として使わせている。

開示請求をした住民は、もしかしたら委託業務の場所は中野区が確保することになっていて、ひょっとしてNTT野方ビルの敷地を赤チャリ置場として使うのに中野区がNTT側に賃貸料を払ってやしないかと疑ったのだが、さすがにそれはなかったようだ。

「支出命令の回議用紙及び添付文書」

〈支出負担行為〉(2020/5/29付)

支出負担行為.pdf - Google ドライブ

委託契約書締結と同じ日。決定者は交通政策課係長。

〈支出命令〉(2021/3/31付)

支出命令.pdf - Google ドライブ

委託費4236万7600円の支出命令。決定者は交通政策課係長。

〈請求・領収書〉(支出命令の添付文書)(3/31付)

(添付文書1)請求・領収書.pdf - Google ドライブ

〈検査証〉(支出命令の添付文書)(3/31付)

(添付文書2)検査証.pdf - Google ドライブ

追記: 今後公園に設置しない

中野区は2021/7/30区議会建設委で今後公園に赤チャリ置場を設置しない方針を表明した。9/24会議録公開。

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追記: 今後はドコモが自分で赤チャリを買う

まあしかし、区施設利用者に迷惑をかけず、ドコモが税金をあてにせず自分の金で商売するなら、好きにすればって感じかな。

(中野非公式通信)

 

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